最新記事
- グランプリのうわさ話:オースティン、コース...
- JRPA日本レース写真家協会が2024年モータース...
- ルーキーレース延期の理由のひとつはロジステ...
- ルノーの次世代F1パワーユニット救済を求める...
- 2025年用ピレリF1タイヤのテストにメルセデス...
- F1、巨大複合企業グループ『LVMH』と10年のグ...
- 【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】マルコの...
- シーズン後の新『F1ルーキーレース』、2024年...
- F1パワートレイン事情:ハミルトンがアゼルバ...
- 「いじめに遭い、本当につらい時期があった」...
- 苦戦するチームに「特効薬はない」アルピーヌ...
- 松田次生のF1目線:ドライバーに求められるセ...
今宮純の金曜インプレッション:瞬間勝負の新コース、初日のスターを選び出す
2016年6月18日
「ミスを犯したら容赦はしない」アゼルバイジャンの“主”は、そう言わんばかりに22人を脅した。初日2セッションの間に何台がコースを外れたか、数えるのを途中であきらめた。
エスケープゾーンがない、壁が近い、新品舗装が滑りやすい、狭くて見通せない、ピットロードのシケインも危なすぎる……ドライバーの意見が走行前から話題になっていたが、だからこそ誰が真っ先にチャレンジしていくか。ある意味、1980年代クラシックF1期のごとく、初コースに全神経を集中、1周ごとに限界ポイントを探って瞬く間にコースをマスターしていったのがハミルトンだった。
9周目に1分48秒214、大ナタでぶった切るようにラップタイムを削った。圧巻はセクター1。ほぼ直角に曲がるコーナーが6つ、まったく同じリズムでクリア。旋回時間が短い、これらのコーナーはすべて進入する瞬間速度で決まる一瞬勝負だ。
常人には到底できない。申し訳ないが、ニコ・ロズベルグもできなかった。フリー走行1回目(FP1)の最速タイムは1分46秒435、2位ロズベルグに0.377秒差。セクター1だけで「0.383秒差」! セクター2と3でロズベルグがベストでも、セクター1の大差はフォローできない。
深読みするとハミルトンは、あえてセクター2と3は抑え、土曜の予選Q3まで引き出しの中にとっておいてあるのかもしれない。セクター1で対抗しようとロズベルグが土曜からセッティングやラインワークを変えてきたら、自分はコース後半部分で本気モードに転じ、さらに動揺を誘うのか……。
初コースでは早く得意セクター(コーナー)を見出した者が先手をとる。フリー走行2回目(FP2)では、そこで0.659秒差!! 画面で2台の走りをCG合成して見せたなら違いは一目瞭然。金曜の「バクー・チャンピオン」に僕は見とれた。
ハミルトンばかり、ほめてはいられない。メルセデス・ワークス勢に次ぐ3番男、FP1バルテリ・ボッタスとFP2セルジオ・ペレスにも勇気あるチャレンジを見た。ふたりともリスキーなコースを嫌がらずに受け入れ、シミュレーター(疑似体験)とは違うリアル・チャレンジに没頭。9周でペレス1分48秒922、同じくボッタス1分48秒923、相手にとって不足はない。フォースインディア対ウイリアムズ、両チーム両者が金曜の暫定2列目を分けたのは必然の結果だろう。
ふたりのチャンピオンと新鋭にも触れたい。フェルナンド・アロンソは8周で1分49秒127、ジェンソン・バトンは9周で1分49秒635。マックス・フェルスタッペンは実質3周で1分50秒485。オイル煙を吐くまで、たった3回のフライングラップながら、セクター3でダニエル・リカルドを上回った。この区間は最もTAGホイヤー(ルノー製パワーユニット)が劣るところで、フェルスタッペンは16〜20コーナーを、ほぼ全開のまま行ったと想像できる。つまり未知の道を突き抜ける最短コース(ライン)を、いち早く本能で発見したという事実だ。昨年、初モナコGPのFP1で2位、復活メキシコGPのFP1は1位。末恐ろしい才能を秘めた新鋭は、バクー金曜FP2で7位、よくパワーユニット特性をカバーした。
バトンがフェラーリのセバスチャン・ベッテルに、アロンソがレッドブルのリカルドに食い下がり、FP2では9位と11位。ふたりとも最適ラインをすぐ見抜いていただけに、ここからの課題は位置を守れるかどうか。冷静に見通せば、これまでの予選「定位置」を確保、乱戦が予測される初コースGPでのベテラン力を信頼したい。
1983年ヨーロッパGP(ブランズハッチ)から22回、いずれも数々の悲喜劇が起きてきた。なぜか「ヨーロッパGP」の名称を冠するレースには、そんなジンクスが横たわる。中盤の始まり、カスピ海沿岸からチャンピオンシップの潮目は変わるのか。
(Text : Jun Imamiya)
関連ニュース
9/20(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
9/21(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
9/22(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
1位 | マックス・フェルスタッペン | 331 |
2位 | ランド・ノリス | 279 |
3位 | シャルル・ルクレール | 245 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 237 |
5位 | カルロス・サインツ | 190 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 174 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 155 |
8位 | セルジオ・ペレス | 144 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 62 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 24 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 516 |
2位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 475 |
3位 | スクーデリア・フェラーリ | 441 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 329 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 34 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 31 |
8位 | ウイリアムズ・レーシング | 16 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 13 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第18戦 | シンガポールGP | 9/22 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |