F1技術解説:アストンマーティン低迷と復調の理由(2)アロンソの表彰台は真の復活を意味するのか
2023年11月17日
南北アメリカ3連戦の最終戦F1サンパウロGPで、フェルナンド・アロンソが8月のオランダGP以来ほぼ3カ月ぶりに表彰台に立った。これははたしてアストンマーティンの復調を意味するのか。F1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルが分析、マシン細部の画像も紹介する。
─────────────
■メキシコとブラジルではハイブリッド仕様を走らせる

メキシコシティで、アストンマーティンは新型ディフューザーと旧型フロアを組み合わせる試みに出た。そして続くサンパウロGPでも、その仕様とはわずかに異なるものの、再びハイブリッドバージョンを走らせた。
「正直なところ、20回レースを走ったとして、同じパッケージを二度走らせたことはない」とパフォーマンスディレクターのトム・マッカローは言う。
「インテルラゴスでは、このサーキットに適したパーツを組み合わせてマシンに装着した。しかしF1マシンを速く走らせるには、それだけでは済まない多くの要素がある」
「シーズンを通していつもしているように、マシンにはさまざまなパーツ、さまざまな仕様が混在しているんだ。あなた方ジャーナリストも含め、誰も気づかないような小さな変化がクルマの下にはある。このサーキットで可能な限り速く走るために、多くの要素を組み合わせたんだ」
■開幕時のポジションを取り戻したとはいえない

F1マシンの開発では、アップデートがすぐにパフォーマンス向上をもたらすと思われがちだ。しかしアップデートの中には(空力的に最重要パーツのひとつであるフロアのように)仕様の新旧でまったく異なるセッティングを必要とするものもあり、必然的に結果が出るまでに時間がかかることがほとんどだ。
一方でシーズン後半に投入するアップデートは(アストンマーティンだけでなくメルセデスもアメリカで大きなアップデートを投入した)、主に来シーズンに向けての実走による確認であることが多い。いずれにしても、この3連戦でのAMR23は、高速コーナーでも低速コーナーでもライバルたちより競争力を遅かったという事実は変わらない。
アストンマーティンはブラジルでレース週末に集中することで、ある程度の競争力を取り戻すことができた。しかし決してシーズン開幕時のレベルを取り戻したわけではない。実際、あの3位表彰台は、アロンソというスタードライバーの決意と才能に負うところが大きかった。残り24周、セルジオ・ペレスが1周あたり0.5秒縮めながら猛追してくる中、アロンソは非常に賢明なドライビングで逃げ切った(ゴールラインでは0.053秒差だった!)。
しかし2位のランド・ノリスのマクラーレンに対しては、25秒も遅れていた。さらにいえば、メルセデスとフェラーリがレース週末を完全に棒に振ったことが、アストンマーティンが好結果を挙げる助けになった。
メルセデスはセットアップを見事に誤り、フェラーリは冷却要件を見誤った(エンジンカウルの開口部が小さすぎたため、ドライバーは多くのリフト&コーストを強いられた)。さらにさまざまなメカニカルな不具合にも苦しんだ。
彼らのようなトップチームがここまで道を踏み外すのを見ると、来年本当にレッドブルに追いつくことができるのだろうかと心配になってしまう。
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)
関連ニュース

1位 | オスカー・ピアストリ | 131 |
2位 | ランド・ノリス | 115 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 99 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 93 |
5位 | シャルル・ルクレール | 53 |
6位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 48 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 41 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 30 |
9位 | エステバン・オコン | 14 |
10位 | ランス・ストロール | 14 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 246 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 141 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 105 |
4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 94 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 37 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 20 |
7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 14 |
8位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 8 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 7 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 6 |

