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F1 Topic:角田を支えたホーナーの言葉とHRCの指示。前戦と異なるエネルギーの使い方で10位を守る

2025年5月20日

 2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPの日曜日のレース前、レコノサンスラップに出るために、ガレージに入ってきた角田裕毅(レッドブル)。目の前にメカニックたちが土曜日の深夜まで作業して修復してくれた22号車があった。それを見て、角田の脳裏に予選でクラッシュした記憶が蘇った。

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ガレージに入った角田裕毅(レッドブル)

「正直言うと予選でのクラッシュがずっと引っかかっていて、土曜日の夜はほとんど眠れませんでした」

 バラクラーバを被り、ヘルメットをつけた角田に、ひとりの男が近寄って行った。クリスチャン・ホーナー代表だった。ホーナーは角田の目を見て、こんな言葉を贈った。

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角田に言葉をかけたホーナー代表

「新しい1日。今日はレースを楽しもう。新しいページを開くために」


 自分をサポートしてくれるチームに感謝した角田は、その思いに応えるために、ポイントを持ち帰ることを決意して、コクピットに乗り込んだ。


 バーチャルセーフティカー(VSC)が角田にとって有利なタイミングで出たこともあり、レース終盤の54周目に角田はニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)を抜いて、10番手までポジションを上げることに成功した。しかし、後方からフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が猛追していた。


 このとき、角田とヒュルケンベルグは29周目に交換し、25周を走行したタイヤを履いていたのに対して、アロンソは46周目に交換した8周しか走っていない比較的新しいタイヤだった。

角田裕毅(レッドブル)とフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP 角田裕毅(レッドブル)とフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)

 残り10周でアロンソが背後に迫ってくることを角田は覚悟していた。そこで、角田は抜いたばかりのヒュルケンベルグをまず利用した。


「僕とアロンソの間に(僕と同じようにセーフティカー導入時にタイヤを交換していない)ヒュルケンベルグがいたので、彼を後方1秒以内に留めておいて、ヒュルケンベルグにDRSを使わせることで、(セーフティカー導入時にタイヤを交換した)アロンソがヒュルケンベルグをオーバーテイクすることを遅らせようとしました」


 しかし、その作戦は5周しかもたなかった。59周目にアロンソがヒュルケンベルグを抜いて、いよいよ角田に迫ろうとしていた。ここで、角田をサポートしたのがホンダ・レーシング(HRC)のスタッフたちだった。


 前戦マイアミGPでも5秒ペナルティを克服するために11番手のアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)に5秒以上の差をつけてフィニッシュしようとバッテリーの使い方でサポートしていたHRC。今回はどのような指示を送っていたのか。


「レッドブルのパフォーマンスエンジニアと我々のパフォーマンスエンジニアが、どういう戦略でバッテリーを使ってポジションを守るのかを相談しました」


 バッテリーの使い方には大きくふたつの方法がある。ひとつはバッテリーを使いながらペースを上げて逃げるという戦略。もうひとつはペースが落ちてもいいからバッテリーを充電して、接近してきたときにバッテリーを使って防御するという戦略だ。


「チームと相談した結果、今回はバッテリーを使ってペースを上げるより、ギリギリまでバッテリーを貯めていって、バトルになったときにバッテリーを使ってディフェンスすることにしました」


 角田がヒュルケンベルグを抜いた後、ペースが上がらなかったのは、ヒュルケンベルグにDRSを使わせるために敢えてペースを上げなかったからだけでなく、このときできるだけバッテリーにエネルギーを充電していたからだった。


 そして、アロンソがヒュルケンベルグを抜いて、1秒以内に迫ってきた59周目から、オーバーテイクされそうなポイントで、角田はバッテリーを使ってポジションを守る。0.804秒差で10番手でチェッカーフラッグを受けた。


 ホーナーはレース後、角田のレースをこう称えた。


「ユウキはピットレーンからスタートして、ポイントフィニッシュした。夜遅くまでマシンを修復してくれたチームスタッフの努力に応える見事な走りだった。優勝したマックスはもちろん、ユウキの走りも今回400戦目となったチームにとって素晴らしいレースだった!」

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レース後、取材の中でホーナー代表は角田を称えた


(Text : Masahiro Owari)


レース

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