──かなり深い話になってしまったので、ちょっと軽いテーマを。我々がキャッチした情報によると、2014年はフェラーリのコーヒーが「ネス●レッソ」になってしまったと嘆きの声が届いているのですが……。
A氏:そうだっけ? でも、イタリア人もネス●レッソは美味しいっていうから、いいんじゃない。ピレリだってネス●レッソだし。コーヒーはザウバーとメルセデスが美味しいと評判だけど、僕ほとんど飲まないからなあ。
B氏:フェラーリには、いつもランチをごちそうになってお世話になっているからコーヒーにも文句はないよ(笑)。あと軽い話題と言えば、ライコネンと彼女(ミントさん)は、いつも仲睦まじい様子だったね。前の奥さんはパドックで、ほとんど見かけなかったけど。
──それでは、フェラーリ・パワーユニットを使うマルシャについて。
C氏:チーム消滅には本当に驚いた。実は、鈴鹿の金曜にジュール・ビアンキの記事を書くため取材をしていたんだ。マルシャのトップ、グレーム・ロードンとチーム代表のジョン・ブース、あとマルシャでトレーナーを務めている元ドライバーでジェンソン・バトンに勝ったこともあるマーク・ヘインズにもインタビューして、ビアンキはすごいドライバーだという話を聞いた。そのとき、みんな「来年が楽しみだ」と言ってたから。当然ビアンキの事故は衝撃だったが、まさかチームがなくなるとは……。でも、チームの中心人物たちは、こうなるとわかっていたはず。決して表情には出さないように、取材に応えてくれたのかと思うと胸が痛むね。そのぐらいマルシャのチーム内でも、ほとんどのスタッフは知らなかった。もちろん運営が楽ではないのは知っていたけど、首脳陣が自分たちで抱えていたんだろう。
──ビアンキの事故の影響もあったんでしょうか。
C氏:それも、あるだろうね。
A氏:鈴鹿の事故でロシアGPは1台体制になったけど、その時すでにマルシャのGP3のチームは休んでいるんだよ。
B氏:鈴鹿の前から苦しい状況ではあったにせよ、事故が直接の原因になったのは間違いない。フェラーリとのパワーユニット契約はビアンキあってのものだから。
──ケータハムやロータスの噂に気をとられて、マルシャの危機は、あまり話題になっていませんでした。
C氏:でも、最近のルーブル暴落を見たら、どのみちチームはなくなっていたのかもしれない。
A氏:もともとロシアから、ちゃんと資金が入ってきていたのか怪しい。
B氏:ジョン・ブースはロシアンマネーに期待していたけど、うまくいってなかったみたいだね。鈴鹿の事故が起きる前から、かなり表情は暗かった。
C氏:マルシャもケータハム同様、最終戦アブダビに行こうとしていた。物理的な準備は済んでいて、あとは電話一本でGOだったんだけど。結局、お金の問題でダメになった。
──せっかくモナコGPでポイントを獲得したのに……。チームが存続していれば、50億円ほど受け取れたという話もあります。
C氏:あの分配金は来年エントリーしないと受け取れない。2015年に分割で入ってくるものなんだ。
A氏:お金が最初に入ってくるのは4月1日くらいだから、それまで生き延びないと。もう、そこまでのランニングコストがなかった。
C氏:F1としては、うまく考えてるよ。勝ち逃げはできない。
──分配金は賞金ではなくて、あくまでも来季のための資金なんですね。それでは、もうひとつフェラーリつながりで、ザウバーの話を。ここは2015年シートの「四重契約」問題がありました。
C氏:残念ながら、これからエイドリアン・スーティルたちが契約違反を主張して戦ったとしても勝ち目はないだろうね。
A氏:チーム代表のモニシャ・カルテンボーンは法律家だから、自分たちが損することは絶対やってない。半分、口約束のような感じだったんじゃない? ギド(バン・デル・ガルデ)なんか、本人は2015年に乗る気まんまんでいたのに。
C氏:だって、もうクルマに「マクレガー」(バン・デル・ガルデのスポンサー)のロゴが入っていたよね。
A氏:あれは2014年に「FP1やテストで乗るぶん」ということにされてしまった。
C氏:ザウバーとマーカス・エリクソンとの契約はアメリカGPで決まった。ケータハムとマルシャが出場できなくなって、うちも危ないとフォース・インディアとザウバーが手を挙げたわけだよ。みんな本当に困っていて、シーズン最後まで参戦できなくなる可能性もあった。そこに現れたエリクソンが、ザウバーに対して前金で20億円を提示したようだ。本来そんなことはやっちゃいけないんだけど、そこまでいくと法律なんてあったもんじゃないから、実際に四重契約はあったのかもしれない。でも、あくまで契約を主張したら、モニシャは「じゃあ契約違反で訴えてください、その代わりチームは解散するしかありません」とバンザイしちゃえばいい。そうなるとスーティルもギドも、どうしようもない。
──なるほど……では、最後に平和な(?)話題を。スーティルの彼女は、よくテレビに映っていますよね。
A氏:ドライバーのガールフレンドで、ピットウォールに行けるパスを持っているのは彼女だけでしょ。
C氏:彼女はスーティルのフィジオのような役割をやっているんだよ。通常はフィジオがヘルメットを持って行くから、ピットウォールに入る必要がある。「チーム・スーティル」としては契約交渉をするマネージャーが別にいて、付き人のような仕事は彼女がやっているんだ。
──いつもピットにいるのは、仕事があるからなんですね。座談会まだまだ続きますが、いったん休憩しましょう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今回はフェラーリの人事に言いたい放題、マルシャ破綻の裏側、ザウバーの契約問題など深刻な話に切り込みつつ、ライコネンのラブラブぶりにも言及するという多彩な内容となった。この座談会は年末ギリギリまで短期集中で更新していくので、お見逃しなく。第5回は、レッドブル・ドライバーたちの素顔について、彼らの私見を述べまくってもらう予定だ。
(F1速報)