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【F1第10戦無線レビュー(1)】接触後、レッドブル代表がレースディレクターへ猛抗議「適切な判断をしてくれるよね」
2021年7月22日
2021年F1第10戦イギリスGPの決勝レースでは、スタート直後にマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトン接触が発生した。幸いフェルスタッペンは自力でマシンを降りることができたものの、赤旗中断の間に両チームのチーム代表がレースディレクターにお互いの主張を伝えていた。イギリスGPのスタート直後の様子を無線とともに振り返る。
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F1史上初のスプリント予選方式が導入されたイギリスGP。土曜日のスプリント予選でスタート直後に6台をごぼう抜きにしたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)と担当エンジニアのカレル・ルースは、決勝レースのグリッドでも意気軒高だった。
ルース:さあ、昨日以上に愉快な1日にしよう!
しかし前日のロケットスタートの再現はならず、逆セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)にかわされてしまう。一方先頭では、超高速のコプスコーナーでマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)の接触事故が発生する。フェルスタッペンはタイヤバリアに激突し、早々にリタイア。ハミルトンも、無傷では済まなかった。
ハミルトン:ダメージを負った!
ピーター・ボニントン:ピットを準備する
しかしハミルトンはステイアウトし、その間にレースは赤旗中断となったことで、シャルル・ルクレール(フェラーリ)に次ぐ2番手の位置でピットへと向かった。もしあの時点であわててピットインしていたら、順位を大きく落としていたはずで、優勝は不可能だっただろう。
チームはすぐ後ろを走るバルテリ・ボッタスに、ハミルトン車のダメージ確認を指示していた。
リカルド・ムスコーニ:バルテリ、ルイスの横まで行ってくれ。でも抜くなよ。ダメージがないか、見るんだ
ボッタス:左側か?
ムスコーニ:そうだと思う
ボッタス:正直、よく見えない。もしかしたらフロントウイングに何かあるかも
実際には左フロントのホイールに損傷があり、赤旗中断がなければリタイアしていただろうと、レース現場のエンジニアリングディレクター、アンドリュー・ショブリンはレース後に語っている。
ハミルトン:マックスは大丈夫か?
ボノ:クルマからは出ている
フェルスタッペンの無事を確認したハミルトンは、接触事故について自分の正統性を主張した。
ハミルトン:僕が前にいたんだ
ボノ:わかってるよ、ルイス
ハミルトン:(フェルスタッペンは)僕の走行ラインを塞いでた
ボノ:ああ。ビデオを見直すよ
ハミルトン:スペースも空けてなかったしね
一方ボッタスは、中立的な見解だった。
ボッタス:あれはレーシングインシデントだったんじゃないかな
ムスコーニ:今、審議中だ
19台がピットレーンで再スタートを待つなか、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表がレースディレクターのマイケル・マシを呼び出した。
ホーナー:マイケル、ちょっといいかな
マシ:ああ。大丈夫だよ
ホーナー:あのコーナーだけど、ここを走ったことのあるドライバーなら誰でも、イン側からホイールをねじ込んだりしない。ひどい大事故だ。あそこは完全に、マックスのコーナーだったんだ。私に言わせれば、100%ルイスが悪い。あの位置にいるべきじゃなかった。大惨事になっていたところだ。(マックスが)歩いて出てきたのは、神に感謝だよ。きみなら適切な判断をしてくれるよね
マシ:了解した。でも審議しているのはスチュワードだからね
Relive the messages shared to FIA Race Director Michael Masi from Red Bull and Mercedes post-incident #BritishGP ?? #F1 pic.twitter.com/56CHVqtGIE
— Formula 1 (@F1) July 19, 2021
話すうちに、だんだん熱くなっていくホーナー代表。しかし審議をして裁定を下すのはレーススチュワードたちであり、マシではない。だがレッドブル陣営はそんなことはおかまいなしで、チームマネジャーのジョナサン・ウィートリーまで割り込んできた。
ウィートリー:録画を何度も見たところだけど、ルイスは明らかに近寄りすぎて、クロスを仕掛けてる
マシ:あなたの見解は、完全に了解した。でもスチュワードが審議しているからね
するとメルセデスのトト・ウォルフ代表も、マシに呼びかけた。
ウォルフ:マイケル、トトだ
マシ:どうぞ
ウォルフ:さっきメールを送ったのだが、2台の位置関係を図示してみた。受け取っているかい?
マシ:いや、レース中メールは見ないことにしている。レースに集中したいからね
ウォルフ:そっちに行くよ
マシ:ああ。いいけど、直接スチュワードのところに行ってくれ
お互いに、相手に1ポイントも余計にあげたくない。そんな必死さが伝わってくるやりとりだった。ウォルフはその後スチュワードと話をしたようで、ホーナーは「審議中のスチュワードに影響を与えるようなロビー活動は禁止すべき」と、さらに怒っていた。
そして現地時間午後3時41分、セーフティカー先導でレースが再開された。先頭のルクレールが、文句を言い出した。
ルクレール:セーフティカーは何をやっているんだ? もっと速く走らないと
担当エンジニア、マルコス・パドロスの返答は入っていないが、「グリッドからのスタンディングスタートだから問題ない」と答えたはず。久しぶりの首位走行で、ルクレールはナーバスになっていたのかもしれない。
それでも再スタートでは、首位を守ることに成功した。1秒余り後方でオーバーテイクの機会を窺うハミルトンに、ボニントンが指示を出した。
ボノ:もっとプッシュして行こう。今朝とは状況が変わった。10秒ペナルティを受けた
その2周後、ハミルトンが戦略の確認を求めた。一方パドロスはルクレールに、戦略変更を伝えていた。
ハミルトン:同じ戦略か?
ボノ:そうだ
パドロス(→ルクレール):プランBで行く。プランBだ
1回ストップの基本戦略は変えずに、最初のスティントを延ばすということだったようだ。
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(2)に続く
(取材・まとめ 柴田久仁夫)
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1位 | マックス・フェルスタッペン | 403 |
2位 | ランド・ノリス | 340 |
3位 | シャルル・ルクレール | 319 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 268 |
5位 | カルロス・サインツ | 259 |
6位 | ジョージ・ラッセル | 217 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 208 |
8位 | セルジオ・ペレス | 152 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 63 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 35 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 608 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 584 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 555 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 425 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 50 |
7位 | BWTアルピーヌF1チーム | 49 |
8位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 46 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
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