いよいよ2016年の開幕戦を迎えた、マクラーレン・ホンダ。テストでは車体側のパーツが間に合わなかったため、マシンの最終的なパフォーマンスの確認は、開幕戦のオーストラリアGP初日に行われる予定だった。ところが金曜日のメルボルンは朝から雨が降ったりやんだりという生憎のコンディション。フリー走行1回目にコースインしていくマクラーレン・ホンダのマシンには、ウエットタイヤが装着されていた。
「今日は最終仕様で実際のクルマのパフォーマンスを試してみたかったんですが、不安定な天候によって、まったくわからないという状態でした。ドライバーも『今日は走る価値がない』と言っていたほどです」と長谷川祐介 総責任者は言う。
フリー走行1回目はアロンソが11周、バトンは16周にとどまった。1回目のフリー走行後、いったん上がった雨は、2回目のフリー走行直前になって再び降り始め、2回目のフリー走行もウエットコンディションとなった。コースインしたドライバーたちを苦しめたのは、すべりやすい路面コンディションだけではない。風速8m以上の突風にも悩まされた。メルセデスのニコ・ロズベルグがセッション中にクラッシュしたほどである。
そんな状況で、マクラーレン・ホンダのふたりは1回目と2回目のフリー走行ともに、トップ10内で終えている。もちろんウエットコンディション下でのベストタイムは、アタックしたときのタイミングによって大きく変わるため、このポジションが現在のマクラーレン・ホンダの絶対値を示したものではない。
「我々のポジションがどこにあるのか、まだわからない」と長谷川総責任者が語るのも、そのためだ。しかし、このような悪コンディションでも何のトラブルもなく、安定して走行することができたことは、波乱が起きやすい開幕戦において勇気づけられる滑り出しだったと言っていいだろう。
「信頼性は昨年よりも明らかに良くなっています。また今日はパワーユニットをレース仕様のセッティングで走らせ、それも問題がないことが確認できているので、ここまでのところは順調です」
予定外の悪コンディションとなったメルボルンで、想定内のスタートを切った。
(Masahiro Owari)