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【津川哲夫のF1私的開幕コラム】レッドブル・ホンダ、タイトルへの焦点《どれだけハミルトンとの一騎打ち状態を作れるか》

2020年7月3日

 昨年のシーズン前半戦は車体とホンダPU(パワーユニット)の開発に当てたレッドブル。ホンダとの作業はジュニアチームである当時のトロロッソ(現アルファタウリ)で1年の経験があったものの、レッドブル・チームとはコラボ初年度ということで戸惑いもあり、車体とPUとのマッチングに時間を費やすことになってしまった。それでも昨年前半の進行は想定内で、むしろお互いの理解度のすり合わせが前半戦の目的だったと言ってよいだろう。


 お互いの理解度が深まった昨年の後半戦はご存知のように、ホンダPUの信頼性とパフォーマンスの向上が顕著で、若干過激な設定で出発したレッドブルの昨年シャシーRB15もシーズン後半には神経質さが薄れて安定性を増し、マルチ・ウインを果たしている。この昨年後半の勢いを持続できれば今シーズンのレッドブル・ホンダはトップをひた走るメルセデスの牙城を狙う最先鋒となるのは間違いなさそうだ。


 昨年のホンダはフェラーリにパフォーマンスで遅れ、メルセデスにも近づきながらもわずかに後れを取っていた。しかし今シーズンのホンダPUのパフォーマンス向上は顕著で、メルセデスやフェラーリと限りなく接近してきているのはたしか。これに鉄壁の信頼性が確立できたなら、もちろんトップランナーの一画となるのは間違いない。


 車体面としては、レッドブルの新車RB16は昨年の過激さを緩め、セッティング・レンジの幅広い設定がされている。レッドブルはすでに昨年のRB15が決して成功したマシンではないことを明言している。すなわち、RB16はその弱点をは克服したマシン……? と考えてよさそうだ。


 神経質なハンドリングをなだめつつ、レーキエアロながらも床下のベンチュリーに拘り、効率の良い高ダウンフォースが狙われていることが推測されるレッドブルRB16。これまで若干苦しんだストレートスピードや高速コーナーでの安定性が、彼らの思惑どおりの向上を果たしていれば、メルセデスがかなりの苦境に立つ可能性は高そうだ。


 ただしチャンピオンを狙うのはそう簡単ではない。タイトルを狙うためには、まずはレッドブル・ホンダは得意としているサーsキットで確実にメルセデスを上回る必要がある。これまでのシーズンの戦いを振り返ると、たとえば低速区間が多いハンガリー、そして高地のオーストリア、メキシコやブラジル、そしてアブダビなどはレッドブル・ホンダが優位になる可能性が高いサーキットと言える。


 さらには、ホンダPU次第では意外にも高速型のサーキット、モンツァなどでも優勝の可能性が出てくるかもしれない。しかし、それだけではチャンピオンには届かない、ましてやこれらの得意なサーキットをひとつでも落としてしまえば、チャンピオンへの夢は遠ざかってしまう。 

2020年F1第2回バルセロナテスト1日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)


 レッドブル・ホンダの今シーズンは全戦完走、そして確実に表彰台を狙いくような戦い方が求められる。そのためにはメカニカルな信頼性とパフォーマンスの部分だけでなく、レース戦略、ピット作業などチーム運営の面などあらゆる部分で小さなミスも許されないことになる。


 そしてメルセデスにはルイス・ハミルトンと言うケタ違いの現代最強ドライバーがおり、そのチームメートのボッタスもハミルトンの後方を走る強力な砦となっている。レッドブル・ホンダとしてはハミルトンと同等のパフォーマンスを秘めるマックス・フェルスタッペンがまずはトップに挑み、そしてメルセデスのボッタスの牙城を崩すためにも、チームメイトのアレクサンダー・アルボンがまずはフェルスタッペンの真後ろで予選から着いて行けるかが重要になっていくる。


 また、レッドブル・ホンダのサポート的存在として大きな役割を果たしそうなのが、2台のアルファタウリ・ホンダだ。この2台が常時トップ10の中間部分を戦い、メルセデス陣営のセカンドチーム、ピンク・メルセデスとも言われるレーシングポイントなどのライバルたちと順位を渡り合ってくれれば、フェルスタッペンはまさに、ハミルトンとの一騎打ちが可能になる。そうなればバトルに強いフェルスタッペンの武器が最大限に活かされることになる。


 これまでの実績からも、チーム運営面に関してはレッドブルは大きな失敗をするチームではない。たとえパフォーマンスが劣るパワーユニットであろうとも、レース戦略や週末の的確なアプローチで常にその最良の答えを出してきた。レッドブルは昨年からホンダという強力なパートナーを得て、今年は完璧なコラボレーションへとまた一歩、近づいたはずである。
 
 レッドブルはホンダとの密なるコラボを経て、ついに王者メルセデスとほぼ対等な位置へと登ってきた。その頂点に立つ最強メルセデスが今年、どの程度の向上と開発を進められたかはこれからだが、今シーズンのレッドブル・ホンダ、そのメルセデスの開幕パンチにどのようなカウンターパンチを見舞うことができるだろうか……もちろん、強烈なカウンターパンチでメルセデスをマットに沈めるレッドブル・ホンダの姿を大いに期待している。



(Tetsuo Tsugawa)




レース

4/19(金) フリー走行 結果 / レポート
スプリント予選 結果 / レポート
4/20(土) スプリント 12:00〜13:00
予選 16:00〜
4/21(日) 決勝 16:00〜


ドライバーズランキング

※日本GP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン77
2位セルジオ・ペレス64
3位シャルル・ルクレール59
4位カルロス・サインツ55
5位ランド・ノリス37
6位オスカー・ピアストリ32
7位ジョージ・ラッセル24
8位フェルナンド・アロンソ24
9位ルイス・ハミルトン10
10位ランス・ストロール9

チームランキング

※日本GP終了時点
1位オラクル・レッドブル・レーシング141
2位スクーデリア・フェラーリ120
3位マクラーレン・フォーミュラ1チーム69
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム34
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム33
6位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム7
7位マネーグラム・ハースF1チーム4
8位ウイリアムズ・レーシング0
9位ステークF1チーム・キック・ザウバー0
10位BWTアルピーヌF1チーム0

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