レッドブルF1ボス、ウイング検査強化に懸念なし「タイトル争いで不利にはならない」
2021年5月17日
レッドブルのモータースポーツ・コンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、FIAが6月のF1フランスGPからリヤウイングに対する新たな荷重テストを導入することを決めるきっかけとなったのは、レッドブルのマシンだけではないと語った。また、取り締まり強化がレッドブルのタイトル争いに大きく影響することはないとの考えも示している。
第4戦スペインGP後の5月11日、FIAのシングルシーター・テクニカルマター責任者であるニコラス・トンバジスは、全チームに対して技術指示書を送付、6月15日からたわみを調べるための新たな荷重テストを導入することを通知した。FIAはまた、オンボードカメラを利用して走行中のリヤウイングの曲がり具合を監視するという。
かつてF1で、ストレートではドラッグを減らし、コーナーではダウンフォースレベルを保つ、柔軟性のあるウイング、いわゆる“フレキシブルウイング”が使用されたことがある。しかし現在ではこれは厳しく規制されており、FIAは監視のためにウイングのたわみをチェックする厳しい荷重テストを行っている。
すべてのマシンが現在の検査に合格しているものの、それにもかかわらず一部チームが高速走行時にリヤウイングが曲がることを可能にしているのではないかとFIAは疑い、新たなテストを導入することを決めた。
技術規則第3.8条において、車両の空力パフォーマンスに影響するすべてのコンポーネントは「車両の完全な懸架部分に堅牢に固定して取り付けられていなければならない」「車両の懸架部分に対して不動を維持しなければならない」と記されている。
規則により、FIAには、走行中にボディワークの一部が動いているように思われる(あるいは疑われる)場合には、さらなる荷重たわみ試験を導入する権利が与えられている。
新たな荷重たわみ要件に移行するにあたり、FIAは最初の1カ月については20パーセントの許容範囲を設けるということだ。
■マルコ、「曲がるウイングで0.3秒稼いでいる」との推測を否定
FIAは今回の新テスト導入を通知する際に、具体的にどのチームをターゲットにした措置であるのかは言及しなかった。
スペインの週末、メルセデスのルイス・ハミルトンは「レッドブルはストレートでとても速い。マシンのリヤに曲がるウイングがついていて、そのウイングで少なくとも0.3秒は稼いでいるんだ」と発言した。
その直後のFIAの行動であったため、レッドブルがターゲットであるとの見方がなされた。マルコは、RB16Bのリヤウイングがフレキシブルであることを否定してはいないが、他にも監視の対象となっているチームがあると発言した。
「我々のウイングは荷重テストに合格してきた。それは重要なことだ」とマルコはドイツの『Motorsport-Total.com』に対してコメントした。
「これから荷重に関する異なるガイドラインが導入され、基準が新しくなる。新レギュレーションが導入され、チームがグレーゾーンを見つけ出したときには、よくあることだ」
「しかしターゲットになっているのはレッドブルだけではない。他のチームにも影響があるだろう」
マルコは、レッドブルの他にアルピーヌとアルファロメオも、今回の取り締まり強化で最も大きな影響を受けると発言している。また、メルセデスにも影響はあると、マルコは考えている。
一方、ハミルトンの「レッドブルは曲がるリヤウイングで0.3秒稼いでいる」という見解を、マルコは否定した。
スペインGPの金曜、レッドブルはストレートで遅かったため、土曜に小さなウイングに変更し、ストレートスピードが増したのだという。
「ストレートで遅すぎたために、小さなリヤウイングを装着した。後ろを走っていたハミルトンは、我々がストレートで速いと感じ、それをウイングの影響だと考えた」とマルコは言う。
「(取り締まり強化は)少なくとも私の考えでは、重要に受け止めるような問題ではない」
「世界選手権の戦いのなかで決定的な不利につながるようなことは決してない」
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(autosport web)
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