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【アストンマーティン・ホンダの現在地】鈴鹿後テストで収穫を得て、夏の大規模変更へ。ニューウェイの認識とアプローチの変化
2026年5月12日
2026年、アストンマーティンF1チームとホンダはワークスパートナーシップの下で参戦、新たな時代へと踏み出した。ホンダはパワーユニット(PU)マニュファクチャラーとしての活動を再開、チームは天才デザイナー、エイドリアン・ニューウェイの獲得にも成功し、F1での成功を目指す上で強力な基礎を築いた形だ。しかし、今年一新された技術規則の下で、今のところアストンマーティン・ホンダは厳しい状況に陥っている。
かつてF1チームでテクニカルディレクターの役割を担い、現在は解説者を務めるアンドリュー・ギャリソン氏が、アストンマーティン・ホンダの状況と動向を分析する。
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■マイアミで見えた改善と、生かすべき教訓
「これぞホンダだ。こうでなくては」――シルバーストンの友人から、日本GPで使用されたAMR26のうちの1台がすぐにはヨーロッパへ戻されず、トラックでHRC Sakuraへ運ばれ、重要なテストを行っていたと聞いた時、私はそう思った。
ホンダは、アストンマーティンAMR26がバーレーンで走り始めた時に、大きな衝撃を受けた。マシン全体が激しく振動し、高速走行中にはパーツが車体から飛び散り、ドライバーたちは数周走っただけで手足の感覚を失い始めると訴えたからだ。聞くところによれば、日本側も自分たちのパワーユニットにある程度の振動があることは認識していたが、それがここまで深刻な問題を引き起こすとは考えていなかったという。
問題の根本原因を探ろうとするなかで、アストンマーティンは当初、責任のすべてをホンダのパワーユニットに押し付けようとしていた。エイドリアン・ニューウェイはメルボルンでの4日間で、レッドブルで過ごした最後の4年間で行った以上の数のインタビューに応じ、そのすべてでチームのパートナーを非難していたのである……。
ニューウェイがそれ以降グランプリに姿を見せていないのも偶然ではない。マイアミ欠席については健康上の理由だった可能性もあるが、ここで詳しく語ることは控えよう。いずれにせよ、AMR26がHRC Sakuraに留め置かれていた期間中、車体に搭載された状態でパワーユニットを動かしつつ作業を行ったことが、明らかに大きな成果を生んだ。

マイアミでは、どちらのマシンもコース上で停止することはなかった。また、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールのスプリント予選を妨げた問題は、パワーユニットではなくシャシー側に起因するものだった。両ドライバーともふたつのレースを完走しており、これもまた前進である。普段から歯に衣着せぬ発言をするアロンソが、状況が改善したかと問われ、「振動は完全になくなった」と明言していた。これもまた進歩だ。
私がここから読み取った最も重要なことは、口数を減らし、仕事に集中すれば、結果は自然とついてくる、ということだ。私は現在ホンダのF1プロジェクトを率いている若い世代のエンジニアたちを個人的には知らない。しかし、20年あるいは30年前に私が一緒に仕事をしたホンダの人々であれば、チーム側が、今のアストンマーティン首脳陣が自分たちのパワーユニットについて語った内容の10%でも外部に対して話していたら、黙ってはいなかったはずだ。そしてそういう姿勢の方が正しい。たとえ現在の問題が100%ホンダ側の責任だったとしても――そして実際にはそうではないことを皆が知っているが――、メディアに対してパートナーを公然と非難したところで、状況が改善するわけではない。
■シャシーとPU、両方に課題

数字は嘘をつかない。マイアミのデータを見れば、ホンダがパワーユニット改善のために努力を必要としているのと同じように、アストンマーティンもAMR26を改善しなければならないことは明らかだ。予選でアロンソとポールを獲得したアンドレア・キミ・アントネッリの差の半分近くは、スタート/フィニッシュラインからターン8出口までのセクター1で生まれていた。ターン1とターン7を除けば、そこは基本的に高速コーナー主体の区間であり、ダウンフォースが極めて重要になる。つまり、アストンマーティンにはそのダウンフォースが十分になく、それが、アロンソがポールシッターに1.33秒も失った理由であると思われる。
残る2つのセクターには、長い全開区間と、最後に低速区間が存在する。アロンソはセクター2でアントネッリより0.630秒遅く、セクター3でチームメイトより速かったストロールは、アントネッリに0.799秒及ばなかった。これらの差は主としてパワーユニットに起因している。両ドライバーともスピードトラップではかなり遅かった。しかし、それでも1周あたりの総タイムロスの約半分はシャシー側の問題から来ていると考えられる。
■ニューウェイも問題点を認識

