ウイリアムズF1の新車FW26は、バレンシアのリカルド・トルモ・サーキットで公開されるや、その斬新なフロントエンドが波紋を巻き起こした。
まず最初に巻き起こった反応では、意見が真っ二つに割れていた。例年よりもはるかに、フロントウイングをとがったノーズコーンの前の方に出したこのデザインには意味があるのだという見方もあるが、他方では、もっとひねくれた考え方をする者もいる。
「“キバ”それ自体は、目的というよりむしろ手段だと思う」と、ライバルチームのとあるエアロダイナミシストは、クラッシュネットに対して語った。「たいていのレーシングカーでは、フロントピラー(のデザイン)は、マシン全体のダウンフォースや気流に較べれば、非常に些細なアドバンテージしかもたらさないものだ」
「私の想像では、(ウイリアムズF1のデザインの)主目的は、フロントウイングをノーズからできるだけ離すことだと思う。あのマシンを横から見ると、フロントウイングが、過去のマシンよりもずっと前の方に出ているだろう。これがウイングやマシンの下の気流を改善しようとしているのか、それともウイングに邪魔される空気の乱流からノーズを離そうとしているのかは、想像するしかないが――何か得るものがあるに違いない」
これとは対照的な見方もある。そのデザインは単なる煙幕に過ぎず、3月初めの開幕まで数週間となった今、ウイリアムズがライバルを混乱させようとしているのだ、というのがその主張だ。
「別の可能性として――実際にそういうことをしたチームを私は知っているが――このパーツがパフォーマンスの面で取りたてて得にはならなくても、損にもならなくて、純粋に目新しいならば、いずれにしても注目を集めるだろう」と、その情報提供者は語った。「ウイリアムズも十分承知しているとおり、他チームの風洞はみな、来月“キバ”をテストすることになるだろう――もちろん私たちもするよ!」
「必ずしも(ウイリアムズの)助けにはならないかもしれないが、他チームの開発を邪魔することはできるだろう。他チームは、それが得になるのかどうか、調べなくちゃならないんだからね……」