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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】ハンガリー編:98パーセントの力で走ることを早く学んでほしい
2021年8月14日
2021年に7年ぶりに日本人F1ドライバーが登場した。アルファタウリ・ホンダからF1にデビューした角田裕毅だ。極めて高い評価を受け、大きな期待を担う角田を、海外の関係者はどう見ているのか。今は引退の身だが、モータースポーツ界で長年を過ごし、チームオーナーやコメンテーターを務めた経験もあるというエディ・エディントン(仮名)が、豊富な経験をもとに、忌憚のない意見をぶつける。今回は第11戦ハンガリーGPを振り返る。
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あるメーカーが、何事も不可能なんてことはないのだというメッセージを発しているのを目にして、遠い昔のことを思い出した。彼らに声をかけて、私のチームと契約すれば、たったの数百万ドルでとてつもないメリットを得られるという説明をしたことがあったっけ。あんないい話を断るなんて、どうかしている。
不可能なんてない、とポジティブに考えることは重要だ。角田裕毅は、ハンガロリンクを去る時、どういう気持ちだっただろう。「グラスの中身は半分もある」方向の楽観的な見方をしていたかもしれない。決勝を7位でフィニッシュし、後にセバスチャン・ベッテルの失格で6位に繰り上がったのは、週末の締めくくりとしてはまずまずの結果だった。だが、「グラスの中身は半分しかない」方向の悲観的な思いにとらわれていたとしても不思議ではない。彼は金曜日にまたしても避けられるミスを犯して、それがもとになってQ1で敗退したからだ。決勝スタート直後に親切なバルテリ・ボッタスとカナダの大富豪の息子が4分の1のマシンをリタイアに追い込んだおかげで、裕毅がポイント獲得のチャンスをつかめたのは、非常にラッキーだった。
同じことばかり毎回言い続けているのは分かっているが、もう一度言う。「プッシュしていいのはQ2から。あとはレースの重要なタイミングだけ」だ。それをあの子に分からせる方法を、なんとか見つけることはできないものか。決勝ではスタート直後の2周、ピットストップ前後、オーバーテイクできる現実的な可能性があるときだけはプッシュしてもいい。それ以外は98パーセントの力で走るべきなのだ。
FP1序盤にスピンした時に、路面にグリップがないことを理解したものと思っていた。だが、実際には彼は全く学んでなどおらず、ハンガロリンク最速のコーナーでコースオフし、ギヤボックスを壊し、マシンに大きなダメージを与えた。そのせいでFP2では終了間際に計測ラップを1周走ることしかできなかった。
その影響で、土日はとても苦しいものになってしまった。FP3で積極的に走りこんではいたものの、予選でQ1敗退という結果にになったことは驚きではない。それは他でもない、彼自身のせいだ。
ヘルムート・マルコのショック療法もフランツ・トスト校長による教育も、全く効果を発揮せず、角田のミスはなくならない。こうなってくると、やはり彼に経験あるマネージャーが必要なのは明らかだ。才能ある若手ドライバーをうまく導くことができる、経験豊かな人物。レッドブルのめちゃくちゃな育成プログラムとは関わりない人物。いかれたオーストリア人たちは除外した方がいい。
決勝中にも角田は、プレッシャーがかかってもいない時に不必要なスピンをしていた。ピエール・ガスリーと角田の間に大きなギャップができたため、アルファタウリは終盤、ガスリーにフリーストップをさせることができたほどだ。おかげでガスリーはポジションを失うことなくファステストラップを記録して、ルイス・ハミルトンから追加ポイントを奪うことができた。
裕毅がサマーブレイクの間にリラックスし、しっかり充電し、いい状態で後半戦に向かってくれることを祈っている。スパやモンツァでああいうミスをして、予選や決勝に出られなくなると悲惨だからね。チームメイトのガスリーは2021年F1のスターのひとりだ。ルーキーの裕毅がすべきことは、できる限り彼に近づき、毎戦ポイントを争う安定感を見せることだと理解してほしい。
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筆者エディ・エディントンについて
エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。
ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。
しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。
ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちのある握手はバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。
(Eddie Eddington)
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1位 | マックス・フェルスタッペン | 437 |
2位 | ランド・ノリス | 374 |
3位 | シャルル・ルクレール | 356 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 292 |
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6位 | ジョージ・ラッセル | 245 |
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8位 | セルジオ・ペレス | 152 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 70 |
10位 | ピエール・ガスリー | 42 |
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1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 666 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 652 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 589 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 468 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 94 |
6位 | BWTアルピーヌF1チーム | 65 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 58 |
8位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 46 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 4 |
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