私はニューウェイの天才性や、他の誰も気づかなかったようなレギュレーションの抜け道を見抜く能力を、一瞬たりとも疑いはしない。しかし、信頼できる情報筋によれば、AMR26の全面的な変更の計画が初夏に向けて進められており、早ければ7月後半のベルギーGPに導入される見込みだという。そうであれば、ニューウェイ自身、今のマシンにおいて何かが期待どおりに機能していないことを理解し、手遅れになる前に方向修正をしようとしているということになる。その場合、取るべきアプローチは明らかだ。「良い結果を出すには、口数を減らして仕事に集中すること」という今回得た教訓を生かすべきだろう。
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筆者アンドリュー・ギャリソンについて
パドックでアンドリュー・ギャリソン(仮名)の姿を見逃すことはまずない。身長1メートル90センチ、体重120キロという巨躯を持つアイルランド出身のギャリソンは、モータースポーツ界で広く愛されるベテランであり、あらゆる仕事を経験し、あらゆる人物と仕事をしてきた。彼は、物事を分析するやり方に、きわめて独特なスタイルを持っている。ギャリソンにとって、物事は「正しい」か「間違っている」かのどちらかであり、その中間は存在しない。
彼はレーシングカーについてあらゆることを語ることができる。なぜなら、実際にそれに関連するすべてを経験してきたからだ。10代のころからレーシングメカニックとして働き始めたギャリソンは、20歳になる前に見習いメカニックとしてF1の世界に足を踏み入れた。しかし、そのわずか2カ月後には、下位カテゴリーのレースでチーフメカニックを任され、チームトラックのドライバーも兼ねながら、地元のスーパーマーケットでサンドイッチを買い出しする係まで担当するようになった。
やがて彼はチームのナンバーワン・メカニックに就任、実践的なアイデアが次々と採用されたことでデザインチームにも加わった。これが契機となり、やがて彼は、自身でシャシーを設計して出場する下位フォーミュラで活動するようになる。
約10年間、自らのチームを運営し、他チームのエンジニアリングを手伝い、トップデザイナーたちの失敗も間近で見てきた後、ギャリソンはテクニカルディレクターとしてF1へ復帰。引退の時を迎えるまで、その職を務め続けた。
声が大きく、歯に衣着せぬ物言いのギャリソンは、今もかつての部下たちに静かな畏怖の念を抱かせる存在だ。彼らの中には、いまやテクニカルディレクターやチーム代表になっている者もいるが、誰もが今もなお、ギャリソンに一目置いている。
本人は新しいテクノロジーには少々ついていけなくなったと率直に認めているが、基礎に関する知識は深いため、今は、技術面だけでなく人間関係の問題についても語れる解説者として、高く評価されている。
(Andrew Garrisson)
関連ニュース
| 1位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 100 |
| 2位 | ジョージ・ラッセル | 80 |
| 3位 | シャルル・ルクレール | 59 |
| 4位 | ランド・ノリス | 51 |
| 5位 | ルイス・ハミルトン | 51 |
| 6位 | オスカー・ピアストリ | 43 |
| 7位 | マックス・フェルスタッペン | 26 |
| 8位 | オリバー・ベアマン | 17 |
| 9位 | ピエール・ガスリー | 16 |
| 10位 | リアム・ローソン | 10 |
| 1位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 180 |
| 2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 110 |
| 3位 | マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム | 94 |
| 4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 30 |
| 5位 | BWTアルピーヌF1チーム | 23 |
| 6位 | TGRハースF1チーム | 18 |
| 7位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 14 |
| 8位 | アトラシアン・ウイリアムズF1チーム | 5 |
| 9位 | アウディ・レボリュートF1チーム | 2 |
| 10位 | キャデラックF1チーム | 0 |


