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F1引退を意識し始めたハミルトン、メルセデスとの新たな提携について協議中

2021年2月11日

 ルイス・ハミルトンとメルセデスF1チームとの新契約の期間はわずか1年で、2021年末で終了する。ハミルトンが今年いっぱいでF1から引退する可能性は十分あり、実際、彼はチーム代表トト・ウォルフおよびダイムラー取締役会と、F1以外の将来のプロジェクトについて協議を進めている。


 2月8日、メルセデスはハミルトンと2021年の契約を新たに結んだことを発表した。契約期間が1年にとどまった理由についてウォルフ代表は、コロナ禍で交渉開始が遅れ、シーズン開始が迫ってきたため、まずは今年の契約を結びたかったと語った。また、パンデミックの影響で不安定な情勢であり、自動車業界が変革の時期にあり、F1が大規模規則変更を前にしていることなどを考慮に入れて、2022年についてはじっくり時間をかけて交渉したかったとも説明している。


 ハミルトンは衰えが見え始める前にF1から去りたいとの考えを以前から示してきた。彼は昨年のセバスチャン・ベッテルの急速な衰退に大きなショックを受けている。ふたりとも2007年にF1にデビューし、2010年から2020年の11年、ニコ・ロズベルグの2016年を除く10回のタイトルをふたりで分け合ってきた。


 だが最近のベッテルは精彩を欠き、若いチームメイト、シャルル・ルクレールの陰に隠れていた。その結果、フェラーリはベッテルに契約更新の打診すらせずに、カルロス・サインツJr.を起用することを決定。そうしてフェラーリから放出されるという屈辱を受けたベッテルは、F1キャリアを続けるために、中団チームと契約した。

2020年F1第14戦トルコGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がウイナーで2020年タイトルを獲得したルイス・ハミルトン(メルセデス)を祝福
2020年F1第14戦トルコGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がウイナーで2020年タイトルを獲得したルイス・ハミルトン(メルセデス)を祝福

 ハミルトンはそういう運命をたどるまいと決意している。彼は、キャリア最盛期にF1を去ることを望んでいるのだ。もし今年8度目のタイトルを獲ることができ、その栄光とともに引退することができれば、満足できるシナリオといえるだろう。その記録は当分の間、破られることがないはずだ。


 だが今年チャンピオンになれなかったとしても、ハミルトンは今シーズン末でレース活動をやめるかもしれない。父親のアンソニーは9日、イギリスのメディアに対して次のようにコメントした。


「ルイスとメルセデスは長年ともに戦ってきた。今のこの世界では忠実さは非常に重要だ。彼らが今年も関係を継続することを知ってうれしい」


「(ハミルトンにとって)記録達成が今年の絶対的な目標だとは思わない。彼は年齢を重ねてきて、人生で他のことをしたいと考えていると思う。レースだけが人生ではないのだ。だが、今の時点では、あと1年はやりたいと考えている」


 ハミルトンは他の関心事に集中するためにレースのキャリアをすぐさま締めくくるのではなく、メルセデスへの忠誠心から少なくともあと1年は走ろうと決めたと、父アンソニーは示唆しているようにも思える。ハミルトンが突然去った場合、メルセデスはスポンサーなどの面からも非常に困難な状況に陥るだろう。

2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGPでメルセデスがタイトル7連覇を確定
2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGPでメルセデスがタイトル7連覇を確定

 2021年の契約には、多様性を尊重し受け入れる「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進するための試みにメルセデスとハミルトンがともに取り組んでいくことが盛り込まれており、モータースポーツにおけるダイバーシティ&インクルージョン推進をサポートするための慈善団体を共同で立ち上げることも明らかになっている。


 だが、メルセデスにおけるハミルトンの役割はさらに拡大するかもしれない。たとえば、生涯メルセデスのアンバサダーを務め、彼が普及を望む電気自動車の開発に参加するといったことだ。


 いずれにしても、ハミルトンのなかでモータースポーツ以外への関心が高まりつつあるのは間違いない。F1ファンは今年、悔いが残らないよう、彼の見事な走りを目に焼き付けるべきだろう。来年以降も彼のとてつもない才能を見ることができるという保証はないのだから。

2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝
2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝



(Grandprix.com/autosport web)


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