ソフトタイヤでスタートしたドライバーたちは、レース開始早々にタイヤのデグラデーション(性能劣化)に苦しみ、10周持たずにタイヤを交換しなければならなくなっています。しかし、路面にタイヤのゴム(ラバー)が載ったレース終盤には路面のグリップが上がり、しかも燃料を消費して車体も軽くなっているため、タイヤの持ちが良くなる傾向にあります。その際にソフトタイヤを履いたヒュルケンベルグは、ミディアムよりもペースの良い(しかしタレの早い)ソフトタイヤの一番美味しいところを使うことができたという印象。ライコネンまで0.5秒まで迫る、8位でフィニッシュしています。レースの最終盤には、ミディアムタイヤを履くメルセデスAMGに匹敵するほどのペースで走っていましたから、もしもう数周早くソフトタイヤを投入していれば、アロンソをも交わすことができたかもしれません。
なお、レースペースでもうひとり気になったドライバーがいます。それはウイリアムズのバルテリ・ボッタスです。レース序盤と終盤はトップレベルのペースで周回しましたが、なぜか2回目のピットストップ(この時にシートベルトの弛みを解消するため、大きなタイムロスをしています)から最終スティントの途中までのペースが非常に遅く、かなり後退してしまいました。ボッタスのコメントによれば「大きなグレイニングができた」ということですが、フェリペ・マッサも同じタイミングで同じタイヤを履いていたわけですし、最終スティントの途中でペースが戻るというのも非常に不可解でした。
しかしマッサは、マシンの速さに助けられましたが、ともすれば命取りにも繋がりかねないミスを連発。ピットレーンの速度違反を犯したり、間違えてマクラーレンのピットに入ってしまったり……今回は良くも悪くも3位というレースでしたが、このようなミスが基で、たとえば優勝を逃すようなことがあっては、悔やんでも悔やみきれません。再発防止策を、なんとしても講じてほしいところです。
(F1速報)