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好スタートを切ったフェラーリ。PUの信頼性不足や戦略ミスで失速、ドライバーの力不足も否めず/2022年F1戦力分析(5)
2022年12月30日
新たな技術規則が導入され、前年までとはまったく異なるマシンが誕生した2022年シーズンのF1。マシンの特徴やシーズン中のアップデート、ドライバーのパフォーマンスなどから、各チームの戦力を振り返る。第5回となる今回は、コンストラクターズ選手権2位のフェラーリだ。
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2022年シーズン序盤、コース上で最も速かったマシンは、フェラーリだった。68代目となるマシンに付けられた『F1-75』という名称はフェラーリの創業75周年を称えてつけられたものだ。上面中央部分がくぼんだ形状は、新車発表時点でほかのどのチームにも見られなかった独特のフォルムをまとっていた。
このユニークな空力処理は、フェラーリが2021年シーズンの早い段階から、リソースを新レギュレーションが導入される2022年のマシン開発に充ててきたから可能となった。レッドブルとメルセデスが最終戦まで激しくチャンピオンシップ争いを演じた影で、フェラーリは2021年のマシン『SF21』の開発をシーズン前半で止め、第10戦イギリスGP以降、空力的なアップデートは行わなかった。
満を持して登場したF1-75は、開幕戦バーレーンGPでいきなりポールポジションを獲得して結果を出した。フェラーリが開幕戦でポールポジションを獲得するのは、2007年以来15年ぶり。その15年前にポールポジションを獲得したキミ・ライコネンはドライバーズ選手権を制してチャンピオンに輝いた。ポールポジションを獲得したシャルル・ルクレールはレースでも優勝し、フェラーリにとって15年ぶりとなるドライバーズチャンピオンへ向けた戦いは幸先のいいスタートを切っていた。
2戦目のサウジアラビアGPで2位となったルクレールは3戦目のオーストラリアGPも制して、チャンピオンシップ争いで早くも独創状態に入ろうとしていた。
しかし、ここから徐々に勢いが失われていった。その要因のひとつがパワーユニットの信頼性不足だった。
フェラーリが序盤戦でスタートダッシュに成功したのは、車体のデザインが新レギュレーションにうまく適合していただけでなく、その車体に搭載された2022年型パワーユニット『066/7』もまた競争力があったからだった。序盤戦の段階で最もパワーがあったのはフェラーリだったのではないかと言われていたほどだった。
ところが、そのパワーユニットに3戦目以降、問題が発生する。第6戦スペインGPでルクレールが突然パワーを失い、ピットインしてリタイア。その後もフェラーリはアゼルバイジャンGP、オーストリアGPのレース中にパワーユニットのトラブルを発生させた。
フェラーリのパワーユニットがヨーロッパラウンドに入ってから、相次いで問題を発生させた理由として考えられるのは、2022年以降のパワーユニットに関するレギュレーションに関係していた。F1のパワーユニットは2022年から2025年まで開発が凍結されることが決定している。そのホモロゲーションが3月1日までとなっていた。つまり、3月1日までに国際自動車連盟(FIA)にパワーユニットの仕様を登録すると、それ以降の性能向上を目的とした6コンポーネントに関するスペック変更はできなくなる。ただし、ホモロゲーション後も信頼性に関する仕様変更はFIAに申し出て許可が降りれば、可能だった。
2021年時点でメルセデスとホンダに対して性能で大きく遅れていたフェラーリが、開発が凍結される前にやらなければならなかったのは、信頼性を確立することよりもまず性能でメルセデスとホンダに肩を並べることだった。そのことはチーム代表だったマティア・ビノットも認めている。
「信頼性が高くても性能が低いより、トラブルが起きても性能が高いほうがいい」
しかし、フェラーリに足りていなかったのはパワーユニットの信頼性だけではなかった。レースを戦う上での戦略でもたびたび疑問が残った。第7戦モナコGPではピットストップでセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)に逆転を許し、第10戦イギリスGPではレース終盤にセーフティカーが導入された状況でトップを走行していたルクレールをステイアウトさせ、結果的に逆転負けを喫した。
ドライバーのミスも目立った。第4戦エミリア・ロマーニャGPと第12戦フランスGPではルクレールが単独クラッシュ。チームメイトのカルロス・サインツも第3戦オーストラリアGPと第18戦日本GPで自らのミスが原因でリタイア。マックス・フェルスタッペンが自らのミスでノーポイントに終わったレースがなかったことを考えると、チャンピオンを狙うドライバーとしてはフェラーリのドライバーはやや力不足感があったことは否めない。
つまり、裏を返せば、それらのミスさえ犯さなければ、フェラーリにはまだまだポイントを上積みできる力があるということ。チーム代表がマティア・ビノットからフレデリック・バスールに代わり、どのように変身するのかが楽しみだ。
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(Masahiro Owari)
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1位 | マックス・フェルスタッペン | 77 |
2位 | セルジオ・ペレス | 64 |
3位 | シャルル・ルクレール | 59 |
4位 | カルロス・サインツ | 55 |
5位 | ランド・ノリス | 37 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 32 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 24 |
8位 | フェルナンド・アロンソ | 24 |
9位 | ルイス・ハミルトン | 10 |
10位 | ランス・ストロール | 9 |
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 141 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 120 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 69 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 34 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 33 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 7 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 4 |
8位 | ウイリアムズ・レーシング | 0 |
9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 0 |
第5戦 | 中国GP | 4/21 |
第6戦 | マイアミGP | 5/5 |
第7戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5/19 |
第8戦 | モナコGP | 5/26 |
第9戦 | カナダGP | 6/9 |