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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】2023年の契約を目指して、驚異的な速さを取り戻せ

2021年9月23日

 2021年に7年ぶりに日本人F1ドライバーが登場した。アルファタウリ・ホンダからF1にデビューした角田裕毅だ。極めて高い評価を受け、大きな期待を担う角田を、海外の関係者はどう見ているのか。今は引退の身だが、モータースポーツ界で長年を過ごし、チームオーナーやコメンテーターを務めた経験もあるというエディ・エディントン(仮名)が、豊富な経験をもとに、忌憚のない意見をぶつける。今回はF1第12戦ベルギーGP、第13戦オランダGP、第14戦イタリアGPの3連戦を見ての感想を語ってもらった。


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 3連戦で連続ノーポイントとは驚いた。モンツァとザントフォールトは、テクニカルトラブルでリタイアしたのだし、スパは実際にはレースがなかったようなものだ。それは分かっているが、裕毅が3戦のなかで一度もポイント争いに加わることができなかったのは、いったいどういうわけなのだろう。同じクルマに乗るピエール・ガスリーは、ベルギーで6位、オランダで4位、イタリアで予選6位という結果を出したのにだ。


 あの個性的な顔をしたフランス人の若者には感心させられる。できるだけ早くレッドブルとの契約を打ち切るべきだ。彼はトロロッソ? ミナルディ? じゃなくて今はアルファタウリか、そこで懸命に走って結果を出している。本当にもったいない。彼のキャリアにおいては時間の無駄だ。この数戦に限っていえば、ガスリーの方がセルジオ・ペレスよりもマックス・フェルスタッペンの助けになっていた。

角田裕毅、フランツ・トスト、ピエール・ガスリー
2021年F1第12戦ベルギーGP 左から角田裕毅、フランツ・トスト(アルファタウリ・ホンダ チーム代表)、ピエール・ガスリー

……角田の話に戻れって? そうそう、彼の残留が発表されたね。裕毅は「クラッシュしてばかりいたので、契約が延長されてびっくりしました」とか言っていたが、君が残ることはずっと前から私の耳に入っていた。F1の舞台裏で起きていることで、この私が知らないことなど何もないのだ。たとえば、マルコのもとには来年F1に昇格させられる若手がいないということとかね。


 さて、角田はどうなっているのかという問題だ。シーズン序盤に示していた驚異的な速さはどこに行ってしまったのか。バーレーンで見せた大胆で積極的な動きはどうした? 今はすべて失われてしまった。今の彼は、自分の影に怯え、「またミスをしてクラッシュしたらどうしよう」と考えながら走っているように見える。その結果、速さが失われてしまったのかもしれない。

2021年F1第14戦イタリアGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第14戦イタリアGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

 さらに、ホイール・トゥ・ホイールの戦いでの判断力もない。たとえばモンツァでのロバート・クビサとの接触は、難なく避けられたはずのものだ。角田はコーナーで負けていたが、結局は彼のマシンの方がアルファロメオよりもずっと速かったのだから、いずれは前に出ることができただろう。一瞬の興奮にとらわれて自分のレースをぶち壊しにしてはならない。頭を使って走らなければ。


 数カ月前、角田はファエンツァに引っ越しをして、フランツ・トストの監督のもとで生活することになった。いい考えだと私は当時考えていたが、今の段階で効果は表れていないようだ。厳格なトストに1分1秒にいたるまで管理されることは、裕毅にとってプラスにならないのかもしれない。彼に必要なのは、グランプリの週末を通して彼を導き、余計なプレッシャーを取り除き、必要なときには活を入れてくれる、経験豊かな人物だ(別に「私」とは言っていないからね)。ホンダがドライバー経験のある誰か(たとえば中野信治とか)をつけてやるのもいいのではないか。裕毅と母国語でコミュニケーションを取ることができ、彼の軌道修正ができるような人物がついていれば役に立つ。

2021年F1第13戦オランダGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

 2022年に関しては、マルコには他に選択肢がなかった。だが、今後はどうだろう。今、FIA-F3でデニス・ハウガーが大活躍をしている。来年の今頃は、F1への扉をノックしていることだろう。だからこそ、角田にとって今はとても大事な時期なのだ。ぜひ、優れたサポート体制のもとで、本来の力を発揮してもらいたい。そのために私の力が必要とあれば、私には若手ドライバーを大勢育てた経験もあるし……おい、なんでボイスレコーダーを片づけてるんだ。まだ話は終わっていないぞ!


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エディ・エディントンについて
 エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。


 ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。


 しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。


 ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちのある握手はバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。



(Eddie Eddington)




レース

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