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F1技術解説:第13戦(1)戦略失敗だけでは説明できないフェラーリの大失速

2022年8月8日

 2022年F1第13戦ハンガリーGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。今回は、優勝候補とみられていたフェラーリがなぜ敗北を喫するに至ったかを分析する。


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 ハンガリーGPの週末、フェラーリの滑り出しは、非常に順調だった。予想どおり、カルロス・サインツが金曜FP1、シャルル・ルクレールがFP2でベストタイムを出し、ライバルたちを圧倒した。ハンガロリンクの曲がりくねったコースは、大きなダウンフォースを発生し、エンジンが力強く加速するF1-75を持つフェラーリのために誂えられたようなコースといえた。このコースのために、フェラーリやレッドブルは同じように大きなフィンと急傾斜のビームウイングを装備した(下の写真参照)。一方で長いストレートがないことは、優れた最高速度を発揮するRB18には大きなハンデキャップとなるはずだった。

レッドブルRB18およびフェラーリF1-75のビームウイング比較
レッドブルRB18およびフェラーリF1-75のビームウイング比較


 要するにこの週末は、フェラーリが絶対有利だったということだ。実際、金曜日の暑さが続いていれば、フェラーリ勢は予選でフロントロウを獲得していたかもしれない。しかし代わりにサインツとルクレールが2番手と3番手のグリッドを獲得し、最終的に4位と6位でフィニッシュするにとどまった。この地獄への転落をどう理解すればいいのか。


 波乱続きのグランプリとなった最大の要因は週末の大幅な天候変動だった。セバスチャン・ベッテルが18番グリッドから10位入賞を果たしたのも、そのおかげだった。ただしアストンマーティンが投入した新型リヤウィングも、大きく貢献しているはずだ(下の写真参照)。

アストンマーティンAMR22の新リヤウイング
アストンマーティンAMR22の新リヤウイング


 金曜日に50℃を記録した路面温度は、予選では約30℃まで下がり、雨によって路面が冷やされただけでなく、ラバーが流れてしまってグリーンな状態になった。この新しいコンディションは、メルセデス(新しいセットアップが幸いにも一致)とレッドブル(マックス・フェルスタッペンがQ2で最速)には有利に働いたが、フェラーリは、冷えた路面でピレリの性能を発揮することができなくなった。


 メルセデスはすでに金曜日の時点からハードタイヤを否定していたが、レッドブルとフェラーリはレース前にハードのテストを行っていなかった。当初の戦略では、フェルスタッペンとセルジオ・ペレスはハードタイヤでスタートすることになっていた。しかしスタート前のレコノサンスラップをミディアムタイヤで走った二人は、冷たく濡れた路面では温まりにくいことに気づいた。ミディアムでそんな状況だとしたら、ハードでのスタートはあり得ない。チームはドライバーの声に耳を傾け、最初のスティントで2台ともソフトタイヤを装着するよう、一気に方針転換したのだった。


 一方のフェラーリは、またしても素早く反応することができなかった。イニャキ・ルエダ率いる戦略担当エンジニアたちは、すでにアルピーヌとハースが手こずっていたのを目の当たりにしながら、ルクレールにハードタイヤを与えるという理解しがたい作戦を指示した。


 しかしこのタイヤ選択の稚拙さが、すべてを説明するわけではない。サインツはハードを履かなかったにもかかわらず、レース終盤に凄まじい追い上げを見せたハミルトンに抵抗することはできなかった。今年のピレリはマラネロにとって依然として謎のタイヤなのかもしれない。そして、今回の新たな不手際は、2017年、2018年シーズンの失敗を悲しいほどに思い起こさせるものだった。



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)




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9位フェルナンド・アロンソ33
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2位スクーデリア・フェラーリ252
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5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム44
6位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム24
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