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苦しいレース展開となっても、ファンの前で力走を見せたガスリー【今宮純のロシア&日本GPドライバー採点】

2018年10月12日

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回は第16戦ロシアGP&第17戦日本GP編だ。
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☆ セバスチャン・ベッテル(ロシアGP=3位/日本GP=6位)

2018年F1第17戦日本GP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
2018年F1第17戦日本GP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)


 対ルイス・ハミルトンとのドライバーズチャンピオンシップ争いではロシアGPソチでマイナス50点、日本GP鈴鹿でマイナス67点、ほぼゲーム・オーバーだ。


 明らかにマシン・パッケージ戦力が低下し、この2戦は“オーバー・ドライブ傾向”が目立った。鈴鹿であれほど乱れる挙動などいままで見たことがない。予選9番手から決勝6位、せめてもの慰みにファイナルラップで最速タイム1分32秒318を樹立。ハミルトンは2位1分32秒785、タイヤが違いセーブモードとはいえPPタイム(1分27秒760)からゆとりの“5.025秒落ち”。ベッテルは2018年で2度目の最速ラップ、意地でハミルトンのグランドスラムだけは阻止した。


☆☆ ロマン・グロージャン(ロシアGP=11位/日本GP=8位)

2018年F1第17戦日本GP ロマン・グロージャン(ハース)


 ふたりそろって速さを結果につなげられないハース。ソチでケビン・マグヌッセン8位、鈴鹿ではグロージャンが8位。グロージャンは表彰台経験者だけに鈴鹿の予選Q2を一発ソフトタイヤで通過、これが狙い通りに運びルノーにあと8点差へ。コンストラクターズランキング5位ハースは次戦がホームGPとなる、注目の“Bリーグ決戦”だ。


☆☆ セルジオ・ペレス(ロシアGP=10位/日本GP=7位)

セルジオ・ペレス 2018年F1第17戦日本GP


 チームプレーに従いソチではエステバン・オコンと入れ替わりマグヌッセンを追走、しかしマグヌッセン攻略を果たせずに10位。鈴鹿ではしぶとく7位に入賞、“Bリーグ”でこれが3勝目、ベテランらしくなってきているペレス……。


☆☆ エステバン・オコン(ロシアGP=9位/日本GP=9位)

2018年F1第17戦日本GP鈴鹿 エステバン・オコン


 就活問題を抱えているさなか、コクピットにおさまればコンスタントに力量を出しきる。鈴鹿フリー走行3セッションとも7番手、予選も8番手(しかし、3グリッド降格ペナルティ)。レース終盤まで前車グロージャンを追尾し7回目のチームダブル入賞、このチームにいるべき人材なのだが。

■初見のコースで先天的な才能を見せるシャルル・ルクレール

☆☆☆ カルロス・サインツJr.(ロシアGP=17位/日本GP=10位)

 傷だらけのファイティング・スピリット。鈴鹿ではブレーキ変調に陥りながらピエール・ガスリーを追走、土壇場で抜き10位入賞、ルノーに貴重な1点を。何度も特筆しているが今季リタイアは1レースのみなのだ。日本GPでホンダと数々のエンジン対決をしてきたルノーにとってはワークス復帰3年目の“初入賞”。


☆☆☆ シャルル・ルクレール(ロシアGP=7位/日本GP=リタイア)

 初めてのコースとなった2戦だが、またたく間にマスターしたロシアGPの7位は4星に値する。新人に厳しい鈴鹿でも予選Q1“6位!”、チームメイトのマーカス・エリクソンに大差をつけた。何年も鈴鹿を経験してきたかのように最適なラインを見いだす、先天的な才能を見た。マグヌッセンとの事故でリタイアに終わった鈴鹿でもまた、ポテンシャルを証明。


☆☆☆ ピエール・ガスリー(ロシアGP=リタイア/日本GP=11位)

