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【F1テスト技術解説】明るみに出た各マシンの秘密(2)メルセデスのコンセプトでリヤの安定化を図ったレッドブル

2021年3月26日

 オンラインでの2021年F1新車発表では巧妙に隠されていたアップデート部分が、バーレーン直前テストで砂漠の炎天下にさらされた。失われたダウンフォースを回復しようと、各チームが様々な工夫を凝らしている中で、最も注目すべき5つの変更点を、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが紹介する(全2回)。

3)メルセデスを「参考」にしたが、「模倣」はしていないレッドブル

 昨年のレッドブルは、マシンリヤの不安定な挙動に大いに苦しんだ。それもあって昨年抜群の安定性を誇ったメルセデスのリヤの足回りを参考にするであろうことは、大いに考えられることだった。一番の特徴はロワーアームがかなり後方にあることで、メルセデスの場合は車体側取り付け位置がライバルチームのようなギヤボックスを収納するカーボン製ケースではなく、その後方の衝撃吸収構造だった。

メルセデスW12、W11とレッドブルRB16B、RB16 リヤサスペンション周り
メルセデスW12、W11とレッドブルRB16B、RB16 リヤサスペンション周り

 レッドブルの技術陣はロワアームを後退させるというアイデア自体は採用しながら、あくまでギヤボックスケースへの取り付けにこだわった。そのためRB16Bのギヤボックスケースは、後方に伸ばされている(W11、W12とRB16Bの比較写真参照)。これはおそらく衝撃吸収構造にサスペンションを取り付けるには貴重なトークンを使用しなければならず、それを避ける目的だったと思われる。


 RB16Bのリヤサスペンションを前方から見ると、ロワアーム、プルロッドなどのレイアウトが一新されているのがわかる。メルセデスW12では後方のアームだけが少し離れて上方に置かれ、残りの部分は下方に。その結果下部を流れる気流の量は少なくならざるを得ない。
 それに対しRB16Bはすべての構成パーツがコンパクトに揃い、しかもW12に比べ上方に取り付けられている。そのおかげでより多くの気流がサイドポンツーン下部を通っていくことができる。

メルセデスW12、W11とレッドブルRB16B、RB16 リヤサスペンション周り
メルセデスW12、W11とレッドブルRB16B、RB16 リヤサスペンション周り

4)アルピーヌの巨大エンジンカバー

 マクラーレンのディフューザーに負けず劣らず話題になったのが、アルピーヌのぼってり太ったエアインテーク後部の形状だった。フランスのオールドF1ファンでなくても、リジェJS5を連想した人は多かったと思う。英国エンストンの技術者たちは、それまでエンジン上部に置かれていたラジエターを下の方に移動させた。外側から見たエンジンカウルの上部がすっきりした代わりに、左右が膨らんだのはそんな理由からだ(赤矢印参照)。

アルピーヌA521のエンジンカバー
アルピーヌA521のエンジンカバー


アルピーヌA521のエンジンカバー
アルピーヌA521のエンジンカバー

 いうまでもなくここが膨らんだままでは、リヤウイングに向かう気流に大きな影響を及ぼしてしまう。そこでアルピーヌは、以下のような解決法を採用した。まずラジエター自体を縦に長くすることで、幅を狭くすることに成功した。その結果、ディフューザーにより多くの気流が流れるようになった。ディフューザーはリヤウイングよりドラッグが少なく、ディフューザーでダウンフォースを稼いだ方が空力効率はいい。


 テスト2日目には、さらに細くなったエンジンカウルがお披露目された。ラジエターが再び別の位置に移動したのか、カウルの中までは確認できていない。いずれにしてもこのバージョン2は、去年のルノー・R.S.20のレベルまでカウル部分が細くなっていた。

■フェラーリのPUは20馬力向上との推測

5)フェラーリはPUより車体で向上か

 昨年型SF1000のアキレス腱が、非力さが露呈されたパワーユニット(PU/エンジン)だった。しかしフェラーリ開発陣は、今季のPUに大きな改良を加えた。ただし基本的なレイアウトに変更はない。タービンとコンプレッサーはこれまで同様エンジン本体の後部に置かれたままだ。改良点は、直接目に触れない部分ということになる。


 ではどれほどの出力向上を果たしているのか。チーム側はいっさいの数値を発表していない。イタリアのあるメディアは、20数馬力アップしたと報じている。しかし昨年のフェラーリ製PUはメルセデスより少なくとも40馬力劣っていたと言われており、これでは追いついていないことになる。


 とはいえ今季のPUが飛躍的に進化していなかったとしても、バーレーンテストでの新車SF21が相対的に去年のSF1000より速かったのは間違いない。昨年のフェラーリはストレートでの最高速も悲惨なほどに遅かったが、バーレーンテストではまったくそんなことはなかった。ドラッグの大きかった空力が、かなり改善されていることは間違いない。

フェラーリSF21とSF1000のサスペンション
フェラーリSF21とSF1000のサスペンション

 フェラーリはトークンを使って、リヤサスペンションとギヤボックスに改良を加えたことは分かっている。しかし外見からでは、サスペンションジオメトリーに顕著な変化は見られない。変更点はむしろギヤボックスケースと思われる。ケースが上に持ち上がり、下方の気流がより大量に流れるようになった。


 来季2022年に大幅な技術規約変更を控え、今季は過渡的な1年になると見られていた。しかしこれら5つの変更点を見るだけでも、各チームは精力的な車体アップデートに励んだことは確かである。




この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫 / autosport web)




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