最新記事
- レッドブルを離れるペレスにホーナー代表が感...
- レッドブル、セルジオ・ペレスのチーム離脱を...
- ブレンボ、F1やMotoGP、WRCなど2024年は69の...
- フェラーリ、サインツのために前例のない送別...
- メルセデスを離れるハミルトンがフェアウェル...
- 【F1第24戦無線レビュー(2)】チームに26年...
- FIA会長が新たな口撃。常任スチュワードを望...
- 【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】ふたりの...
- フェルスタッペン、ルワンダで草の根レベルの...
- 【F1第24戦無線レビュー(1)】ピアストリが...
- 11番目のF1チーム、社名から正式にアンドレッ...
- キャデラックF1は経験あるドライバーとアメリ...
【全ドライバー独自採点/F1第16戦】超一流の走りで週末を支配したサインツ、バトルの能力を失ったペレス
2023年9月21日
長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。今回はシンガポールGPの週末を振り返る。
─────────────
マリーナ・ベイ・サーキットは、今年のグランプリ開催に向けて改修され、最終セクターの4つの低速コーナーが撤去された。しかし新レイアウトにより難易度が下がることはなく、ドライバーたちが週末を通して大きなミスをすることなく走り続けるのは簡単なことではなかった。
マリーナ・ベイは、本物のストリートサーキットであり、ドライバーはわずかなミスを犯すことも許されない。暑く過酷なコンディションで良い結果を出すためには、ドライバーは最高の調子を維持して戦い抜く必要がある。
■評価 10/10:類まれなパフォーマンスを披露したサインツ
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選1番手/決勝1位
カルロス・サインツ(フェラーリ)は、FP1は2番手だったが、ごく僅差であり、週末全体を支配したといっていいだろう。彼のF1キャリアのなかで、初めてのことだ。予選での彼のラップは、攻撃性を完璧にコントロールする走りの見本のようで、しかも、まだ余裕があったという。まさにポールにふさわしいパフォーマンスだった。
決勝の彼は、スピード、タイヤ管理、知性のどの面においても超一流だった。ひとつのレース内でそのすべてが融合した走りを見られる機会はめったにない。シンガポールで素晴らしいパフォーマンスを見せたドライバーは何人かいるものの、サインツは明らかに他より頭ひとつ抜けており、満点を与えるに値する。
■評価 9/10:アップデートも効果を発揮、上位で戦い続けたノリス
ランド・ノリス(マクラーレン):予選4番手/決勝2位
サインツの親友で元チームメイトのランド・ノリス(マクラーレン)も、満点に近いレベルだった。マクラーレンが彼のマシンに施したアップデートを最大限に生かし、予選ではトップチームと競り合い、4番手を獲得した。レースではトップ3から離されず、シャルル・ルクレールがピットストップで遅れたことで、3番手に浮上。ジョージ・ラッセルがギャンブルで2回目のピットストップを行ったため、ノリスはさらにひとつ順位を上げた。ノリスはサインツからDRSという貴重な助けを得ながら、ラッセルの攻撃に耐え、終盤、ウォールに軽くこすりる場面がありながらも、2位を守り切った。
■評価 8/10:チームに今季ベストの成績をもたらしたローソン
リアム・ローソン(アルファタウリ):予選10番手/決勝9位
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選3番手/決勝4位
ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選5番手/決勝3位
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選8番手/決勝リタイア
リアム・ローソン(アルファタウリ)はまたしても、期待を大きく上回るパフォーマンスを見せた。初めて走るサーキットで、大きなミスをせず、予選では、フェルスタッペンより速いタイムを出して、Q3に進出した。決勝スタートは今回もあまりうまくいかず、順位を落としたが、冷静さを保ち、ミスなく走り、熾烈な戦いを経て、ポイント圏内に復帰した。ラッセルのクラッシュでローソンは9位を獲得、これはアルファタウリにとって今季ここまででベストの成績だ。
シャルル・ルクレール(フェラーリ)には同情する。速さがありながら、チームプレーに徹し、サインツの勝利に重要な貢献を果たし、その結果、彼自身は望む結果を得られなかった。SF-23の新しいアンダーステア特性に馴染むのに時間を要していたが、予選ではフロントロウに0.007秒差まで迫った。しかしサインツの後ろのグリッドになったことで、彼を守るために、ソフトタイヤでスタートすることを受け入れた。
タイヤが終わりかけていたタイミングでセーフティカーが出動したのはよかったが、ピットレーンのトラフィックを避けるために待たなければならず、貴重な時間を失った。さらに、ノリスがセルジオ・ペレスの前に出た際に、ルクレールはペレスとのクラッシュを避ける行動を取らなければならず、その過程で、ルイス・ハミルトンにも前に行かれてしまった。
前を行くメルセデス2台は2回目のピットストップを行って、いったん後ろに下がったが、フレッシュタイヤでルクレールを抜いて行った。ルクレールはタイヤを温存し、マックス・フェルスタッペンからはポジションを守り、ラッセルのクラッシュにより4位でフィニッシュした。
ルイス・ハミルトン(メルセデス)は、予選結果が悪かったことで大きな代償を払った。しかしレースの最終スティントでクリーンエアで走った時の速さは素晴らしく、クリーンエアの際のラッセルとフェルスタッペンよりも間違いなく速かった。
大好きなマリーナ・ベイ・サーキットで、予選では力を発揮できなかったハミルトンは、セカンドスティントの終わりまでの44周は、ノリスの後ろを走り続けなければならなかった。しかし、ひとたび前が開けると、ハミルトンは飛ぶように走った。チームメイトのミスで繰り上がったとはいえ、ハミルトンが表彰台にふさわしい速さを示したことは間違いない。
