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松田次生のF1目線:スタートでボッタスがミスも、後半戦位向けて勢いを取り戻したメルセデス

2021年8月6日

 フォーミュラ・ニッポンの元チャンピオンで、現在はスーパーGTでニスモのワークス車両でGT500を戦い、スーパーフォーミュラではチーム監督としてKCMGを率いる松田次生がF1について語る連載企画。今回は2021年第11戦ハンガリーGPを振り返ります。

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 もしも、僕がボッタスだったら、今回の件はかなりショックですね。「もうレースやめた方がいいのかな」と落ち込んでしまうと思います。スタート直後のボッタスは、それくらいのミスです。

 ブレーキングポイントって、雨とドライでは大きく変わるんです。おそらく前のノリスがもっと先でブレーキ踏むと思ったんでしょうね。ボッタスはあわててブレーキを踏んだけど、前に接近しすぎていたためダウンフォースが抜け、タイヤもロックして追突してしまいました。

 マクラーレンだけでなく、直接&間接的にレッドブル2台もやっつけてしまいました。表向きは「やってしまった!」だけど、メルセデスのチーム内では「よし!」と思った可能性はゼロではないでしょう。ボッタスの来年の契約に注目したいところです(笑)。

 アンラッキーだったレッドブルですが、クルマとしてはメルセデスに負けていたように思います。それが予選Q2でのタイヤ選択に表れていた気もします。

 というのも、メルセデスが速いということを感じ取ったレッドブル陣営は、ミディアムで前のグリッドを確保できないなら、ソフトを選択してトラックポジション重視の作戦に変えたのではないでしょうか。

 レース序盤、前のクルマをなかなか抜けなかったハミルトンを見れば、その作戦も悪くはないと思いますし。

 Q3でのハミルトンのアタック直前のスロー走行は、「わざとではない」という話ですが、まあ、故意の可能性はありますね。そういうところは、メルセデスは抜かりなくやってくるなあという印象です。もし、フェルスタッペンがハミルトンの“妨害”を受けずにちゃんとアタックできていれば、ボッタスの前には出られた可能性が高く、そうしたら決勝の流れも変わっていたと思います。

 決勝スタートでは、ハミルトンだけがグリッドについたのは驚きでした。でもレース的には美しくないですよね。個人的にはスタートするまではピットに入れないというルールにした方がいいと思います。ピットに入らない方はどうしても不利だし。メルセデスのステイの判断は、PPだし、アンパイでいくしかなかったと思います。

 ただ、ハミルトンが下がったことで、オコンが優勝することができました。あれは素晴らしかった。あと、アロンソのブロックもすごかった。クルマを置く位置をよくわかっていますし、抜かれそうになったらレイトブレーキングで抵抗しました。

 あれが1、2周で抜かれたらオコンが勝てなかった可能性が高いです。ハミルトンもイライラしていたけど、彼に対してあれだけバチバチにできるドライバーはいないですよね。

 ハミルトンは、アロンソの後ろで走っている時は、10〜20km/hくらい低い速度でした。それだけタービュランスの影響があり、だからこそ燃料が重いときのハミルトンは、なかなかポジションを上げることができませんでした。そう考えると、ますますレッドブルのソフト作戦が活きた可能性は高いですよね。

 夏休み後シリーズ後半に入るわけですが、今のところ優位性があるのはメルセデスかなあ。前回のイギリスからアップデートしたことがすごくうまくいっている。それに対してレッドブルがどう対抗するか。ただ、エンジン4基目をおそらくどこかで投入する必要がある点がネガティブな要素ですね。いずれにせよ、両者の戦いは熾烈だと思います。

(Tsugio Matsuda)

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