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【F1分析】ガスリーも絶賛、2025年最下位のアルピーヌが5位。今季大躍進を生んだ5つの鍵とは

2026年5月12日

 昨年2025年は、最下位に沈んだアルピーヌ。ところが今シーズンは序盤4戦終了時点で選手権5位に躍進した。その背景には、構造的な選択と技術的進歩の積み重ねがある。


 今季はまだ序盤だが、アルピーヌは有望なスタートを切ったチームのひとつであり、前年からの明確な進歩を示している。去年はわずか22ポイントでコンストラクターズ最下位に終わったが、今季は開幕4戦で23ポイントを獲得、暫定ランキング5位につけた。開幕以来安定したパフォーマンスを見せ続け、日本GPではレッドブルのマックス・フェルスタッペンを上回る場面すらあった。


 では、この進歩はどこから来たのか―その答えは5つの要因にある。

1)2026年プロジェクトへの早期シフト

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
2026年F1第4戦マイアミGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

 今年からの大規模レギュレーション変更を前にして、各チームは2025年中の開発リソースを適切な形で振り分ける必要があった。そんな中、アルピーヌは非常に早い段階で2026年型マシンへ100%注力する決断を下し、2025年シーズンを犠牲にすることを受け入れた。この判断はピエール・ガスリーも支持していた。


「シーズン序盤にチームが『2026年に集中する』という方針を示した時、僕は真っ先に『今年は捨てていい。すぐにでも2026年に取りかかろう』と言ったんだ」


「この数カ月の開発が、トップに立てるか、それとも数年中団に留まるかの分かれ目になる。たとえ苦しいシーズンになるとしても、チームの将来のためなら受け入れる覚悟だったよ」


 困難な2025年を経ながらも、この決断はチーム内部の結束と信頼を強めた。

2)メルセデスPUへのスイッチ

アルピーヌA526
メルセデス製パワーユニットを搭載したアルピーヌA526

 もうひとつの大きな転換点は、ルノー製パワーユニット計画の終了という決断だった。戦略面でも社会的にも非常に重い判断である。


 2024年9月、ルノーは2025年限りでF1のPU開発を終了すると発表。その2カ月後には、2026年から少なくとも2030年までメルセデス製PUを使用する契約を締結した。2026年はメルセデス製ギヤボックスも使用し、2027年以降は自社製へ移行する計画だ。


 新レギュレーションでは内燃機関と電動出力がほぼ50対50となったが、2014年のハイブリッド導入時に成功を収めた実績から見ても、メルセデスは理にかなった選択だった。実際、現在もブリックスワース製PUは基準となる存在である。


 マネージングディレクターのスティーブ・ニールセンは、「PUサプライヤーには満足している。明らかに大きく改善した分野だ」と語っている。


 コンストラクターズポイントでも、メルセデスPU搭載勢は302ポイントを稼ぎ、フェラーリ勢の128を大きく引き離している。

3)優れたシャシー性能

 アルピーヌの進歩は、メルセデスPUだけでなく、2026年規則に最適化されたシャシー設計にも支えられている。


 エグゼクティブ・テクニカルディレクターのデイビッド・サンチェスはこう説明する。


「今回はシャシーもPUも完全なゼロベースからのスタートだった。新レギュレーションは基本に立ち返る機会であり、エンジニアにとって創造性と解釈力が試される非常に魅力的な瞬間だ」


 アルピーヌA526は、タイヤマネジメント、予選パフォーマンス、空力バランスのいずれにおいても高いレベルにある。ガスリーも、こう評価している。


「キャリアで最高のマシンかもしれない。2021年のアルファタウリと並ぶレベルだ。ベース設計がしっかりしているし、どの週末でもどこかしらでパフォーマンスを引き出せている。課題も分かっており、全体として非常に前向きだ」


「鈴鹿ではルイス(・ハミルトン/フェラーリ)に対して、7秒差でフィニッシュできた。どんなタイプのサーキットでも機能している点が自信につながっているよ」


 高速域でのアンダーステアは依然として課題だが、チームはすでにトップ集団入りを視野に入れている。

アルピーヌA526
アルピーヌA526のリヤウイング

 空力面では、リヤウイングにも特徴的な工夫がある。日本GPでは、SLM(DRSに相当するシステム)のアクチュエーターにL字型のカーボンカバーを装着し、作動時に気流を上方へ導く設計を採用した。さらにリヤウイング全体が後方に展開する工夫は、アルピーヌだけのもの。直線での効率向上に、大きく寄与している。

4)サーキットを問わない安定性

 純粋な速さだけでなく、アルピーヌの強みはその一貫性にもある。上海のスプリント週末では、予選・スプリントともに7番手と安定したパフォーマンスを披露。決勝でも競争力を維持した。この傾向は鈴鹿でも続き、エグゼクティブアドバイザーのフラビオ・ブリアトーレは手応えを語る。


「ポジティブな週末を送れている。異なる特性の鈴鹿でも結果を再現できたことで、上海での進歩が本物であると確認できた」


 異なるサーキットで同様のパフォーマンスを発揮できる点は、今後に向けた大きな強みだ。

5)ようやく訪れた体制の安定

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
2026年F1第4戦マイアミGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

 近年のアルピーヌは頻繁な体制変更の影響を受けてきたが、ようやく安定を取り戻しつつある。


 過去9シーズンで7人のチーム代表が入れ替わるという異常な不安定さは、ドライバー面でも同様だった。エステバン・オコンは2024年末に離脱、ジャック・ドゥーハンは2025年序盤にフランコ・コラピントへ交代している。それが現在はブリアトーレとニールセン体制のもと、ガスリーとコラピントのラインアップが2026年も継続された。


 ブリアトーレは過去をこう振り返る。


「ここ数年、アルピーヌには安定がなかった。今はそれを取り戻さなければならない。同時に優秀なエンジニア陣も獲得している。ガーデニング休暇の影響で時間はかかるが、来季に向けてチームを構築しているところだ」

■確かな進歩、しかしまだ途上

 好調なスタートを切ったとはいえ、課題が残っていることもチームは理解している。ガスリーはこう語る。


「前にいるチームに追いつくため、モチベーションを維持し、努力を続ける必要がある」


 レギュレーション初期は開発余地が大きく、学習も続いている。サンチェスはこう説明する。


「新しいPUにおける予選・決勝の運用方法を日々学んでいる。今季はマシンパッケージ全体の特性が大きく変わった。特にパワーユニットに関しては、日々学習の毎日だよ」


 直近のマイアミでは大規模アップデートを投入したレッドブルにやや差をつけられた形だが、ハース、レーシングブルズに対しては優位を示すことができた。中団争いはアルピーヌ一歩リードというところだろう。



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)


レース

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ドライバーズランキング

※マイアミGP終了時点
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9位ピエール・ガスリー16
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※マイアミGP終了時点
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2位スクーデリア・フェラーリHP110
3位マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム94
4位オラクル・レッドブル・レーシング30
5位BWTアルピーヌF1チーム23
6位TGRハースF1チーム18
7位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム14
8位アトラシアン・ウイリアムズF1チーム5
9位アウディ・レボリュートF1チーム2
10位キャデラックF1チーム0

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