ロマン・グロージャンによると、ハースはスペアパーツの数が十分に揃わないままF1デビューを迎えることになりそうだ。
1年前にロータスで開幕を迎えたときの状況と比較して、グロージャンはこう語っている。
「まだ十分な数のスペアパーツがないのは確かだ。ただ、昨年とは理由が違う。今年は単純にスペアを作る時間がなかっただけだが、昨年(のロータス)はスペアパーツが買えなかったんだ」
ハースにとって2台のマシンを同時に走らせるのは、開幕戦オーストラリアGPが初めてだ。バルセロナでの初日にフロントウイングが脱落するトラブルがあったものの、彼らは比較的順調に1回目のテストを終えた。しかし、2回目は燃料系、ターボ、ブレーキ・バイ・ワイヤーなどの問題に見舞われ、マシンはかなりの時間をガレージの中ですごすことになった。
とはいえグロージャンは前向きに話す。「トラブルは避けられない。F1ではシーズンを通じて、いつも何かしら問題が起きるものだ。おそらくこれからも、僕らはほかのチーム以上に様々なトラブルに直面するだろう。だけどテストで学んだことは、多くの知識の蓄積と開幕戦に向けての準備に役立っているよ」
チーム代表のギュンター・シュタイナーは、クルマの仕様はテストの時点からあまり変わっておらず、「いくつかのエリアで熱対策を講じた」ことくらいだと語っている。彼によると、マシンの改良よりも、グロージャンとチームメイトのエステバン・グティエレスのために2台のクルマを準備し、この週末に向けて基本的なセットアップを行なうことを重視したという。
「最大の課題は、2台目のマシンを組み上げることだった。最初の1台を完成させてテストで走らせることはできても、その後わずか1週間でもう1台を組み立てるのは容易なことではなかった。私たちはこの経験から学んで、あまり欲ばってあれこれやろうとせずに、まず2台目のクルマをレースに間に合わせ、確実に走らせることに専念してきた」
「テストを終えた後、新しいアイテムは何も投入していない。エンジニアたちがデータを分析し、あらゆる問題を検討して、開幕戦でのベースセットアップを決めてきただけだ」
彼らは2回目のテストでセットアップ作業に集中的に取り組む予定だったが、トラブルによって妥協を強いられた結果、デビュー戦でポイントを獲得するというチームの目標は、いまや達成が困難になったとシュタイナーは言う。
「すべての準備がきちんとできていれば、ポイント獲得は現実的な目標だった。しかし、まだ揃っていない要素がいくつもある。クルマの素性は良いのだが、これから適切なセットアップを見つける必要があるんだ。まわりのチームはどこも高い能力と経験があり、しっかり準備をしてきたはずだから、ここへ来てさらに速くなるだろう。私たちが早い段階で良いセットアップを見つけて、自信を持ってレースに臨めばポイント獲得は可能だ。だが、まだすべての要素が揃ったとは言えない」
Translation:Kenji Mizugaki