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万全の態勢を期したメルセデスに想定外の罠【今宮純のF1オーストリアGP決勝分析】
2018年7月3日
3連戦の2戦目となるF1第9戦オーストリアGPはマックス・フェルスタッペンが勝利。予選ポールポジションを獲得したメルセデスだが決勝では2台にまさかのトラブル発生。F1ジャーナリストの今宮純氏がオーストリアGPを振り返り、その深層に迫る──。
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F1オーストリアGP決勝で次々に消えたメルセデス――。バルテリ・ボッタスは14周、ルイス・ハミルトンは62周、メカニカルトラブルにより全滅。これは14年パワーユニット期となり88戦目に起きた初めての事態だ。というより10年新生メルセデス・チーム結成以降、見られなかった事態である。
現時点で原因はボッタス油圧低下、ハミルトン燃圧低下と発表されていて、アップデートされたパワーユニットや新エアロパッケージとの因果関係は無いと言う。3連戦の2戦目に照準を定め、「今季最も大きなアップグレード」を投入した王者、たしかに土曜までは盤石だった。
ハミルトンはフロントを軸に鋭いブレーキングからターンイン、“前”が安定しぐいぐい攻めた。ボッタスはやや違うスタイル、“後ろ”が安定するにつれて徐々に自分のリズムを整えていった。オーストリアが得意な彼は過去4年にリードラップ最多72周、ハミルトン25周を超えている。
予選にふたりは異なるセッティングで臨み、ボッタスがセクター1と3で最速タイム。全セクターをベストタイムでそろえたパーフェクトなPPアタックを決める。
とくに7コーナーの早いアクセルオン、9〜10コーナーのスムーズなキャリー・スピードが見てとれた。どちらも皆が手を焼き、縁石アウト側まではらむのにボッタスはそこが巧かった。得意なレッドブル・リンク、攻略法の秘訣か……。
スパ・フランコルシャン同様にシュピールベルグも山中コースで、気象変動が大きい。16年決勝は気温15度/路面26度、17年は気温28度/路面48度、今年の金曜・土曜は低温コンディションだったが、日曜は17年なみの路面温度に急上昇(気温22度/路面48度)。
清々しい緑が映えるレッドブル・リンク、コース上には熱風が吹いていた。中東バーレーンGPより高温、今年最もホット・コンディションに。タイヤの変調ばかりか、すべてのシャシー・クーリングなど相当悩ましい変化だ……。
結果論ではなく個人的な見方として。ここに全く新しいサイドポッド(エントリー部分12CM後退)などを投入したメルセデスは、今季最高温度条件に対する“適正セットアップ”ができていたのだろうか。従来スペックならふんだんにデータはあっても、金・土曜の実走行だけでは少ない(はずである)。これが2台に起きたトラブルの“遠因?”とは言えないものの、やや気になったことの一つだ。
ポールポジションタイム62秒台寸前までいった超ショートラップ・コースだけに、レース展開で何か異変が起きた際の判断は、迅速に行わねばならない。14周目、ボッタスにトラブルが発生。メルセデス陣営は慌てた。原因究明を急ぐと同時に、VSC発令でピットストップ戦略の決断もしなければならない。
首位ハミルトンはステイアウト、上位メンバーは躊躇せずここでソフトに交換。残り56周をカバーできるはずだ(金曜データでは)。前に触れたようにハミルトンは前が安定すれば攻めのペースで行くタイプ。リヤタイヤのスライド・コントロールは絶妙でも高い路面温度なので滑る分、タイヤ内部の蓄熱状態が進む。やがてそれが表面の気泡化(ブリスター)に現れ、とくに左後輪センターが顕著に。こうなるとグリップは弱まり、さらに滑り量が増え、修正によって前輪も厳しくなる。
ハミルトンは25周目にソフト交換、さらに52周目にスーパーソフトにまた交換(27ラップしかもたなかった)。そして63周目にストップ、4位=12点を取りそこなった。
首位マックス・フェルスタッペン対キミ・ライコネン、今季初対決となった終盤は『タイヤ・マネージメント』攻防戦。明らかにライコネンよりもブリスター症状を抱えた彼は、左両輪に荷重ストレスがかかる9〜10コーナーを慎重にいった。セクター3はセーブ走行、他のセクターでプッシュ走行、この切り替えが見事だ。
追うライコネンはラストスパート、65周目3.480秒、66周目2.821秒、67周目2.734秒、68周目2.551秒、69周目2.395秒、70周目2.170秒、71周目1.504秒……。今年初の最速ラップも及ばず、逃げ切られた。
――フェルスタッペンが2年前スペインGPで挙げた1勝目はメルセデス同士討ち、この日もメルセデスが消えて4勝目。ランキングでボッタスを抜きフェルスタッペンは5位へ、ベッテルはハミルトンを抜き返し1点リードの首位奪還。今月の4戦サマー・シリーズが、けたたましく始まった。
(Jun Imamiya)
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| 12/5(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
| フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
| 12/6(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
| 予選 | 結果 / レポート | |
| 12/7(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
| 1位 | ランド・ノリス | 423 |
| 2位 | マックス・フェルスタッペン | 421 |
| 3位 | オスカー・ピアストリ | 410 |
| 4位 | ジョージ・ラッセル | 319 |
| 5位 | シャルル・ルクレール | 242 |
| 6位 | ルイス・ハミルトン | 156 |
| 7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 150 |
| 8位 | アレクサンダー・アルボン | 73 |
| 9位 | カルロス・サインツ | 64 |
| 10位 | フェルナンド・アロンソ | 56 |
| 1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 833 |
| 2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 469 |
| 3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 451 |
| 4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 398 |
| 5位 | アトラシアン・ウイリアムズ・レーシング | 137 |
| 6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 92 |
| 7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 89 |
| 8位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 79 |
| 9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 70 |
| 10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 22 |
| 第20戦 | メキシコシティGP | 10/26 |
| 第21戦 | サンパウロGP | 11/9 |
| 第22戦 | ラスベガスGP | 11/22 |
| 第23戦 | カタールGP | 11/30 |
| 第24戦 | アブダビGP | 12/7 |


