■マクラーレン・ホンダのQ3進出はかなりのハードル
そしてもうひとつ、今季の注目ポイントに挙げられるのが2年目を迎えるマクラーレン・ホンダの戦いでしょう。今年の合同テストでは昨年に比べてかなり多くの周回を走ることができましたし、ホンダとしてもまだまだ基本レベルですが、まともには走れるパワーユニットを作ってきました。
しかし、彼らが今年の目標に掲げたコンスタントな予選Q3進出は非常にハードルの高い目標だと言わざるを得ません。新車MP4-31は、サイズゼロのコンセプトを維持していますが、リヤのパッケージングは昨年よりも余裕をもたせてきました。多少、空力を犠牲にしても冷やすべきものはきちんと冷やすという考えにシフトしたことは本当に良かったと思います。ただ、テスト最終日にウルトラソフトで出した7番手タイムを素直に受け止めるなら、Q3に進むのはかなり難しいことではないでしょうか。レッドブルやウイリアムズの後ろには、上述したトロロッソや昨年並みのポテンシャルを秘めたフォース・インディアも控えています。今年の予選はエリミネーション方式の導入もありQ3に残れるのは8台になりましたが、従来のトップ10に置き換えたとしても、フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンが絞り出したタイムという点も考慮すれば、コンスタントなQ3入りはかなり大変なチャレンジになると思います。
新たなライバルとして、今年から新規参戦するハースの仕上がりの良さも無視できません。彼らがいきなりQ3争いの常連になるとは思いませんが、ハースは近年の新規チームとは明らかに違って、純粋なレーシングチームとしてF1に乗り込んできています。マシンも初回テストの3日目に2番手タイムを記録しましたが、それなりに仕上がったクルマでなければいくらスーパーソフトやウルトラソフトを履いたところでそのようなタイムを出すことはできません。新規参戦にも関わらず、順調にタイムと周回数を記録したことは立派ですし不気味さを感じます。マクラーレン・ホンダやワークスルノーなどといい勝負を繰り広げる可能性もあるのではないでしょうか。
今のところ各車の本当の実力は、やはり開幕戦のオーストラリアGPが始まってみないことにはわかりませんが、今回のテストから多少なりとも見えたメルセデスとフェラーリによるトップ争いや、より熾烈さを増した中団グループの戦いなどは今年の見どころのひとつと言えるでしょう。そのなかで、2年目のマクラーレン・ホンダがどういった戦いをみせるのか、私も開幕が今から楽しみです。
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