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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:アメリカ編】取り戻した持ち前の強さ。先輩ドライバーのサポートが奏功か

2021年11月4日

 2021年に7年ぶりに日本人F1ドライバーが登場した。アルファタウリ・ホンダからF1にデビューした角田裕毅だ。極めて高い評価を受け、大きな期待を担う角田を、海外の関係者はどう見ているのか。今は引退の身だが、モータースポーツ界で長年を過ごし、チームオーナーやコメンテーターを務めた経験もあるというエディ・エディントン(仮名)が、豊富な経験をもとに、忌憚のない意見をぶつける。今回は2021年F1第17戦アメリカGPについて聞いた。


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 多くの人たちが、角田は期待ほどではなかっただの、一貫性がないだの、F1ドライバーの器かどうか疑わしいだの、いろいろなことを言っていた。そのなかでこの私ひとりだけが、「彼を公平に評価しろ。不当な批判をしたり、プレッシャーをかけてはならない」(つまり「マルコを5マイル以上遠ざけておけ」という意味)と訴え続けてきた。そうすれば角田は結果を出せると信じていたのだ。


……なになに? 「あなただって、『角田はそろそろいい仕事をしないと、デニス・ハウガーかリアム・ローソンと交代させられる』と言ってたくせに」だと? いったい何の話だ。私は裕毅の速さや才能を疑ったことは一度もない。常に彼を信じ続けた。そして私の考えが正しかったことが、オースティンで証明されたのだ。


 FP1で彼のペースが良くなくても、全く心配していなかった。初めてのコースを学習しようとしていただけのことだからだ。オースティンは習得するのが難しいコースだし、バンプがあって少しミスをすればコースから飛び出してしまう。じっくりとコースを覚えていけばいいのだ。


 予選Q1を11番手で通過。Q2では、アルファタウリはトルコと同じく、角田をソフトタイヤで戦わせ、Q3に送り込んだ。今回は、マックス・フェルスタッペンとレッドブルのために、バルテリ・ボッタスの抑え役をさせたいという意図があった。


 アルファタウリも、カルロス・サインツを同じくソフトタイヤでQ2を戦わせたフェラーリも予想しなかったことだが、レースではソフトタイヤはミディアムと同じぐらい長持ちした。今回はそれも角田の助けになったといえるだろう。

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第17戦アメリカGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

 ボッタスはスタート直後に角田に前に出られてしまい、前回のルイス・ハミルトン同様、なかなか抜くことができず、かわすことができたのは、1回目のタイヤ交換の後だった。その後、角田はセカンドスティントでも最終スティントでも、ベテランのようにタイヤをうまく管理して走った。キミ・ライコネンやセバスチャン・ベッテルからプレッシャーをかけられる場面もあったが、しっかり凌ぎ切った。55周を通して、角田は全くミスをせず、周回遅れになる際も、相手がフェルスタッペンやハミルトンの場合も、妥協しすぎることなくクレバーな抜かれ方をした。角田の走りは2ポイントに値するといっていい。

■先輩ドライバーの存在がプラスに働いている可能性

 最近、アレクサンダー・アルボンがアルファタウリのガレージにいて、角田のコーチのような仕事をしていると聞いた。関係者から直接詳しい話を聞いたわけではないが、私が伝え聞いたところでは、角田が同じ言語を話す人間のサポートを受けていることが、プラスに働いているようだ。“同じ言語”といっても、日本語のことではない。同じドライバー同士が話す言葉、という意味だ。そういう人物が無線の会話も常に聞いて、角田とエンジニアが互いへの理解を深める手伝いをしているわけだ。

2021年F1第17戦アメリカGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第17戦アメリカGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

 ここで質問。あの少年には、自分のやるべきことに集中するのを助けてくれるようなサポート役が必要だと言っていたのは誰でしょう? そう、この私、エディ爺さんだ。私の偉大さをこれで誰もが思い知ったことと思うが、自慢するつもりはない。私は長年F1で起こるすべてのことを見てきた。これぐらいのことはお見通しなのだ。

2021年F1第17戦アメリカGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)のスペシャルデザインヘルメット

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筆者エディ・エディントンについて
 エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。


 ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。


 しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。


 ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちのある握手はバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。



(Eddie Eddington)




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