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【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第14回】“一貫性のない”レースコントロールとFIAに抗議。透明性にも欠ける裁定に辟易
2022年11月1日
2022年シーズンで7年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。F1第19戦アメリカGPではケビン・マグヌッセンがただひとり1ストップ戦略を成功させ、8戦ぶりの入賞を果たした。
その一方でレース後には、ハースは抗議を行った。この抗議は2チームに対してのものだが、実際には両チームに対するものではなく、その場しのぎな裁定を繰り返すレースコントロールやスチュアートに向けたものだと小松エンジニアは語った。FP2で行われた2023年用タイヤテストの規則にも、不十分な点が見られたという。そんなアメリカGPの現場の事情を小松エンジニアが振り返ります。
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2022年F1第19戦アメリカGP
#47 ミック・シューマッハー 予選19番手/決勝14位
#20 ケビン・マグヌッセン 予選16番手/決勝8位
アメリカGPでは、FP2で2023年用タイヤのテストが行われました。このタイヤの手応えとしては、タイヤブランケット温度が低かったにも関わらず、そんなにウォームアップは悪くありませんでしたね。バランスは2022年のタイヤとは大きく違っていました。
来年に向けてのタイヤをグランプリ週末中にテストをすることに問題はありません。ただ、テスト中にまったくスタート練習ができないという規則はよくわかりません。それにFP1で新人ドライバーを起用した場合には、FP2の1時間半のセッションのなかで、2022年タイヤでの走行が45分間許されていました。しかし、これが木曜の会議の後で35分間に変更されるなどの混乱がありました。個人的な意見としてはレギュレーション通り、45分間の走行は許されるべきで、ピレリは残りの45分でできるプログラムを組むべきでした。
また反対に新人ドライバーをFP1に起用しない場合は、FP2の1時間半を通して2022年のタイヤで走ることは許されません。これもどうかと思います。少なくともセッション時間を増やした分の30分は2022年のタイヤで走るようなレギュレーションに最初からするべきではないでしょうか? これだと、現行のレギュレーションでは大多数のミディアムタイヤが無駄になります(FP2の前に使用は認められておらず、FP2後には返却しなければなりません。しかしミディアムタイヤを使えるのはFP1で新人を起用した場合のみです)。サステナビリティを標語だけでなく、できるところでやるのであれば、このような無駄はレギュレーションで見直すべきです。
そして、COTAは相変わらずバンピーでしたね。そもそも土地が安定していないので毎年悪くなりますよね。今年も再舗装されたり、平らに削ったりといろいろやっていましたけど、やっぱりバンプは厳しかったです。特に今年のクルマだとグラウンドエフェクトを最大限に活用するためにクルマのセットアップは低く硬くなります。ですからバンプの影響をもろに受けるのです。この辺りの上手い妥協点を見つけるのが肝になります。
ケビンは予選Q1の2回目のアタックで、バンプの影響でコンマ3秒のロスをしました。でも、バンプはいつも同じところにあるわけです。だからQ2にいけるかいけないかの大事なラップで、走り方を変えるということがそもそもいけません。モンツァでトラックリミット違反を取られた時と同じです。予選の、しかもウチにとっては最も重要なラップで試すことではないんです。これがなければ楽にQ2に進んでいました。もう少しアプローチを考えなければいけませんね。
とはいえ、ケビンは決勝では1ストップ戦略でいいレースができました。スタートでジョージ・ラッセル(メルセデス)とカルロス・サインツ(フェラーリ)のアクシデントを避けるために、ほぼストップしたシャルル・ルクレール(フェラーリ)のすぐ後ろにつかえてしまい、ケビンは最後尾まで順位を落としてしまいました。そこからはとにかく我慢のレースで、ハードタイヤで第1スティントを引っ張る予定でした。
18周目にセーフティカーが出たのでこのタイミングで迷わず2台ともピットイン。ここでミディアムタイヤを履いたのですが、ミックに比べてなかなかペースが上がりませんでした。33周目には、前周にピットインしたピエール・ガスリー(アルファタウリ)をカバーするためにミックをピットに入れました。ここからは後ろのエステバン・オコン(アルピーヌ)にアンダーカットされないよう、ケビンにペースを上げる指示を出しました。
ここでケビンのラップがとてもよくて、すぐにオコンに対してギャップを築くことができたので、ピットインを急ぐ必要はなくなりました。フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)とオコンがポジションを入れ替えた後もケビンはいいペースで走り続けられたので、このまま引っ張ることに。オコンが45周目にピットインした段階で残り11周。たとえここでタイヤが終わってもピットインするよりはいいので、この段階で1ストップで最後まで行くことに決めました。アロンソとランド・ノリス(マクラーレン)に抜かれるのはわかっていましたが、なんとかセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)の前で終わりたかったです。最終ラップの終わりに抜かれてしまったものの、いいバトルをしましたし、戦略も上手くいったと思います。
■「レース中の裁定もその場しのぎ」“一貫性のない”レースコントロールとFIAに抗議
レース後、アロンソのミラーとセルジオ・ペレス(レッドブル)のフロントウイングの件に対して抗議を出しましたが、これは両チームに対しての抗議というよりは、一貫性のないレースコントロールとスチュワードへの抗議です。
たとえばミラーの件は、レース中にレースコントロールに質問しているのです。それでも何も起こらなかったので、レース後にスチュワードのところに行きました。ところがスチュワードたちは、レースコントロールから何も聞いていないと言うのです。これではあまりにもおかしいので、レースディレクターのところに行きました。すると、ジョー・バウアー(FIAテクニカルデリゲート)が危険ではないと判断したとのこと。これではあまりにも透明性を欠いているので抗議することにしました。
その後、召喚されて全員が揃ったところでバウアーに問いただしたところ、「オンボード映像は見ていないのでわからないが、クルマからモノが落ちる可能性があるのは危険だ」と言うのです。まず、見ていないってどういうことでしょう? アロンソのミラーは20周以上にわたって振動していたんです。ニコラス・トンバシス(FIAシングルシーター技術責任者)も危険だと言っていました。では、どうしてブラック&オレンジ旗は出されなかったのでしょうか。抗議の結果、アロンソに30秒のペナルティが科されましたが(その後のアピールでこれも覆りました)、最もおかしいのはレースコントロールとスチュワードによる裁定の一貫性のなさです。
先に書いたタイヤテストのレギュレーションもそうですが、とにかくすべてのことが考え抜かれていないと感じます。レギュレーションや技術司令(technical directive)もその場しのぎ。レース中の裁定もその場しのぎだから一貫性に欠けるのです。ここまで書いてしまっていいのかどうか迷いましたが、とにかく改善の余地は大きいのでしっかりと体制を見直してほしいと思います。
(Ayao Komatsu)
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12/6(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
12/7(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
12/8(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
1位 | マックス・フェルスタッペン | 437 |
2位 | ランド・ノリス | 374 |
3位 | シャルル・ルクレール | 356 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 292 |
5位 | カルロス・サインツ | 290 |
6位 | ジョージ・ラッセル | 245 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 223 |
8位 | セルジオ・ペレス | 152 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 70 |
10位 | ピエール・ガスリー | 42 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 666 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 652 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 589 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 468 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 94 |
6位 | BWTアルピーヌF1チーム | 65 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 58 |
8位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 46 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 4 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
第23戦 | カタールGP | 12/1 |