エステバン・オコン(アルピーヌ)は週末のスターだったが、残酷な結末を迎えた。予選ではチームメイトがQ2で敗退したのに対し、オコンはQ3に進出。レースでは特にピットストップ後にアグレッシブに攻めた。フェルナンド・アロンソがペレスを抜くことができない状況のなかで、オコンはふたりを抜き去り、アロンソを楽々引き離した。少なくとも6位は獲得できたはずのオコンだったが、ギヤボックスにトラブルが発生し、ストップすることになった。
■評価 7/10:フェルスタッペン、マシンのパフォーマンス不足で上位争いできず
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選11番手/決勝5位
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選12番手/決勝6位
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選14番手/決勝11位
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選17番手/決勝7位
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選6番手/決勝10位
シンガポールでのレッドブルは、ひどい低迷に陥り、マシンのパフォーマンスが低かったことが、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に影響を及ぼした。予選ではQ2敗退という屈辱を味わった後、決勝はハードタイヤでスタート。ほとんどのマシンがピットストップをした際にステイアウトして上位に浮上したものの、後ろからフレッシュタイヤで迫るグループに、古いタイヤで抵抗することができず、ポジションを落としていった。ミディアムタイヤに交換してからペースが向上したが、マシンのパフォーマンス以上の走りをすることはできず、ラッセルのクラッシュで繰り上がって5位という結果に終わった。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は予選ではチームメイトに敗れたものの、最終的にアルピーヌに貴重な8ポイントを持ち帰った。セカンドスティントにポジションを上げ、激しいバトルの末にケビン・マグヌッセンを抜き、6位でフィニッシュ。堅実ではあったが、輝いていたといえるほどのパフォーマンスではなかった。
ウイリアムズはこのコースで戦闘力を持っていなかったが、それでもペレスの不器用なオーバーテイクの犠牲になって接触されていなければ、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)はポイントを獲得していただろう。予選ではQ2に進出したが、決勝スタートの出来は悪く、オスカー・ピアストリの後ろに下がってしまった。最初の2スティントをトラフィックのなかで過ごした後、バーチャル・セーフティカー導入時にピットインし、2セット目の新品ミディアムに履き替えた。フレッシュタイヤを最大限に活用し、すぐさま周冠宇とニコ・ヒュルケンベルグをパスし、ローソンをも抜こうとしていたが、ペレスがアルボンのインに飛び込んで接触、アルボンはそのインシデントによって少なくとも2ポイントを奪われる結果になった。
マクラーレンは 今回、ノリスのマシンだけにフルアップグレードを施した。それを考えると、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は非常に堅実な仕事をしたといえるだろう。予選は、ランス・ストロールのクラッシュの影響でQ1で敗退するという不運に見舞われたが、決勝のオープニングラップで3つポジションを上げ、ピットストップでさらに上がった。後半は、ガスリーの後ろを走り、この難しいコースを初めて走ったにもかかわらず、立派に7位をつかみとった。
以前のレイアウトでのトラックレコード保持者、ケビン・マグヌッセン(ハース)は、特に予選で輝きを放ち、ハースVF-23で6番手を獲得した。決勝の1周目にふたつポジションを失った後、フェルスタッペンを相手に数周、強力なディフェンスをしてみせた。タイヤのデグラデーションが高いことが弱点のひとつであるハースで、ガスリーに対して過度に防御してコースオフ、2回目のピットストップを実施。その後、新しいタイヤで周冠宇とヒュルケンベルグをパスし、アルボンとペレスの接触の恩恵を受け、最終ラップではラッセルがリタイアしたことで、マグヌッセンはポイントをつかんだ。
■評価 6/10:完璧だったはずの週末をクラッシュで終えたラッセル
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選2番手/決勝リタイア(16位完走扱い)
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選9番手/決勝13位
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ):予選16番手/決勝リタイア
ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、決勝最終ラップの途中までは、サインツに匹敵するパフォーマンスを見せていた。少なくとも3位は確実だったにもかかわらず、ラッセルは彼らしくないミスでクラッシュしてしまった。
素晴らしい予選ラップで最前列を確保。決勝では、ソフトタイヤのルクレールに抜かれて3番手に落ち、長時間にわたってフェラーリの後ろを走ることになった。ルクレールに対しても、サインツに対しても、オーバーテイクをすることができなかったラッセルは、タイヤ交換をして、フレッシュなタイヤで攻撃するという戦略を取った。しかしサインツを抜けないままにウォールに接触してコースオフ、バリアに突っ込んでレースを終えた。
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は珍しく予選でチームメイトに敗れたが、それでもQ3に進出、ハースにとっては快挙といえる結果だった。決勝ではセーフティカー出動時、マグヌッセンのすぐ後ろでピットインしたことで、ローソン、ピアストリ、ガスリーの後ろに下がってしまい、ポイント争いから脱落した。バーチャル・セーフティカー時にステイアウト、一時的に9番手に上がったが、終盤はタイヤに苦しみ、13位まで落ちてしまった。
