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トロロッソ・ホンダ辛口コラム 開幕直前編:壊れないのが当たり前。速さを見せて初めて評価できる

2018年3月20日

 トロロッソ・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価するF1速報WEBの連載コラム。レースごとに、週末のトロロッソ・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回は開幕直前編としてオートスポーツWEBにも甘口・辛口の両方を掲載します。
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 マクラーレン・ホンダの第2章は、両者に苦しみをもたらし続けた末に終わりを迎えた。おそらく第3章はもうないだろう。ともあれホンダF1は、トロロッソと契約を結び、新たなスタートを切った。そして今年のパフォーマンスによっては、レッドブル・レーシングもパートナーに加わるかもしれない。


 カタルニア・サーキットで行われたプレシーズンテストにおいて、トロロッソSTR13・ホンダは誰も予想しなかったほどスムーズに周回を重ね、メルセデス、フェラーリに次ぐ周回数を記録してみせた。


 ピエール・ガスリーはギヤボックストラブルで半日を失い、ブレンドン・ハートレーは雪のために1日を棒に振ったが、ふたりはテスト期間中、小さなトラブルに見舞われたのみで、着実に距離を積み重ねていった。ガスリーを合計周回数で上回ったのはセバスチャン・ベッテル(キミ・ライコネンの体調不良により予定より多めに走行)、メルセデスのバルテリ・ボッタスとルイス・ハミルトンだけだ。テスト期間を通してホンダのパワーユニットは好調で、唯一のトラブルが検知されたのは最終日のセッション終了1時間前だった。しかしそれも関係者の情報によると、大きな問題ではなかったようだ。


 ホンダもトロロッソも、信頼性に関しては1年前より圧倒的に順調なテスト期間を過ごしたといえるだろう。


 走行距離は明確なデータとして確認できるが、パフォーマンスレベルは開幕戦オーストラリアの予選を終えるまでは判断することができない。だが現時点で、STR13は悪いマシンではなく、明らかな欠点は見当たらないように思われる。ドライバーたち、特にガスリーは、マシンがどう機能するか、どうセットアップすべきかをしっかり把握して走っていたようだ。


 もちろんプレシーズンテストでのラップタイムには大きな意味はないが、8日間総合でガスリーが7位のタイムを記録したことを、トロロッソとホンダは満足しているに違いない(ハートレーは13位だったが)。


 ただし、ガスリーより下位にとどまったメルセデスのふたりは、予選シミュレーションは一切行わなかったことを忘れてはならない。ハミルトンとボッタスはウルトラソフトタイヤを装着し、たっぷり燃料を積んでいたランでそれぞれのベストタイムを出している。彼らはテスト期間中、ミディアムタイヤをメインに使い、他チームより硬いタイヤで恐ろしいほどの速さを見せていた。


 だがいずれにしてもトロロッソは、現段階では自分たちがトップ3チーム、さらにルノーやハースと競えるレベルではないことは分かっているはずだ。ケビン・マグヌッセンがスーパーソフトタイヤで見せたパフォーマンスには誰もが衝撃を受けた。トロロッソは彼らには太刀打ちできないかもしれない。だが、中位グループでの戦いには間違いなく食い込めるだろう。テストを見た限りでは、フォース・インディア、ウイリアムズ、ザウバーに勝つことはできそうだ。ただしフォース・インディアは開幕戦に新しいエアロパッケージを導入して大きな改善を図るものとみられているため、実際の序列がどうなるのかは、走ってみるまで分からない。


 ホンダほどの自動車メーカーであれば、パートナーに信頼性の高いパワーユニットを提供するのは当たり前のことだ。従って、オーストラリアGPを通して2台がトラブルフリーで走り、完走を果たしたとしても、それだけのことでさくらとミルトン・キーンズで祝杯をあげるわけにはいかない。


 そうはいっても、両ファクトリーのスタッフたちは、開幕戦で2台そろってチェッカーを受けたなら、心の底から安堵するだろう。過去3年間、ホンダは多数の問題を抱え、大きなプレッシャーをかけられ、メディアから叩かれてきたのだから。


 しかしホンダの評価は、単に壊れないということによってではなく、パフォーマンスレベルにおいてなされるべきだ。彼ら自身、勝つ力があるパワーユニットを生み出せるまでにはまだ長い道のりが待っていることを承知しているはずである。現状、メルセデスには遠くおよばないし、フェラーリは今年さらに一歩前進した。ただ、ルノーはホンダにとって現実的なターゲットになり得る。ルノーに追いつくことができれば、大きく遅れたところからスタートしたホンダとしては立派な成果といえるだろう。
 
 バルセロナでの8日間だけを見て大喜びしてはならない。しかしホンダファンは心の奥底に楽観的な思いを秘めていてもいいと思う。マクラーレンファンに対しては、そう言ってあげる自信はないが……。
 



(Nick Richards)


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