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F1モナコGP技術解説:メルセデスW14の大規模アップデート(1)レッドブルからインスピレーションを得たアンダーフロア
2023年5月31日
2023年F1第7戦モナコGPに、メルセデスが導入した大規模なマシンアップグレードを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察。W14の細部の画像を紹介するとともに、デザインの変化とその狙いを分析する。
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■より“普通”になったサイドポンツーン
開幕戦から5戦を過ぎても飛躍的な戦闘力を見せられずにきたW14が、ついに大きく生まれ変わった。モナコで発表されたW14“B”は、コンセプトを完全に変えることで失われた時間を取り戻そうとするブラックリーのエンジニアたちの努力の結晶である。この方向転換の最も目立つ部分は、横に拡大されたサイドポンツーンであろう。
エアインテークはこれまでのような狭い縦型のスリットではなく、より広い長方形となり、その下にアンダーカットが入っているのが緑の線の比較でよくわかる。
さらにレッドブル、アルピーヌ、アストンマーティンなどと同様に、メルセデスのサイドポンツーンは、マシン後部へとスロープを形成し、底部に沿って流れる気流と交わらない工夫が施されている。その結果、上側の気流はスロープに沿って車体後方に向かい、下側の気流はディフューザーの上部に向かう独自の経路をたどる。また青い線と矢印で示すように、サイドポンツーン上側に施された溝は、アストンマーティンやアルピーヌよりも浅いものだ。
■レッドブルのソリューションを取り入れたアンダーフロア
“ゼロポッド”を捨て、拡張されたサイドポンツーンばかりが目立つが、ジョージ・ラッセルも言うように、それはW14の最も重要な要素ではなさそうだ。
「一番重要な変化は、時には目に見えないこともある。今回のアップデートで、確かにサイドポンツーンはレッドブルのコンセプトに近いものに移行した。でもモナコである程度の性能向上が見られたとしたら、それは必ずしもサイドポンツーンのおかげではない」とラッセルは言う。
「グラウンドエフェクトの魔法は、あくまでフロアにあるんだ。そして以前のコンセプトでは、もはや引き出せるポテンシャルが残されていないことを確認するために、僕らは忍耐強く取り組んできた。それをやり遂げたからこそ、こうして前に進める」
では具体的にフロアには、どんな変化が見て取れるだろう。上のレッドブルとの比較写真を見ると、メルセデスがRB18の初期モデルとよく似たマウントシステムを採用していることがわかる(ただ不思議なことに、RB19のそれはモナコ以前のW14により似ている)。
残念ながら、モナコ前のW14のフロア底部の画像がないため、具体的に何が変わったのか知ることはできない。しかし下の3枚の比較写真を見てもらえば、レッドブルRB19(中央)や昨年のW13(左)と比較することで、メルセデスがW14に施した改造がレッドブルからどのような影響を与えたかを知ることはできるだろう。
写真を見ると、W14Bのフラットボトムのデザインは、先代よりもRB19のそれに近いことがわかる。中央のキールは以前のような一体型ではなく、先端部には縁取りが(黄矢印参照)、後端にはレッドブルより少ないものの、切れ込みが入っている(赤矢印参照)。
さらに2本のベンチュリトンネルの高さは、後方に向かうにつれて少しずつ変化している。ただし高低差は、RB19の方がはるかに大きい(緑矢印参照)。一方RB19に見られる奇妙な付属物(オレンジ矢印)は、W14Bにはない。メルセデスが真似できなかったこのパーツが何を意図したものなのか、現時点では不明だ。
キールの凹凸とトンネル内の高さを変えたのは、トンネルの長さに沿って容積を慎重にコントロールし、車高が変化しても気流ができるだけ一定になることを狙ったものだ。レッドブルが先鞭をつけた、車体がどんな姿勢にあっても一定のダウンフォースを発生させるソリューションを、メルセデスもようやく利用できるようになった。
(その2に続く)
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)
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