FIAが「メルセデスPUに違法性なし」との調査結果を通知。レッドブルF1が示した疑念は事実無根との結論
2021年10月5日
メルセデスF1がパワーユニット(PU)において違法行為を行っているという疑いを持ったレッドブル・レーシングがFIAに対して問い合わせを行ったが、FIAは調査の結果、その疑いを完全に否定した。
レギュレーションにおいて、エンジンプレナムの温度に規定が設けられているが、メルセデスは何らかの方法で温度センサーをパスする形で温度を規定よりも下げ、これによってパワーを稼いでいるのではないかというのが、レッドブルの考えだった。
メルセデスは低速コーナーからの立ち上がりが非常に速くなったとして、その理由を探るなかで、レッドブルは、メルセデスがそういうトリックを用いているという考えに至り、FIAに対して問い合わせを行った。
レッドブルの関係者は、ホンダの場合は1ラップのなかでのエンジンマネジメント戦略の関係で、低速コーナーからの立ち上がりがメルセデスより劣っていると認めている。しかしレッドブルはメルセデスがその部分で優れている理由をエンジンストラテジーでなく不正である可能性があると考え、行動に起こした。
だが、最近レッドブル関係者から聞いたところによると、FIAから通知が届き、そこには、メルセデスのエンジンプレナム内の空気の流れについて全面的な調査を行った結果、規則で定められた最低温度を下回ることは一切なかったと書かれていたという。
この問題を規定しているのはF1技術規則第5.6.8条だ。そこには次のように記されている。
「エンジンプレナムの空気温は、大気温度プラス10度を上回っていなければならない。この規則への適合を評価するとき、空気の温度は、予選、スプリント予選およびレースの各周回の間、エンジンプレナム内のFIA認可の場所に配置されたFIA認定の封印されたセンサーによって記録された、その周回の平均となる。レースあるいはスプリント予選の最初の周回、セーフティカーの出動中に行われた周回、セッションの最速ラップより少なくとも20パーセント遅いタイムの周回、ピットインとピットアウトの周回、および明白に通常ではない周回は、平均温度を評価するためには使用されない。大気温度は、FIA指定の気象サービス提供者が記録した気温とする。この情報はタイミングモニターにも表示される」
メルセデスが以前よりもはるかに大きなエンジンプレナムを使用していることは誰もが認めている。だが、内部温度を規定よりも下げることによってアドバンテージを得ているという事実はないと、FIAは断言した。メルセデスの勢いを削ごうとする今回のレッドブルの試みは成功しなかったことになる。
(Grandprix.com)
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