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【F1第22戦無線レビュー(1)】「順位を戻さなきゃダメだろう」「俺を押し出した」スタートで一気に白熱の争いへ展開

2021年12月21日

 2021年シーズンのタイトル争いは、第22戦アブダビGPまでもつれ込んだ。マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンが同点で迎えた最終戦、先に1コーナーを抜けたのはハミルトンで、フェルスタッペンは追いかける展開となった。アブダビGP前半を無線とともに振り返る。


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 最終決戦となる第22戦アブダビGP。嵐の前の静けさというべきか、レース前のフォーメーションラップでのルイス・ハミルトン(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、特にエキサイトしている感じではなかった。


ハミルトン:今日はちょっと涼しいコンディションだね


ジャンピエロ・ランビアーゼ:クルマに問題はないか
フェルスタッペン:すべてOKだ


そしてこのレースを最後に現役引退するキミ・ライコネン(アルファロメオ)。


シモン・ショータン(→ライコネン):グッドラック、そして楽しんでくれ!


 だがスタートでフェルスタッペンが出遅れ、ハミルトンが先行したことで、レースは一気に白熱化した。抜き返そうと、ターン6のブレーキングでインに飛び込むフェルスタッペン。押し出された形のハミルトンは、首位のままコースに復帰した。互いに、自分の正しさを主張する。

2021年F1第22戦アブダビGP スタートシーン
2021年F1第22戦アブダビGP スタートシーン


フェルスタッペン:順位を戻さなきゃダメだろう!


ハミルトン:俺を押し出した
ピーター・ボニントン:その通りだ。そのままギャップを維持すればいい


「審議の必要なし」というレースディレクター、マイケル・マシの判断に、レッドブルのスポーティング・ディレクター、ジョナサン・ウィートリーが苦言を呈した。


ウィートリー:エイペックスでマックスが前だった
マシ:ハミルトンを押し出したということだ
ウィートリー:アドバンテージを得たんじゃないのか
マシ:戻った段階で、そこは戻している
ウィートリー:わかった


 納得の行かないフェルスタッペンを、ランビアーゼがなだめる。


ランビアーゼ:冷静になれ。ショートカットに関しては、審議はない
フェルスタッペン:信じられないよ


 ソフトでスタートしたフェルスタッペンは早くもタイヤが苦しくなり、ハミルトンにじりじりと差を広げられる展開だ。


フェルスタッペン:リヤタイヤがもう厳しい
ランビアーゼ:わかった

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2021年F1第22戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 スタート直後にバルテリ・ボッタス(メルセデス)を抜き去り、その後も安定した周回を重ねていた角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)も、12周目前後にリヤタイヤにオーバーヒートの症状が出てきた。


スピニ:裕毅、左リヤがちょっと厳しい。高速区間でプッシュしろ


 一方ランド・ノリス(マクラーレン)は、ギヤボックスに不具合が出ていた。


ウィル・ジョゼフ(→ノリス):ギヤを失ってる。その問題が、そのまま続く恐れがある


 結果的にこれは、それほど深刻化はしなかったようだった。


 13周目、フェルスタッペンがピットイン。2秒1で交換作業を終えてコース復帰した。目の前に出てこられたシャルル・ルクレール(フェラーリ)は挙動を乱し、その隙に角田がオーバーテイクしたが、ルクレールがすぐに抜き返した。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第22戦アブダビGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)


 ハミルトンはすかさず次の周にピットに向かい、フェルスタッペンの5秒前でコースに戻った。


バード(→ペレス):ハミルトンがピットした。プランA、いやプランBだ


 このスティントをできるだけ引っ張ってハミルトンを抑え、フェルスタッペンを側面援護する作戦だ。


 ハミルトンが最速タイムを出すのに対し、フェルスタッペンはすぐ前のカルロス・サインツ(フェラーリ)を抜きあぐね、挙動を乱してコースオフしたこともあって、18周目には両者の差は7秒まで広がった。ようやくオーバーテイクして3番手に上がるが、ハミルトンは暫定首位のセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)にみるみる近づいて行く。レッドブル・ホンダ陣営には、非常に厳しい展開だ。

