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F1技術解説ロシアGP:2022年を見据えてアップデートされたフェラーリのパワーユニット

2021年10月4日

 2021年F1第15戦ロシアGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察、印象に残った点について解説する。今回は、フェラーリが導入した新パワーユニット(PU)を取り上げる。


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 フェラーリはロシアGPで、シャルル・ルクレール車に新たなパワーユニットを搭載した。信頼性の問題を除き、シーズン中のPUアップデートは基本的には禁止されている。ただしフェラーリの場合、開幕前のPU改良は一部に限られていた。


 現行パワーユニットは内燃エンジン(ICE)、ターボチャージャー、エネルギー回生システム(ERS)、バッテリー、そして電子コントロールシステム(CE)で構成されている。フェラーリはこのうちICEとターボは新型を投入していたが、ERSとバッテリーは2020年仕様のままだった。


 ソチでルクレール車に搭載されたのは、フェラーリの公式発表によれば、「新たなハイブリッドシステム」とのことだ。具体的にはMGU-K(運動エネルギー回生システム)とMGU-H(熱エネルギー回生システム)、そしてバッテリーが一新されたようだ(バッテリーに関してはこれまでの400ボルトから800ボルトに倍増されたと噂されるが、真偽は定かではない)。


 マッティア・ビノット代表は今回のアップデートによる性能向上は、「この週末は、ほんのわずかだ」と言っていた。今後、信頼性の確認を進めていくが、パワー自体はせいぜい10馬力前後増えるだけと見られている。

フェラーリSF21・065/6
フェラーリSF21・065/6

 フェラーリの内部事情に詳しい関係者によれば、目的は単純なパワーアップではなく、来季以降に向けてのデータ収集の意味合いが大きいという。来年のパワーユニットは、2025年まで技術規約が凍結される。つまりその間は変更が許されないということだ。


 2019年のパワーユニットにおいて不正があったことが疑われたフェラーリは、FIAからの調査を受けた後に失速、2020年のパワーユニット開発も大失敗し、選手権6位と低迷した。それが今季は車体改良が功を奏したこともあって戦闘力を回復しつつあるものの、メルセデス、レッドブル・ホンダの2強との差は依然として大きい。


 彼らに追いつくためには、パワーユニットの大幅かつ確実な性能向上が欠かせない。そのため今季開幕時点で全ユニットを改良する拙速を避け、ERSとバッテリーは開発にじっくり時間をかけ、2段階で投入することを選択したということだ。



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)


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