 日本GPの週末、レギュラー・ドライバーのなかでは土曜まで最少周回数、パワーユニットやタイヤのデータなど不十分のまま向かうしかなかった。熟知する鈴鹿でそのハンデをカバー、予選の3セクター・ベストトータル・タイムは“1分28秒770”、チームメイトのブレンドン・ハートレーを上回った。戦略面で苦しいレースも、リヤタイヤのブリスターがハンドリングを狂わせたが懸命にコントロール。コースサイドにいた方はその力走がはっきり分かっただろう。だから11位でも観客は称えた。順位以上の「いいレース」だったからだ。


☆☆☆☆ バルテリ・ボッタス(ロシアGP=2位/日本GP=2位)

 いま、ルイス・ハミルトンの速さをいちばん理解しているのは彼だろう。「ソチの無念(チームオーダー2位)」から立ち直り、鈴鹿予選ではS字を含むセクター1でハミルトンに優った。だがデグナーが速いハミルトンに、ヘアピン〜スプーンのセクター2で0.12秒劣った。ここでPPを失ったと言える。鈴鹿では53周レースを2位キープ、チームプレイヤーはミッションをまっとうするほかなかった。

■ドライバーとしての力を示したマックス・フェルスタッペン

☆☆☆☆ ダニエル・リカルド(ロシアGP=6位/日本GP=4位)

 18位→6位、15位→4位。この2連戦で“抜く力”と這い上がるレースをつらぬいた。コーナーで忍び寄る。DRSゾーンでしがみつく。そして得意なブレーキングで斬って落とす。国際TV画面にはあまり映らなかったが30回記念・鈴鹿GP・LIVEのヒーロー。そして日本GPの「ドライバーズ・オブ・ザ・デイ」を受賞、これで最多の4回になる。


☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン(ロシアGP=1位/日本GP=1位)

 五冠に向けてまっしぐら。自信を過信とせずタイトルへの“ルーティン”に集中していたこの2連戦。


(1)金曜はマシンとの対話を進め、イニシャル・セットアップを確認。
(2)土曜は予選Q3になってからありったけの力を1周に100%放出。
(3)日曜はスタートに全神経を注ぎ正確に決定。


 ポールポジションの有利さのひとつに、フォーメーションラップ時、前に誰もいないから本番と同じシミュレーション加速が自由だ(後続はどうしてもタイミングを合わせながらだ)。下り坂の鈴鹿、過去にはPPスタートを失敗した事例が多いが“タイトル”へのルーティンを完璧に決め、ルーティンの独走。


☆☆☆☆☆ マックス・フェルスタッペン(ロシアGP=5位/日本GP=3位)

 接近戦バトルでいま最強ドライバーはMAX――。シケインでキミ・ライコネン、スプーンでベッテルとからんだが、このスポーツではしょっちゅうあったプレーにすぎない。現行ルールと審判(スチュワード審議)の狭間で論議されても、彼が“悪意”でぶつけていったようには全く見えない。与えられたマシンでぎりぎりの格闘戦に挑むレーサーの勇気と、技(見切り)による3位はドライバー力。


 戦略とかエンジニア指示やパワーユニットのアドバンテージに頼るものではない。フェルスタッペンのレースはF1に欠かせない、スリルとリスクにみちていた。連戦を通じて5星を――。



(Jun Imamiya)


レース

12/6(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
12/7(土) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
12/8(日) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※アブダビGP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン437
2位ランド・ノリス374
3位シャルル・ルクレール356
4位オスカー・ピアストリ292
5位カルロス・サインツ290
6位ジョージ・ラッセル245
7位ルイス・ハミルトン223
8位セルジオ・ペレス152
9位フェルナンド・アロンソ70
10位ピエール・ガスリー42

チームランキング

※アブダビGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム666
2位スクーデリア・フェラーリ652
3位オラクル・レッドブル・レーシング589
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム468
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム94
6位BWTアルピーヌF1チーム65
7位マネーグラム・ハースF1チーム58
8位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム46
9位ウイリアムズ・レーシング17
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー4

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