フェラーリのリザーブドライバーに就任した周冠宇は、フィオラノ・サーキットでのテストセッション中にテスト兼シミュレータードライバーのアントニオ・フォコとフェラーリの旧型マシン『SF-23』を共有し、初めてフェラーリのマシンをドライブした。
チームの大半はミラノに向かったが、それはフェラーリとウニクレディトの新たな提携を祝う、市内中心部で行われる華やかなイベントに参加するためだった。その一方でテストチームは、スクーデリアのプライベートサーキットであるフィオラノで丸1日作業を行った。そのシャシーは先月末、バルセロナで行われた2日間のテストでシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンが使用したのと同じもので、ターン12の出口でハミルトンがクラッシュさせたシャシーだ。
2022年に導入されたスポーティングレギュレーションによってこの種のテストが適切に規制されて以来、フェラーリは、冬の終わりにドライバーがレース本能を研ぎ澄ますことができるように、旧型車を用いたテスト(TPC/Testing of Previous Cars)をかなり一貫して実施してきた。これらのテストは若手のリザーブドライバー、テストドライバー、シミュレータードライバーを実際の状況でトレーニングさせるのにも適しており、必要に応じてレースの準備を整えたり、FP1の出場に備えたりする役に立っている。
彼らがグランプリの週末に走ることは、レースドライバーにとっても有益で、これはシミュレーターとトラック間の相関関係の改善に役立つ優れた方法だ。シミュレーターのドライバーは、実際の条件で走行した後、本来の仕事に戻ったときに、よりよいフィードバックを提供できるようになる。
周にとっては、これがシーズン前にレースに備えるチャンスだった。彼は2025年の最初の5つのグランプリ(オーストラリア、中国、日本、バーレーン、サウジアラビア)でリザーブドライバーとして現地に赴くことになり、フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)時代から知っているサーキットでレースの週末に向けた準備を整えることになる。周は、カートを離れてF4に参戦した2014年から2018年までFDAに所属していたが、2019年にFIA F2に昇格してルノーの若手ドライバープログラムに移籍することを決意した。
10年以上フェラーリファミリーの一員であり、現在はスクーデリアのWECドライバーのひとりであるフォコは、シミュレータープログラムの重要人物とみなされており、チームにとって極めて重要な新しい機器の作業に役立つように、以前のマシンで数日間実際に走行する機会を与えられている。フィオラノでは、周が午前のセッションを担当し、フォコが午後に走行した。このようなケースではよくあることだが、チームは彼らのラップタイムを明かさなかったため、チーム外の誰もがベストタイムラップを知ることができていない。
(GrandPrix.com / Translation : AKARAG)