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大喜びで期待したF1メカ開放の新たな試み『カー・ディスプレイ』に大きなツッコミ【津川哲夫のF1私的感想】

2022年3月22日

 2022年のF1が待望のシーズン開幕を迎えた。新しくなったのは新技術レギュレーション施行により誕生したF1マシンや、ドライバーラインアップばかりでない。FIA(国際自動車連盟)によるレース運営、さらにはファンへのサービスといったエンターテイメント性の充実という部分でも新たな取り組みが行われている。


 これまでのF1は、ステータスを維持するという建前から、ファンサービス、サーキットを訪れる観客へのサービス、そしてメディアサービスなど、すべてにおいて“上から目線”のスタイルを崩さなかった。しかし、F1はテレビ等からの興行収入が大きな収入源であり、今やF1は数あるエンターテインメントコンテンツのひとつとして大きな存在感を示し始めた。


 そのため、F1は徐々に多売化を押し進め、2022年シーズンは全23レースをカレンダーに押し込んでいる。年間23レースは異様に多いと言っていいだろう。年間52週しかないうち、23カ国で23週を埋めるというのだから。
 
 しかし、レース数が多くなればなるほどF1マシンの変化はわかり難くなり、それも小さな変化では一般的なテレビやパソコンの画面では映りもしない。つまり余程のF1マニアでない限り、視聴者は23レース同じマシンを眺め続けることになり、これは飽きを呼ぶ。


 そこで、F1オーガナイザーが産み出したのが、2022シーズンから始まった“カー・ディスプレイ”という時間帯。全チームがマシンをカメラの前に引き出し、チームの代表者がマシンの変更点を説明する時間を設けるというものだ。これならテレビカメラがマシンを舐めるように映し出し、変更を含めた各部が凝視できる! と筆者などは大喜びであったが……。

ウイリアムズF1の2022年型マシン『FW44』のサイドビュー
ウイリアムズF1の2022年型マシン『FW44』のサイドビュー


 いざ始まってみると、確かにマシンは映し出されるが、アップで見えるのは少しだけ見えるフィンや、いつも目にすることのできる丸見えの部分などに限られ、肝心のチーム代表者の説明もおざなり。これなら通常のピットシーン映像で充分だと思えるほど。実際、某トップチームのマシンは引きの映像しか映らず、説明も「うちのマシンは完璧。テストから変更点なし!」と……そんなわけないだろう! 


 しっかりと見せてくれたのは下位チームだけでトップチームはみなおざなりだった。なかには映像に出なかったチームさえあった。まぁ最初だから、どのチームも開幕戦は必死だから……と言ってしまえばそれまでだが、F1の技術の肝を詳細に映し出すというのは、やはり無理があるようだ。


 トップチームは技術の公開に関しては非協力的で、カー・ディスプレイを期待した世界中のファンをガッカリさせた。一方、下位チームは開けっ広げで、マシン内部の細かい部分まで映されていたので、下位チームが上手い具合に露出されていた。これは下位チームのスポンサーにとってもメリットかも知れない。


 このカー・ディスプレイの放送では、F1公式のオンラインプラットフォーム『F1TV』もトップチームにしっかりと忖度しているのがわかりやすく、カー・ディスプレイの謳い文句はかなりスポイルされていたというのが初回の印象だ。これでは意味がないとも思うが、たとえ下位チームだけであっても、しっかりと最新の、本番仕様のマシンを細かく見せてくれるというのは嬉しいかぎり。上位チームへの露骨な忖度はやはりビッグボスたちの威厳か……。


 それでも“カー・ディスプレイ”を始めたことはF1にとって大きな進歩であると感じる。これがレース毎に充実し、本格的になっていくことを期待するばかりだ。



(Tetsuo Tsugawa)




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