「今日の7位はフェルナンドがスタート直後の混乱をうまく切り抜けてくれたこともひとつの要因としてあげられますが、全体のペースを見ると、第2グループの中ではライバルたちに対して危なげないレースを見せていたので、ほぼ実力で取ったものだと考えています」
長谷川祐介総責任者は、7位に入賞したシンガポールGPのマクラーレン・ホンダのレースをそう総括した。メルセデスAMG、レッドブル、フェラーリというトップ3の6台がすべて完走したレースで7位というのは、現状を考えれば、望みうる最高の結果である。しかも、予選ではトロロッソの2台とフォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグに負け、9番手からのスタートだったのである。
ところが、アロンソの前からスタートしたそのトロロッソの2台とヒュルケンベルグの3台がスタート直後に接触。これでアロンソは労せずして、この3台をかわして、1周目に5番手まで浮上する。
ただし、長谷川総責任者は、今回の7位入賞がスタート直後の混乱だけが要因ではないと言う。
「レースペースでトロロッソを上回っていました。でも、1周目に彼らの前に出られなかった場合、シンガポールではコース特性上、オーバーテイクが難しいので、厳しい戦いになっていたでしょう。そんな中、フェルナンドが本当に素晴らしいスタートを切ってくれました。シンガポールでクラッシュしないで、あそこまでポジションを上げるのは、さすがです」
ただし、シンガポールGPでのマクラーレン・ホンダは、決して7位で満足するチームではなかった。それは2回目のピットストップでベッテルに僅差で逆転を許したとき、アロンソは無線でこういったという。
「言ってくれれば、もう少し頑張ったのに……」
さらにレース終盤にフェルスタッペンにオーバーテイクされたことも長谷川総責任者は悔しがった。
「じつは、あのとき燃費がかなり厳しい状態だった。なんとか燃費をセーブしながら、守り切れると思ったんですが、1周2秒ずつ詰められてはしようがない」
マクラーレン・ホンダの7位入賞は、今シーズン3度目である。しかし、ハンガリーGP、ベルギーGPに比べて、第2集団から抜け出し、トップ集団の背中が見える位置で戦っていたように思う。
そのレースを日本から視察に来ていた八郷隆弘社長は、レース後、こう言ったという。
「よくやった」
(Text : Masahiro Owari)