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【トロロッソ・ホンダ/ガスリー密着コラム】4位の快挙にも落ち着き。F1キャリア7戦目にして見せた急成長
2018年4月12日
2018年、ホンダF1はトロロッソと組んで新しいスタートを切った。新プロジェクトの成功のカギを握る期待の新人ピエール・ガスリーのグランプリウイークエンドに密着し、ガスリーとトロロッソ・ホンダの戦いの舞台裏を伝える。
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バーレーンGP開催直前の木曜日。パドックに姿を見せたピエール・ガスリーの顔には、何と豊かな頬ヒゲが生えていた。ヒゲもじゃのフランス人ジャーナリストが自分のひげも省みず、「どうしたの? 何で生やすことにしたの?」と根掘り葉掘り。ガスリーは、笑って相手にしなかった。
一方で表情は、いつも通り明るかった。開幕戦はまさかのMGU-Hトラブルでリタイア。ダメージはエンジン本体にも及んでいることが判明して、2戦目にして早くもパワーユニットの主要コンポーネント総取っ換えを余儀なくされた。
「今後20戦、あと1基で走り切れるとは考えにくいから、どこかでペナルティは受けることになりそうだね」と、本人もグリッド降格を覚悟している。何よりこのトラブルが完全に解決できているのか、また壊れるのではないか。そんな不安を完全には払拭できていないはずなのだが、ガスリーはあくまで自然体に見えた。
そしてGP初日から、ガスリーは素晴らしい速さを発揮する。フリー走行1回目は総合7番手。日没直後の2回目は8番手に付けた。トップのキミ・ライコネンから1秒4、開幕戦ではペースにまったく付いて行けなかった7番手のニコ・ヒュルケンベルグとは、0.01秒の僅差。もちろんトラブルフリーだった。
その速さは、二日目にはさらに加速する。炎天下のFP3で9番手タイムを出すと、予選では自身初のQ3進出。しかもセッション終盤に敢行したアタックでは、Q2の自己ベストを0.5秒以上縮める完璧な走りで、中団勢トップの6番手タイムを叩き出した。
予選後の囲み取材には報道陣が群がり、その中心にいるガスリーは興奮と喜びで顔を真っ赤にしていた。ギヤボックスを交換したハミルトンの5グリッド降格で、ガスリーの順位はさらに上がり、レースは3列目5番手からのスタートだ。F1参戦わずか7戦目のルーキーに、明日のスタートはリラックスして行けと言う方が無理な相談だ。開幕戦の予選で失敗した際には、「今夜は精神安定剤を飲んだ方がいいかも」と冗談めかして言っていたガスリーだったが、この夜こそまともに眠れないのではないか。
しかしレース当日、グリッド上のガスリーは、場違いなほど物静かな雰囲気を漂わせていた。エンジニアとの最後の打ち合わせも、話しかけてきたフランツ・トスト代表に答える様子にも、緊張とか興奮はいっさい感じ取れなかった。そしてレースでは4位チェッカーを受けるわけだが、何より安定したレースペースが光った。速さに優ったマグヌッセンに二度も抜かれかかるが、その都度冷静に抜き返し、その後はじりじりと引き離し、最後は10秒以上の差を付けた。
レース直後のTV囲みでは、各国クルーによるガスリーへのインタビューが延々と続いた。そして彼らに答えるガスリーは、もちろん笑顔は絶やさなかったものの、予選直後の手放しの喜びようとはまったく違っていた。何というか、すでにその先の目標を見据えているかのような、そんな余裕が感じられたのである。
長年F1を取材していると、ごくたまにこんなドライバーに出会う。成長が表に現れやすいタイプというのか。ガスリーがこれから一流ドライバーへと育って行くのかどうか、それはまだわからない。しかしトロロッソ・ホンダが好調を維持すれば、今後セッションごと、レースごとに、どんどん目つき、顔つきが変わって行くのはまちがいないだろう。サナギが蝶へと変身して行くさまを、今年は間近でじっくり見られそうである。
(取材・文 柴田久仁夫)
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5/30(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
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6/1(日) | 決勝 | 結果 / レポート |


1位 | オスカー・ピアストリ | 186 |
2位 | ランド・ノリス | 176 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 137 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 111 |
5位 | シャルル・ルクレール | 94 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 71 |
7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 48 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 42 |
9位 | アイザック・ハジャー | 21 |
10位 | エステバン・オコン | 20 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 362 |
2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 165 |
3位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 159 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 144 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 54 |
6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 28 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 26 |
8位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 16 |
9位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 16 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 11 |

