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ベッテルのプレッシャーを凌ぎ切り、ドライバーズ・レースを制したボッタスの精神力【今宮純の視点】
2017年5月2日
2017年F1第4戦ロシアGPは、メルセデスのバルテリ・ボッタスがセバスチャン・ベッテルとの一騎打ちを制してF1初優勝を飾った。ニッポンのF1のご意見番、今宮純氏がロシアGPを振り返り、その深層に迫る──。
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フィンランド国歌演奏のあいだ、バルテリ・ボッタスは表情を崩さないように表彰台でじっと我慢をしていた。涙がこぼれないように耐えている。やがて喜びが顔に満ちてきて、素晴らしい笑顔を彼は見せた。
セバスチャン・ベッテルとマッチレース0.617秒差、今シーズン序盤に新しい107人目GPウイナーが生まれた。
ほぼ1年前にスペインGPで106人目マックス・フェルスタッペン、彼もキミ・ライコネンとマッチレース0.616秒差。
二人ともフェラーリを駆るチャンピオンを抑える、クロス・フィニッシュ。“ドキドキ感”がつたわるドライバーズ・レースだった。
人工的なDRSによるオーバーテイクはなかった。戦略的なアンダーカットなどもない。スタートからゴールまでひたすらコース上でせめぎあうドライバーズ・レース、初対決ボッタスとベッテルは1時間28分08秒743、ずっとつらぬいた。
スタートダッシュしたボッタスは、1コーナーまでにベッテルの背後にすっぽり入り込み、十分なスリップストリーム効果を得た。そして左に出て増速。1コーナーの先で並び抜くとやや右に向け、2コーナーを理想的なラインで奪った。勝負は2コーナーではなく、その前のおよそ500m、PPベッテルにブロックするタイミングも隙も与えなかった。
リードする彼のブレーキングは精確だ。そのポイントがずれるとターンインでアンダーステア気味になり、切り込むとはじけるようにリヤが滑る。今週ソチでルイス・ハミルトンはたびたびそうなり、後輪タイヤをうまく機能させられずにいた。すべてのセッションでボッタスが優り、彼が劣ったのはそこだろう。
予選3位の彼はセクター・ベストがなく、1はハミルトン、2はベッテル、3はライコネン。すべてのセクターとも2位タイムで、直線主体の1も中速コーナーの2も直角コーナーの3も全域でベター・セットアップを組み上げた。メルセデス4戦目、W08マシン理解度をさらに深めたボッタスの進化が感じとれる。
バーレーンGP後のテスト二日目、彼は猛暑の日中に143周(2.5レース分)を走りこんでいる。初日ハミルトンは97周だ。誰よりも長く、もりだくさんのプログラムをこなし、マシンを理解することに励んだ。このテストが初勝利に直結したとは言わないが、彼自身にはとても意義があったと思う。
今年のベッテルはくらいついて離れない。中盤にさしかかった38周目、13コーナーへの“ひねりこみブレーキング”でボッタスが左前輪と右前輪をロックアップ。
1分39秒193、2位ベッテルよりも1秒劣るラップで4秒以上あったギャップが3秒065に詰まる。ここぞとばかりにチャージするベッテル、39周目2秒254、40周目1秒853、41周目1秒513……。
追われるボッタスはロックアップした後、しばらくプッシュせずタイヤをかばうような走りに見えた。焦る気持ちを自制してから、44周目にギャップを1秒901に広げた。この間を耐えた精神力はウイナーに値する。
終盤、最後のピンチは周回遅れが現れたとき。自分が手間取りロスしても、相手だってロスする。1秒以内にベッテルがラストスパートをかけてくると、そこにウイリアムズのマッサがいた。昨年までのチームメイトが背後に迫り、ベッテルが来ていることも、ピット側は無線で伝えた(はずだ)。
そこでベテランのマッサが何を思ったかは分からない。2コーナーでボッタスを行かせ、ベッテルはその先で行かせた。これもドライバーズ・レースのエンディングの一コマ、0.760秒差が0.617秒差に変わり、ボッタスのためにチェッカーが振られた。
ケケ・ロズベルグ49戦目、ミカ・ハッキネン96戦目、ライコネン36戦目、ヘイキ・コバライネン28戦目。“フライング・フィン”5人目ボッタスは81戦目、先輩ミカより早かった。
(Jun Imamiya)
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11/29(金) | フリー走行 | 22:30〜23:30 |
スプリント予選 | 26:30〜27:14 | |
11/30(日) | スプリント | 23:00〜24:00 |
予選 | 27:00〜 | |
12/1(日) | 決勝 | 25:00〜 |
1位 | マックス・フェルスタッペン | 403 |
2位 | ランド・ノリス | 340 |
3位 | シャルル・ルクレール | 319 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 268 |
5位 | カルロス・サインツ | 259 |
6位 | ジョージ・ラッセル | 217 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 208 |
8位 | セルジオ・ペレス | 152 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 63 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 35 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 608 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 584 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 555 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 425 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 50 |
7位 | BWTアルピーヌF1チーム | 49 |
8位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 46 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
第23戦 | カタールGP | 12/1 |