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)にとって試練の週末だった。マシンのセットアップが良くなかったせいでQ1で敗退したが、チームメイトを上回ることはできた。レッドブル勢と同様にハードタイヤでスタート、彼にとっては早すぎるタイミングでセーフティカーが出動。40周目にタイヤ交換をした後、ポジションを上げ始めたものの、ポイントは望めない状態で、最終的にはオーバーヒートの問題でリタイアした。
■評価 5/10:不運ではあったが、大きなミスも犯した角田裕毅
角田裕毅(アルファタウリ):予選15番手/決勝リタイア
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選7番手/決勝15位
シンガポールでの角田裕毅(アルファタウリ)は非常に不運だった。一方で、予選Q2で大きなミスを犯したことで、高い代償を払うことになった。Q2最初のランでフェルスタッペンから妨害されていなければ、楽にQ3に進めていただろう(フェルスタッペンがグリッドペナルティをなぜ免れることができたのか、理解に苦しむ)。とはいえ、次のランでチャンスがあったにもかかわらず、角田はプレッシャーに負けて、ミスを犯し、タイムを記録できなかった。15番グリッドから良いスタートを切った角田だが、ペレスに接触されてレースを終えることになった。
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、今回、いつもの輝きを失っていた。AMR23の競争力は期待とは程遠い状態であったため、アロンソはフラストレーションを募らせていた。それがレースにも表れていたように思う。スタートで6番手に上がったが、ピットストップ後にペレスの後ろになり、抜けずにいるうちに、後ろのオコンに追い越され、さらにオコンがペレスの前に出るのを見ることになった。アロンソは最初のピットイン時にミスを犯してペナルティを受け、2回目のピットストップ時にはリヤジャッキの問題により時間をロス、終盤は最後尾を走ることになった。
運転しづらいマシンに苦労し、周冠宇(アルファロメオ)はプラクティスや予選でチームメイトほどのペースを見せることができなかった。決勝前に大幅にマシンを変更し、ピットレーンからスタート、マシンの感触は大きく改善した。標準的な戦略で走り、セーフティカー出動時にピットに入り、他のドライバーたちがミスをするたびに順位を上げ、一時は11番手に上がった。しかし使い込んだタイヤを履いた周は、フレッシュタイヤのマグヌッセンやアルボンに抵抗できず、12位フィニッシュという結果になった。
■評価 4/10:接触を繰り返したペレス
扱いづらいマシンで戦わなければならなかったこの週末、セルジオ・ペレス(レッドブル)は、フェルスタッペンに大きく引き離された。予選は13番手、決勝では角田とアルボンに対して接触を起こしたが、重大な結果につながるペナルティは免れたのはラッキーだったといえるだろう。フォース・インディア/レーシングポイント時代には、集団のなかでのバトルを得意としていたペレスだが、接触せずに戦う能力を失ってしまったようだ。RB19が非常に頑丈で、走る続けることができたために、8位を獲得したが、彼はそのリザルトにふさわしい仕事をしたとはいえない。
■評価 3/10:再びアルボンに大きく遅れたサージェント
F1での生き残りをかけて戦っているローガン・サージェント(ウイリアムズ)だが、キャリアを救うための時間が残り少なくなってきている。シンガポールでの結果は、彼の評価にとってプラスにならないものだった。予選でアルボンに0.6秒差で敗れ、レースでは早々にタイヤをだめにして、クラッシュを喫し、ピットに向かう途中でマシンのパーツを落とし、セーフティカーの原因となった。レース後半は後方を走り、アロンソの2回目のピットストップが長い時間がかかったことで、サージェントはひとつ順位を上げた。彼にとっての週末のハイライトは、最後までアロンソを抑えきったことだった。
■評価なし:クラッシュで決勝を欠場したストロール
(Luis Vasconcelos)
関連ニュース
12/6(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
12/7(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
12/8(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
1位 | マックス・フェルスタッペン | 437 |
2位 | ランド・ノリス | 374 |
3位 | シャルル・ルクレール | 356 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 292 |
5位 | カルロス・サインツ | 290 |
6位 | ジョージ・ラッセル | 245 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 223 |
8位 | セルジオ・ペレス | 152 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 70 |
10位 | ピエール・ガスリー | 42 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 666 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 652 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 589 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 468 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 94 |
6位 | BWTアルピーヌF1チーム | 65 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 58 |
8位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 46 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 4 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
第23戦 | カタールGP | 12/1 |