カルロス・サインツJr.(フェラーリ)
2021年F1第22戦アブダビGP カルロス・サインツJr.(フェラーリ)


 19周目、ハミルトンはペレスに2秒2まで迫り、逆にフェルスタッペンを8秒引き離した。


バード(→ペレス):ギャップ2秒だ。なんとしても抑えるんだ


 しかし20周目、ハミルトンに裏ストレートでパスされてしまう。しかしペレスはターン6で逆転。ハミルトンはストレート立ち上がりで再度抜くが、ペレスはターン9のブレーキングでインを刺し抜き返した。21周目のターン1で並びかけるハミルトン。しかしペレスは譲らない。


ハミルトン:すごく危ないドライビングだ

セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)&ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2021年F1第22戦アブダビGP セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)&ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 ぶつかれば終わってしまうハミルトンは、無理ができない。その間にフェルスタッペンが、2台の1秒後ろまで追い付いた。ハミルトンは21周目のターン6でようやく抜き去り、役目を負えたペレスはすかさずフェルスタッペンに順位を譲り、ピットへと向かった。


フェルスタッペン:チェコはレジェンドだ
ランビアーゼ:まちがいなくケモノだよ


 ペレスの必死の防御に、メルセデスのトト・ウォルフ代表が抗議した。


ウォルフ代表:あれは危険すぎる。警告を出してくれ
マシ:いや、トト。あくまでハードレーシングだ


 8秒のギャップが、1秒まで縮まったフェルスタッペン。しかし再び、その差は広がって行った。


 タイヤを交換して5番手でコース復帰したペレスが、今後の戦略を尋ねる。


ペレス:このまま最後まで走るのか
バード:マックスのために何ができるか、考えているところだ。まずはプランAで行こう


 ハードタイヤで、最後まで走り切るということだろう。

セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第22戦アブダビGP セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)


 フェルスタッペンは自己ベストを更新して必死に追いすがるが、ハミルトンとの差は広がるばかりだ。


 25周目、ライコネンがターン6で挙動を乱し、バリアにぶつかった。


ライコネン:ブレーキが壊れた


何とか自力でピットに戻ったが、そのまま引退レースをリタイアで終えた。


ショータン:残念だ、キミ。リタイアだ

キミ・ライコネン(アルファロメオ)
2021年F1第22戦アブダビGP キミ・ライコネン(アルファロメオ)


ラッセル:ドライブを失った


 ウイリアムズでの最後のレースだったジョージ・ラッセルも、続けてリタイアを喫した。


 その間にハミルトンとフェルスタッペンの差は、3秒8まで広がった。


ハミルトン:このタイヤで、長い道のりになるね
ボニントン:そうだね


 快調なペースで周回を重ねる角田を、ボッタスは抜きあぐねていた。


リカルド・ムスコーニ:あと1周だ。すべて出しつくせ
ボッタス:わかった


 30周目まで第1スティントを引っ張ると、ピットインをしてユーズドのハードタイヤに履き替えて、角田の前9番手で復帰を果たした。

バルテリ・ボッタス(メルセデス)
2021年F1第22戦アブダビGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)


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(その2に続く)



(取材・まとめ 柴田久仁夫)


レース

12/6(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
12/7(土) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 23:00〜
12/8(日) 決勝 22:00〜


ドライバーズランキング

※カタールGP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン429
2位ランド・ノリス349
3位シャルル・ルクレール341
4位オスカー・ピアストリ291
5位カルロス・サインツ272
6位ジョージ・ラッセル235
7位ルイス・ハミルトン211
8位セルジオ・ペレス152
9位フェルナンド・アロンソ68
10位ニコ・ヒュルケンベルグ37

チームランキング

※カタールGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム640
2位スクーデリア・フェラーリ619
3位オラクル・レッドブル・レーシング581
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム446
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム92
6位BWTアルピーヌF1チーム59
7位マネーグラム・ハースF1チーム54
8位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム46
9位ウイリアムズ・レーシング17
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー4

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