「パフォーマンス的にも、順位的にも、そしてレースの中身としても、まったくいいところがない非常に残念な結果となってしまいました」
復帰後、2度目の母国グランプリでのレースを、そのように総括した長谷川祐介総責任者。その表情は今シーズンいままで一度も見たことがない厳しいものがあった。
土曜日の予選で15位(フェルナンド・アロンソ)、17位(ジェンソン・バトン)に終わったマクラーレン・ホンダは、日曜日にバトンのパワーユニットをすべて交換することにした。バトンのマシンに搭載されていたパワーユニットは、前戦マレーシアGPでも使用したもので、それは日本GPでアロンソのマシンに搭載されている最新仕様の「スペック3.5」ではなく、ベルギーGPで投入した「スペック3」だったからである。当初、バトンのパワーユニットは、次のアメリカGPで「スペック3.5」に交換する予定だったが、「オースティンでペナルティを受けるより、17番手というポジションになってしまった今回ペナルティを消化してしまったほうが得策」(長谷川総責任者)と考えたからである。
ところが、最後尾からスタートしたバトンも、そして15番手からスタートしたアロンソも、このレースでは一度も入賞圏内にさえ入ることなく、後方集団の中でもがき苦しんだ。1週間前のマレーシアGPではダブル入賞を果たし、フォース・インディアと戦っていたマクラーレン・ホンダが、鈴鹿ではハースやルノー、そしてザウバーにも先を越されただけでなく、マノーを抜くのにもかなり苦労してしまい、終わってみればアロンソが16位、今年が最後になるかもしれないバトンは18位に終わってしまった。
「ロングランのペースは決して悪くはありませんでしたが、それでも今日は12位や13位がやっとだったと思います。完敗ですね。クルマのパフォーマンスも、パワーも、ストラテジー的にも、いいところがありませんでした」と長谷川総責任者は語った。
レース後のミーティングでは、マクラーレン側が「クルマの課題が明らかになった」と言っていたという。
パワーユニットの問題が浮き彫りとなった昨年から一年。今年は車体性能についても課題が鮮明となった。世界一のサーキットである鈴鹿は、世界一になるために、今年も容赦ない試練をマクラーレン・ホンダに与えた。
「このままでは終われない」
長谷川総責任者の言葉に、この日地元鈴鹿でホンダが味わった悔しさと、今後の希望を感じた日本GPだった。