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【レースの焦点】モナコを知り尽くしたニコの覚悟

2014年5月26日

Mercedes

「なんとしてでも、ルイスの勢いを止めなければならなかったから」

 僕にとって特別な勝利だと言った後、ニコ・ロズベルグは理由としてまず、ルイス・ハミルトンの連勝――マレーシア〜スペインGPまでの4連勝――に、歯止めをかけたことを挙げた。その言葉の後では、モナコ2連覇も“家族や友達が見守るなかでの地元優勝”も、修飾語のように響いた。ニコにとっては、チームメイトの連勝をストップして選手権リードを取り戻したことに何より大きな意義がある。第7戦がハミルトン得意のカナダGPであることを考えると、ここで流れを絶つことは必須だった。

 予選でポールポジションを獲得すること。スタートで首位を守ること。そして作戦に失敗しないこと。オーバーテイクが困難なモナコで勝つには、この3つのステップが他の何処よりも明確になる。ロズベルグの最大の勝因は、予選でハミルトンを抑えたことだ。

 彼がQ3最後のアタックでミス、ミラボーでイエローフラッグを出したことは、予選後のパドックで大きな話題になった。多くのドライバーがラップタイムを短縮する機会を奪われ、ハミルトンが不機嫌な態度によって“第一の犠牲者”であることを強調し……それに反応するように予選終了後、スチュワードがこの件の審議に入ったためだ――ロズベルグのミスは故意ではないか?と、嫌疑がかけられたのだ。

 Q3最初のアタックで、ロズベルグはひとり1分15秒台のタイムを記録していた。2位ハミルトンは遅れること1000分の59秒。Q1〜Q2も僅差で争ってきたふたりだけにQ3最後のアタックに期待が高まったのも当然で、イエローフラッグという幕切れが誰にとっても残念だったことは間違いない。ただ、ミラボーの入り口でタイヤをロックしたロズベルグが体勢を立て直そうとした後、諦めてエスケープゾーンにマシンを運んだ様子はフェアに映った――モナコで数少ない“退避路”のあるコーナーだが、素早く判断しないとそこを通り過ぎてコースを塞ぐことになる。ニコの動きは被害を最小限に留めた“ナイスプレー”にしか見えなかった。それでも、メルセデスのふたりに過度なライバル関係を期待するメディアは多い。


 Q3の前半に見事なタイムを確保していたロズベルグには、リスクを冒す権利があった。ミラボー入り口の速度計測地点で彼が記録した215.6km/hは、ハミルトンの208.0km/hより7.6km/h(!)も速かったのだから・・・大きなチャレンジである。ただしここで2番目に速かったアロンソが213.4km/hからちゃんと制動していることを考慮すると、無謀だったわけではない。トライしてミスに終わったものの、ニコの勝因は、先にトップタイムを出し、失うものはない状態で“さらに限界に近づく”権利を手に入れたこと――モナコの予選の戦い方を熟知していたことだ。

 ふたつ目の課題はスタート。ロズベルグもハミルトンもスタートダッシュはまったく同レベルで、ポールシッターが首位を守った。あとは作戦の勝負。しかし1ストップのレースでチームメイトを相手に策略をめぐらすことは難しく、2度目のセーフティカーでふたりは同時にピットイン――1年前と似た状況だった。ハミルトンは去年のようにレッドブルに先行されることこそなかったものの、これで勝利のチャンスはほとんどなくなった。

ただし、ロズベルグにも“燃費”という不安の種があった。

モナコのレース距離は260kmで、他より15%程度も短い。したがって100kg/レースという使用燃料の総量は問題とならないが、できるだけ少ない燃料を搭載して軽いマシンでスタートするのは2013年までのF1と同じ。40周を過ぎたあたりから、ロズベルグには何度も「燃料セーブ」の指令が飛んだ。

マシンコントロールの大変な市街地レースで、ロズベルグはドライビングスタイルを変え、通常と違うギヤを使用し、リフト&コーストする(ブレーキングポイントより手前でスロットルを閉じる)ことが必要になった――2度のセーフティカー導入によって合計7周以上がスロー走行になったにもかかわらず、燃料がギリギリ。強いメルセデスは、作戦でもそこまで攻め込んでいたのだ。セーフティカーの可能性が80%のモナコGPとはいえ、もしも78周の間セーフティカーが入らなければメルセデスはどう対応する予定だったのか、興味深い。




レース

7/5(金) フリー走行1回目 20:30〜21:30
フリー走行2回目 24:00〜25:00
7/6(土) フリー走行3回目 19:30〜20:30
予選 23:00〜
7/7(日) 決勝 23:00〜


ドライバーズランキング

※オーストリアGP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン237
2位ランド・ノリス156
3位シャルル・ルクレール150
4位カルロス・サインツ135
5位セルジオ・ペレス118
6位オスカー・ピアストリ112
7位ジョージ・ラッセル111
8位ルイス・ハミルトン85
9位フェルナンド・アロンソ41
10位角田裕毅19

チームランキング

※オーストリアGP終了時点
1位オラクル・レッドブル・レーシング355
2位スクーデリア・フェラーリ291
3位マクラーレン・フォーミュラ1チーム268
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム196
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム58
6位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム30
7位マネーグラム・ハースF1チーム19
8位BWTアルピーヌF1チーム9
9位ウイリアムズ・レーシング2
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー0

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