金曜日のフリー走行後、ストフェル・バンドーンのパワーユニットが再び交換された。
「金曜日の夜にハイドロ系にトラブルが出て、アクチュエーターがうまく作動しなくなりました。それによってエンジンだけでなく、クラッチなども動かなくなりました。ハイドロ系のどこに問題があるのか、ひとつひとつチェックしていると、かなり時間がかかるので、バンドーンはすでに大幅なグリッドダウンペナルティが決まっていたため、パワーユニットごと交換することにしました」と長谷川祐介ホンダF1総責任者は語る。
つまり、今回ベルギーGPにバンドーンだけに投入したスペック3.6に問題があったわけではなかった。しかし、交換したICEはスペック3.6ではなく、3.5だった。
理由は「スペック3.6のスペアがなかったから」(長谷川総責任者)だった。したがって、「今後の開発に関して影響はないと考えています」と長谷川総責任者は答えた。
2度にわたるPU交換によって、バンドーンのグリッドベナルティは40番手降格から、65番手降格となったが、バンドーンのモチベーションは下がることはなかった。それはここが母国グランプリだからだ。
「グリッドペナルティが科せられることは以前からわかっていた。予選前に最後尾になることはわかっていたから、今日はフェルナンドを助けつつ、2台そろってQ2に進み、Q2でも彼にスリップストリームを利用させて、Q3へ進出してもらうことが僕にできる最大の役割だった」
その仕事をバンドーンはほぼ完璧にやり遂げた。Q1の2回目のアタックでは、ケメル・ストレートでフェルナンド・アロンソにスリップストリームを使わせた後、単独でタイムアタックを行なったが、アロンソよりも速いタイムを刻んだ。
残念ながら、アロンソはQ2で10番手のオコンに100分の9秒及ばず、11番手に終わった。それでもスタート時のタイヤを自由に選択できる中で最上位であることを考えれば、悪い結果ではない。
もちろん、それは最後尾からスタートするバンドーンにとっても同じだ。ここはスパ。いつ雨が降っても不思議はない。
「スパ・ウエザーが有利に働いてくれるといいね。とにかく、いまは明日のレースに向けて集中するだけ。レースでは少しでも上の順位を目指す。だって、ここには僕のホームグランプリ。たくさんのファンが来てくれているんだから」
(Masahiro Owari)