【F1シンガポールGP予選の要点】コース特性も味方にサインツが2戦連続PP。レースでは“ふたつの有利な点”を活かせるか
2023年9月17日
前戦イタリアGPに続いて、F1第16戦シンガポールGPでフェラーリのカルロス・サインツがポールポジションを獲得した。
いうまでもなくモンツァはストレート主体の高速コースであり、今週末のシンガポールは対照的に直角コーナーの連続する市街地サーキットだ。両者のコース特性は、まったく違う。
それでもこのふたつのサーキットでフェラーリが速さを見せたのは、ひとつは彼らが苦手とする長く回り込むコーナーがないことによる(最近の数戦で言えば、ハンガロリンクやザントフォールトで苦しんだのと対照的だ)。そして何より今季のフェラーリSF-23は、予選一発が速い。言い換えればレースでは、失速するパターンを繰り返してきた。
タイヤへの入力が大きい特性が、予選ではすぐに速さを発揮する美点となり、長丁場のレースではタイヤがオーバーヒートする欠点となってしまう。前戦イタリアGPはまさにその典型で、序盤にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、中盤はセルジオ・ペレス(レッドブル)への防御でタイヤを使いすぎたことも大きかったが、無敵レッドブル相手では3位表彰台が精一杯だった。
今回も同じパターンを繰り返す恐れが、ないわけではない。ただしモンツァに比べると、フェラーリに有利な点がふたつある。ひとつはレッドブルの不振だ。第2戦サウジアラビアGPの15番手に次ぐ今季ワーストの11番手に終わったフェルスタッペンは、「予選に向けてのセットアップ変更で、大失敗した」「まともに運転できる状態ではなかった」と言っている。
セルジオ・ペレスも13番手。ロングランペースは悪くないだけに、後方からある程度の追い上げは可能だろう。しかしここはモナコほどではないが、追い越しは極めて難しい。フェルスタッペンはもはや「連勝記録は忘れてくれ」と言っている。
そしてフェラーリにとってのもうひとつの有利な点が、決勝での路面温度の低さだ。前戦モンツァは、42度強で始まって、終了時でも38度あった。それがシンガポールでは、スタート時からほぼ変動なく34度前後のままだ。同じC3〜C5のコンパウンドを使うなか、この低い路面温度はかなりフェラーリの助けになるはずだ。
一方で今回は、レッドブルに代わってメルセデスというライバルがいる。シャルル・ルクレール(フェラーリ)を1000分7秒差で下してフロントロウを獲得したジョージ・ラッセルは、ロングランペースにも自信を持っている。ルイス・ハミルトンは5番手に終わったものの、現役最多の4勝を挙げているシンガポールこそが、今季最も勝てそうなサーキットと考えているはずだ。いずれにしても今季15戦目にして初めて、フェラーリVSメルセデスのガチンコ勝負という展開のレースになることは間違いなさそうだ。
(取材・文 柴田久仁夫)
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1位 | マックス・フェルスタッペン | 136 |
2位 | セルジオ・ペレス | 103 |
3位 | シャルル・ルクレール | 98 |
4位 | ランド・ノリス | 83 |
5位 | カルロス・サインツ | 83 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 41 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 37 |
8位 | フェルナンド・アロンソ | 33 |
9位 | ルイス・ハミルトン | 27 |
10位 | 角田裕毅 | 14 |
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 239 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 187 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 124 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 64 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 42 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 19 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 7 |
8位 | BWTアルピーヌF1チーム | 1 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 0 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第6戦 | マイアミGP | 5/5 |
第7戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5/19 |
第8戦 | モナコGP | 5/26 |
第9戦 | カナダGP | 6/9 |
第10戦 | スペインGP | 6/23 |