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【F1オーストリアGP技術解説(1)】アップグレードを入れたライバルたちが、レッドブルに追いつけない理由

2023年7月7日

 2023年F1第10戦オーストリアGPに導入されたマシンアップグレードを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察。第1回では、フェラーリの新パーツ詳細の写真を紹介しつつ、レッドブルが変わらず優位を維持する理由について分析する。


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 F1オーストリアGPでのマックス・フェルスタッペンは、2位シャルル・ルクレールに24秒ものリードを築き(注:ソフトタイヤに履き替えて最速タイムを叩き出す前)、今季7勝目を挙げた。そして今季のレッドブルは、9戦9勝だ。

2023年F1第10戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2023年F1第10戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)


 レッドブルの車体が開幕以来ほとんど変化していないのとは対照的に、フェラーリ、メルセデス、アストンマーティンは大幅なアップデートを投入し続けている。なのにレッドブルの優位がほとんど揺るがないのは、一体なぜなのだろう。

フェラーリSF-23 フロントウイング比較
フェラーリSF-23 フロントウイング比較


「今季のマシンRB19は、シーズン開幕からほとんど変わっていない」とクリスチャン・ホーナー代表は、オーストリアの週末に語っていた。
「シミュレーションに費やす時間が、(選手権トップの)我々は特に厳しく制限されている。そのため今季型と来季のマシン開発の間で、うまく分配しなければならないのだ」


 「(2022年のランキング順位と2021年の予算超過によるペナルティのため)ライバルたちよりも開発時間が少ない。かといって2024年型シャシーの開発に、制限をかけたくない。だから今季の改良プログラムは、非常に軽いものだ。その意味で我々のマシンが開幕から好調を維持しているのは、本当にラッキーなことだ」


 一方他のチームは、マシンコンセプトを根底から変えるなど、徹底的に改良を施している。メルセデスはモナコで新しいサスペンションと、“ゼロポッド”から脱却したポンツーンを発表。フェラーリはバルセロナでボディワークのデザインを変更し、オーストリアでも新しい空力パッケージを発表した(上の写真がフロントウイング、下の写真がフロアの、それぞれカナダとの変更比較)。そしてアストンマーティンは、モントリオールで、サイドポンツーンとフロアデザインを変更している。

フェラーリSF-23 フロア比較
フェラーリSF-23 フロア比較


 常識的には大幅アップデートは、性能向上をもたらすはず。そしてメルセデス、フェラーリ、アストンマーティンの改良はそれぞれ、決して的外れなものではなかった。それにもかかわらず、オーストリアでもRB19はリードを保っていた。なぜか。


 これら3チームのアップデートは、基本的に(相対的な)欠陥の修正を目的としたものだったからだ。誕生時点ですでにずば抜けた戦闘力を持つRB19に比べれば、ライバルたちのマシンは不完全な領域が多かった。彼らのアップデートはあくまでそれを補うためのものであり、依然として十分ではないということなのだ。


 フェラーリのSF-23に施された変更は、コーナーでの挙動の改善(より安定したダウンフォースの発生)によって、ドライバーの自信を高めることが目的だった。メルセデスのW14に導入された技術革新については、ダウンフォースを増加させ、マシンの作動ウインドウを広げることによってリヤグリップを向上させることを目的としていた。そしてアストンマーティンAMR23に施された改良は、高速コーナーでの競争力を高めることが狙いだった。


 レッドブルのエンジニアたちも、ダウンフォース増大とパフォーマンスの向上を目指して、細かい改良を施している。しかし基本的には、非常に洗練されたフロアデザインと斬新なサスペンションのおかげで、開幕時点での競争力を失わずに済んでいる。



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)


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5位シャルル・ルクレール53
6位アンドレア・キミ・アントネッリ48
7位ルイス・ハミルトン41
8位アレクサンダー・アルボン30
9位エステバン・オコン14
10位ランス・ストロール14

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2位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム141
3位オラクル・レッドブル・レーシング105
4位スクーデリア・フェラーリHP94
5位ウイリアムズ・レーシング37
6位マネーグラム・ハースF1チーム20
7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム14
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