F1技術解説:マイアミGP(1)フェラーリを困惑させるSF-23の予測不能な挙動
2023年5月16日
2023年F1第5戦マイアミGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。第1回では、フェラーリSF-23の細部の画像を紹介するとともに、マイアミでスクーデリアが直面した苦難にフォーカスする。
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フェラーリは、マイアミにアップグレードを投入し、フロアとディフューザーに形状変更を施した(下の写真参照)。しかし残念ながらSF-23には、ほとんど何の進歩も見られなかった。この週末の跳ね馬はオーバーステアに苦しみ、レース中にはタイヤがオーバーヒート。さらにに風の影響を受けて、マシンバランスを崩しやすい状態だった。
シャルル・ルクレールは、予選Q3でクラッシュ。マックス・フェルスタッペンの2つ前7番グリッドからスタートしたにもかかわらず、レッドブルから50秒以上遅れての7位チェッカーが精一杯だった。
チームメイトのカルロス・サインツのパフォーマンスも、似たようなものだった。予選では3番手の速さを見せたものの、5位フィニッシュ。勝者フェルスタッペンに比べると、サインツはミディアムタイヤの第1スティントで平均コンマ3秒、ハードタイヤに履き替えた第2スティントでは平均コンマ8秒の遅れを取っていた。
レース後のルクレールは、「マシン挙動に一貫性がないことが最大の問題だ」と語った。
「コーナーごとに挙動変化が予測できないということではない。それどころか同じコーナーでも、1周前はひどいオーバーステアが出たかと思えば、次の周には大きなアンダーステアに手こずらされたりする。風の影響をとても受けやすいマシンであることも、一因だろうね」
「さらにレースでは、バウンシングに悩まされた。高速走行時に、フロアが何度も路面に底付きしていた。金曜や土曜には起こらなかったことだ」
そしてふたりのフェラーリドライバーは、決勝レースで、ミディアムとハードの両方のタイヤコンパウンドでグレイニング(ささくれ摩耗)に悩まされた。予測不能な車体挙動だけでも厄介なのに、さらにタイヤをどのように攻略していけばいいのか。マラネロのエンジニアたちは、完全に途方に暮れていた。
「レースごとに違うタイヤを履くわけだけど、新しいコンパウンドで何が起きるか、実際に走り出すまで分からない状況なんだ。はたしてマシンがちゃんとした挙動を示すのか、タイヤは作動温度域にすぐに入ってくれるのか、手探り状態が続いている」と、ルクレールは言う。
「そんなコンディションでは、マシンを信頼して攻めた走りをしたり、自分のドライビングを適応させることは非常に難しい。今季ここまで、予選では比較的うまくいっているのに、なぜ決勝ではこれほどまでにひどい結果になるのか、それも分かっていないんだ」
(その2に続く)
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)
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1位 | マックス・フェルスタッペン | 393 |
2位 | ランド・ノリス | 331 |
3位 | シャルル・ルクレール | 307 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 262 |
5位 | カルロス・サインツ | 244 |
6位 | ジョージ・ラッセル | 192 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 190 |
8位 | セルジオ・ペレス | 151 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 62 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 31 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 593 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 557 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 544 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 382 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | BWTアルピーヌF1チーム | 49 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 46 |
8位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 44 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
第23戦 | カタールGP | 12/1 |