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【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第7回】「これだけタイヤがタレるのか」開幕時からの改善を実感も、唯一の3ストップ

2023年6月15日

 2023年シーズンで8年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。レイアウトの変わったバルセロナでニコ・ヒュルケンベルグが予選8番グリッドを獲得する活躍を見せた一方、レースではまたもやマシン特性に苦しめられた。唯一の3トップ作戦をとらなければならなかったスペインGPの現場の事情を小松エンジニアが振り返ります。


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2023年F1第8戦スペインGP
#20 ケビン・マグヌッセン 予選17番手/決勝17位
#27 ニコ・ヒュルケンベルグ 予選8番手/決勝15位


 連戦の最後はスペインGPです。今年は最終コーナーの手前にあったシケインを使わないレイアウトになりましたが、個人的にはこの変更はよかったと思っています。シケインがあったからといって特にレースで得たものはなかったですしね。ただこのレイアウトになったことでタイヤへの負荷が増えたため、金曜の夜にピレリがフロントタイヤの内圧を1psi上げました。うちのクルマは基本的に予選よりもレースの方が厳しいのですが、この新しいレイアウトではこれがさらに顕著に出てしまいました。


 予選8番手の結果からわかるようにここバルセロナで1発の速さはありました。しかし数周走って新品タイヤのグリップが落ちた状態で、前のクルマの2秒以内に入るとダウンフォースも減りすごくドライブするのが難しいクルマになってしまうんです。そのような状況だとタイヤをなかなかうまく使うことができません。特にバルセロナはタイヤに負荷がかかるコースなので、ソフトタイヤを上手く使うのは容易ではありません。ですからスタートタイヤをソフトにするかミディアムにするか悩みましたが、金曜の走行データを見ると、どう考えてもソフトにすべきだったので、レーススタートはソフトに決めました。

ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
2023年F1第8戦スペインGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)


 実際にふたを開けてみたら他車もほとんどがソフトだったので、みんな考えることは同じだったんですね。しかし、うちの場合は先ほども触れたように、混戦状態でうまくタイヤを持たせることができず、早めにピットインすることになってしまいました。


 レース前は基本的にソフト→ミディアム→ミディアムの2ストップ戦略で走ろうと考えていたのですが、タイヤのタレが大きくあまりにも早くピットインしなければいけなくなったのでレース中に急遽3ストップに変更しました。1周目に接触のあったランド・ノリス(マクラーレン)を除いて3ストップ戦略をとることになったのはうちだけです。しかし、3ストップを活かして前に出れるほどのスピードと安定感はなかったので、ポイント圏内まで挽回することはできませんでした。


 8番手からスタートしたニコは、後ろに周冠宇(アルファタウリ)、セルジオ・ペレス(レッドブル)、角田裕毅(アルピーヌ)、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)などがいて、特に接触やトラブルなどはなかったにもかかわらず数周のうちにすごい勢いで順位を落としてしまいました。もちろんすべてがクルマのせいではなくて、ニコがこういう状況にちょっと弱いというのもありますが、一番の問題はやはり周りにクルマがいるときにうちのクルマの空力が大きく影響され、とても運転しにくいクルマになってしまうということです。


 この問題はバーレーンでの開幕戦でも経験しているのですが、あの時に比べるとクルマのセットアップの面ではかなりよくなっていますし、タイヤの使い方も改善されましたが、それでもこれだけタイヤがタレるのか、という感じでした。メカニズムは違いますが、トラフィックで空力が機能しないというのは結果として2019年とよく似た状況です。

ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
2023年F1第8戦スペインGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)


 ケビンはもう少しうまくタイヤを持たせていましたが、10周目にピットインしたのは、やはりタイヤがタレてきたのと1周前にピットに入ったニック・デ・フリース(アルファタウリ)をカバーするためです。後から考えればカバーしないでもっとスティントを伸ばせるか限界まで試せばよかったなと思います。しかしなんでこういうことをしたかというと、混戦状態でクルマがうまく機能しないということに関係しています。仮にこのままスティントを伸ばしていて、もしケビンがアルピーヌに抜かれるとさらにラップタイムが落ちると考えたからです。アルピーヌのすぐ後ろにはシャルル・ルクレール(フェラーリ)も来ていたので、2台とバトルした場合のラップタイムロスを考慮しました。


 トラフィックでクルマが機能しないのも問題ですが、メカニカルのセッティングもそうです。モナコではメカニカルな弱さが露呈しましたが、スペインでは両方が出てしまいました。スペインのように負荷がかかるサーキットでタイヤを活かすには、きちんとグリップするクルマじゃないといけません。混戦状態で空力が抜けてくると、やはりメカニカルな弱さが問題になるのです。解決は簡単ではないですが、空力のエンジニアたちは改善策を全力で探っていますし、レース現場では、とにかく予選よりもレースに向けたクルマづくりをしています。


 FP2ではニコがユーズドのソフトで17周のロングランをしましたが、この時のペースはけっこうよかったです。ケビンもミディアムで最初の2周は遅かったけどまあまあ安定して走っていたので悲観してなかったんです。フリーエアーだとこういうタイムで走れるんだな、と。でもレースで周りにクルマがいる状態になると「別のクルマのようだ」だとケビンが言っていました。だからできるだけひとりで走れるようにしたかったのですが、バルセロナのような短いサーキットでは難しいです。いろんなことが影響してクルマの弱さが露呈してしまいました。

ケビン・マグヌッセン(ハース)
2023年F1第8戦スペインGP ケビン・マグヌッセン(ハース)


 クルマのアップデートに関しては、今回は前戦モナコで投入したフロントウイングの評価を行いました(本来はエミリア・ロマーニャGPで投入する予定でしたが、中止になったのでモナコで入れたものです)。それに加えてイギリスGPで導入予定の新しいC1タイヤのテストもしなければならなかったので、当初予定していたフロアの改造は次戦カナダGPで行う予定です。


 次のカナダでは新しいリヤウイングのテストをするで、やることが多くて忙しくなりそうです。フロアもちょっとした変更を試します。カナダは低速でトラクション重視とバルセロナとはまったく違ったチャレンジになりますが、今まで学んできたことをすべて使って、いいレース仕様のクルマに仕上げるのが目標です。天候も不安定なので、これも機会があれば活かしていきたいと思います。

ケビン・マグヌッセン(ハース)
2023年F1第8戦スペインGP ケビン・マグヌッセン(ハース)

ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
2023年F1第8戦スペインGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)



(Ayao Komatsu)




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