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【小松礼雄のF1本音コラム】悔しさが残る今季4度目のダブル入賞。2019年へのハースのチャレンジ

2018年11月24日

 現役日本人F1エンジニアとして、ハースF1でチーフを務める小松礼雄エンジニア。F1速報サイトで好評連載中のコラム、今回は2018年F1第20戦ブラジルGPをふり返り。現在のF1で起きている真相と、現場エンジニアの本音を読者のみなさまにお届けします。

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 ブラジルGPはインテルラゴスのサーキット特性、我々のマシンの戦闘力から、好成績が望めるレースだと考えていました。走り始めの金曜日は良い意味でも悪い意味でも、想像どおりのセッションでしたね。

 金曜の走行後にあまり良くなかったセクター2を中心にマシンを改善してFP3に臨んだ結果、マシンバランスがとても良くなり、 あのままドライで普通に予選が行われていたら、おそらく7、8番手を獲得できていたと思います。

 しかし、予選Q1の途中から雨が降り始め、路面状況が刻一刻と変わる難しいコンディションになりました。予選Q1は2台とも無事に通過しましたが、Q2ではケビン(マグヌッセン)が2回のアタックを通じてロマン(グロージャン)の0.4秒落ちのタイムしか出せずに結果的に(シャルル)ルクレールの最後のアタックで11番手に落ち、Q2敗退となってしまいました。安定しない路面状況で限界を見極めきれないという彼の課題がまたしても顕著に出たセッションとなってしまいました。

 Q2終盤に雨脚が弱まってきた際にケビンが再度アタックに出て行かなかったのは、すでにタイムアタックを行った中古タイヤしか残っていなかったからです。あのタイミングでアタックに出て行ったドライバーでタイムを更新できたのは(ニコ)ヒュルケンベルグとルクレールのみ。

 その2人が履いていたタイヤは、Q1終盤の雨が強まった時に装着していたもので、まだタイムアタックを行っていない、言わばインスタレーションラップをしたようなタイヤでした。ケビンのようにタイムアタックをしてしまったタイヤではタイムの更新は望めません。それにしてもルクレールのアタックは素晴らしかったと思います。

 一方、Q3へ進出したロマンですが、最後の新タイヤを履いてのアタックでターン4、6などでアンダーステアが出てしまい、9番手に終わりました。Q2まではマシンバランスが素晴らしかったのですが、Q3ではコースコンディションの変化もあり、バランスが微妙に変化してしまったのです。

 他チームのドライバーもセクター2をまとめるのに手こずっていたようで、最後のアタックでタイムを更新できたドライバーは(ルイス)ハミルトンと(マーカス)エリクソンだけでした。とはいえ、クルマの速さを考えると9位は残念な結果でした。

 決勝ではロマンが1周目にエリクソンと接触し、クルマにかなり大きなダメージを負ってしまいました。1回目のピットストップに入るまではどの程度のダメージなのか正確に判らなかったのですが、あれだけ破損したクルマでロマンが出していたラップタイムは相当すごかったと思います。

 逆に言えば、あのダメージがなかったら、どこまでいけたんだろう……と考えてしまうくらい。本人は「運転しづらかった」と言っていましたが、それは当然です。ただ単にダウンフォースが減って安定性に欠けているだけでなく、空気の流れを上手く制御できていないわけですから。2周続けて同じ様にコーナーに入っていっても、クルマは全く違う動きをするような状況でした。

 でも、ロマンはそういった状況下では逆に本当に強いですね。昨年のブラジルGPでも壊れたマシンで、素晴らしいタイムを記録していました。だからこそ、8位に入賞できたとはいえ、ルクレールに勝てるだけの速さを持っていたと思うので残念でした。

 一方のケビンは1周目のターン4でエリクソンを抜こうとした際にコースオフして、序盤は11番手を走行していましたが、全体的にペースがあまり良くなかったです。エリクソン、(ピエール)ガスリーを抜いて単独走行だった時のペースは予定どおり速かったのですが、(バルテリ)ボッタスに周回遅れにされてからのペースの落ち方が良くありませんでした。

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