☆☆☆☆ フェリペ・マッサ
モンツァ名物のひとつが、パドック入口でドライバーを待ちかまえる人だかり。日曜の朝、偶然メルセデス・ワゴンと出くわすとマッサ御一行だった。お父さんはサイン責め、息子さんはサンルーフを開けてはしゃぎっぱなし。本人がドアを開けて手を振り上げると「フェ―リッペ!」コールが。2010年、2014年に続く表彰台3位、やるときはやるマッサのラストスパートは巧妙だった。コース幅いっぱいの“ブロックライン”にバルテリ・ボッタスも引かざるを得なかった。
☆☆☆☆ ダニエル・リカルド
最終ラップ、最後のパラボリカ、そこでエリクソンをかわした。残念ながら国際映像の画面はなし。モンツァでは、こういう名場面が多々あった。どういうトリックを駆使して抜いたのか、生で見た観客の特権だろう。19番手→8位、リカルドのオーバーテイク才能は現役トップレベルと言えるだろう。
☆☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン
モンツァも完璧だった。ポール・トゥ・ウイン、全周回トップ、最速ラップ、F1ではめったにないグランドスラムを達成。イタリアGPで見たのは1990年アイルトン・セナ以来と記憶する。今季7連続ポールポジションで7勝。通算40勝、あとひとつでセバスチャン・ベッテル同様、セナの記録に並ぶ。あの人を追いかけて……それがハミルトンの内なるモチベーション。もしシンガポール、そして鈴鹿で抜いたら、かつてミハエル・シューマッハーが号泣したようにエモーショナルな心境になってしまうかもしれない。独り言だが、いまのルイスはアイルトン全盛期にかなり似てきた気がする。
☆☆☆☆☆ セバスチャン・ベッテル
これをやりたくて、ここにきた──。フェラーリ移籍後、初モンツァで2位。表彰台ではじけたベッテル。先輩シューマッハーは1996年優勝、アロンソは2010年優勝、ライコネンは2007年3位。迎えられたエースには地元での「宿命」がある。FP1から、どのコーナーでも予選モード、インラップでも適当に流さない走りを感じた。「みんなに観られている」から、やりきるのが跳ね馬エースの矜持。これが実はものすごいプレッシャーになると1950年代から幾多のエースが言っている。25.042秒差の2位に日曜9万人、週末16万人のファンたちは満足。プレスルームから見ていて、今年は歓声や手拍子がエキゾースト音をかき消すほどだった。空中表彰台で有頂天のベッテル、二度とない初めてのフェラーリ母国戦で感動に酔う姿は、これまでのエースと一緒だった。