トークショーの後半には、2014年のF1シーズンをケータハムで戦った小林可夢偉が登場。リラックスした表情で現れた可夢偉は、川井氏と共にシーズンを振り返った。
2014年のケータハムが苦戦した理由について可夢偉は、「サイドポンツーンが大きすぎたため、一度マシンの左右に分かれた空気が、リヤで中央に戻ってこないんですよね。普通はボディに沿うように戻ってきて、ダウンフォースを発生させるんですが、ケータハムのマシンはそれがなかった。他のドライバーが『ケータハムの後ろを走ると、マシンが不安定になる』と言っていたらしいですが、その意味もここにあるんだと思います」と語っている。
さらに可夢偉は、「BBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ)のセッティングなど、ほとんど僕が開発したんですよ」と、今季のケータハムのマシンの開発にも大きく貢献していたことを明かした。
また、先日スーパーフォーミュラをテストしたことで、「今年はすごいクルマ(ケータハムのF1)に乗っていたんだということを実感しました」という。
「(ケータハムに)乗っている時は『これが普通なんだろう』と思っていたんですけどね。スーパーフォーミュラは、パワーこそF1には劣りますが、とても乗りやすい。だから多くのドライバーが、『スーパーフォーミュラは面白い』と言うんだと思います。タイヤも全然違います。F1タイヤは、一瞬でも滑らせてしまうと、すぐにグリップ力が低下してしまうんですが、スーパーフォーミュラのタイヤはそういうこともない。20〜30周走ってもタレないんですよ」
Q&Aのコーナーでは、会場に集まったファンからの質問にも回答。「なぜ(2010年の)日本GPのヘアピンで、あれだけ多くのオーバーテイクができたのか?」という質問に対しては、「実は、鈴鹿での経験があんまりなかったので、どこがオーバーテイクポイントなのか、分かっていなかった」のだという。日本GPで好成績が残っていることについても、「『母国だから』と思って走っていたわけじゃないんです。ただ、うまく集中できた時は、“無”の状態で走っている。そうすると、レースがすごく短く感じるんです」と明かした。