FIAのレースディレクター、チャーリー・ホワイティングは、2016年の新予選システムに関して、赤旗のタイミングによって脱落の憂き目を見るドライバーがいても、それは「不運」にすぎないと述べた。
今週末のオーストラリアGPでは新しいノックアウトシステムの予選が導入され、各セクションの開始から一定時間の経過後、90秒間隔で最下位のドライバーが順次脱落していく。
予選中に赤旗が出されるとそこで時計は止まるが、再開時にも90秒のカウントはリセットされない。したがって、再開からその90秒間が終わるまでにアウトラップと計測ラップを走り切ることは時間的に不可能で、赤旗が出た時点で最下位のドライバーは自動的に脱落が決まるのだ。
「それは単純に運がなかっただけだ」とホワイティングは言う。「以前の予選セッションとの違いは、タイマーがゼロになる前に計測されたタイムだけが有効になることだ。途中でその90秒が経過した周のタイムは、ノックアウトの判定の対象にならない。ただし、チェッカーフラッグが出た周にコース上にいたクルマは、フィニッシュラインを横切るまでタイムが計測される」
「これまでは赤旗中断後にあらためてアタックすることもできたが、残念ながら新システムでは、最下位のドライバーには挽回のチャンスはない」
また、今季はFP3がこれまで以上に重要になる。Q1で複数のドライバーがラップタイムを記録できなかった場合には、FP3の順位によって誰からノックアウトされていくかが決まるからだ。
「予選が始まる時点でのドライバーの序列は、FP3でのベストタイム順になる」とホワイティング。
「7分間を経過した段階で、タイムを出しているかどうかにかかわらず、その序列の最下位にいる者が予選から除外される」
Q2で複数のドライバーがタイムを記録しなかった場合は、Q1の最終順位に基づいて下位の者からノックアウトされていく。同様にQ3ではQ2の結果によって脱落する順序が決まる。そして、予選中に一度もラップタイムを出せなかったドライバーは、107%ルールをクリアしていないものと見なされることになる。基準タイムを下回ったドライバーの扱いはこれまでと変わらず、レースへの出走を認めるかどうかの判断はスチュワードに一任されている。
ホワイティングによれば、新方式の計時ソフトウェアシステムは「問題なさそうだ」という。画面上には各予選セクションの合計残り時間をカウントダウンする時計と、それとは別の色で90秒をカウントする第2の時計が表示される。また、あるドライバーがノックアウトされると、タイミングモニター上ではそのドライバーの名前の表示色がグレーに変わる。
(Translation:Kenji Mizugaki/オートスポーツweb )