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レッドブル・ホンダ分析:新ウイングも導入。ハイダウンフォース仕様の空力開発で正しい方向性を見出したか

2020年8月16日

 第6戦スペインGPの予選で、レッドブル・ホンダは2台そろってQ3に進出し、マックス・フェルスタッペンが3番手、アレクサンダー・アルボンが6番手を獲得した。フェルスタッペンの予選3番手は第1戦のオーストリアGP、第4戦イギリスGPに続いて今シーズン3回目。しかし、第1戦での3番手のときより、フェルスタッペンの表情は穏やかだった。


 第1戦の予選後はこう語っていた。


「残念ながら今日のメルセデスは別のレベルにいた。バランスが完全に満足できる状態ではなかった。うまくいくコーナーもあったが、そうではないコーナーもあった。そうなるとギャップが広がってしまう。約0.5秒というのはそれなりに大きな差だよね。僕らとしては、この差を縮めるためにもっと努力するしかない」

2020年F1第1戦オーストリアGP土曜 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第1戦オーストリアGP土曜 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)


 今回のスペインGPの予選では、メルセデスとのギャップは開幕戦よりも広がり、0.708秒差あった。それでも、予選後のフェルスタッペンはリラックスして、こう語った。


「今日は自分がやれることはすべてやったので、いい予選だったと思う。メルセデス勢と比べると1ラップの速さではまだ少し苦戦しているけど、マシンにはまだポテンシャルがあるから、もう少し速くなる」


 なぜ、フェルスタッペンは開幕戦ほど悲観的ではなかったのか?


 F1ではコースの特性に合わせて、大きく分けて5種類の空力パッケージ(主にリヤウイング)を準備し、使い分けている。ひとつ目が曲がりくねった市街地コース用の『スペシャルハイダウンフォース仕様』。ふたつ目が『一般的なハイダウンフォース仕様』。3つ目がそれよりも少し軽い『ミディアムハイダウンフォース仕様』。4つ目が『ミディアムダウンフォース仕様』。そして5つ目が『ローダウンフォース仕様』だ。


 このなかで、スペインGPの舞台であるバルセロナ-カタロニア・サーキットは、ふたつ目の一般的なハイダウンフォース仕様でレースするサーキットで、この仕様はミディアムハイダウンフォース仕様とともに最も多く使用されるからだ。ハンガロリンクも一般的なハイダウンフォース仕様だったが、その予選でフェルスタッペンは7番手に終わり、こう語っていた。


「このサーキットはコーナーが連続するセクター2でのマシンのバランスの良さが求められるのだけど、オーバーステアになったり、アンダーステアが出たりして、まとめることができなかった。昨年はとても良かった(ポールポジション)だけに、本当にがっかりだ」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第3戦ハンガリーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)


 それから4週間後のスペインGPに、レッドブル・ホンダは改良した一般的なハイダウンフォース仕様を持ち込んだ。金曜日のレポートで触れたリヤウイングとともに、フロントウイングも新しくなっていることが土曜日に確認された。


 つまり、一般的なハイダウンフォース仕様の開発において、レッドブル・ホンダは正しい方向性を見出したわけである。さらにこの仕様は今後トスカーナGP(ムジェロ)やアイフェルGP(ニュルブルクリンク)、ポルトガルGP(アルガルベ)、エミリア・ロマーニャGP(イモラ)などでも使用されるため、「この方向で開発を進めれば、メルセデスに追いつくチャンスがある」という手応えをフェルスタッペンはつかんだのではないか。


 さらに、金曜日のロングランのペースが良いこともフェルスタッペンが日曜日のレースに向けてリラックスしている理由だ。


「メルセデス勢にできるだけ接近してプレッシャーをかけ、いいバトルがしたい」


 もし、この一般的なハイダウンフォース仕様のサーキットで、日曜日にメルセデスに接近し、逆転するようなことがあれば、2020年シーズンのタイトル争いは、メルセデスとレッドブル・ホンダの一騎打ちとなりそうだ。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第6戦スペインGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第6戦スペインGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第6戦スペインGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)



(Masahiro Owari)


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