シーズン序盤、2番目に速かったのはレッドブルでした。第2戦マレーシアと第3戦バーレーンはメルセデスAMGの独壇場で、ライバルを1%程度(1%と侮るなかれ。この差は、例えば鈴鹿の予選で約1秒差を付けるというほど、大きな差なのです)引き離していましたが、第4戦目以降はレッドブルのパフォーマンスが向上。メルセデスAMGに急接近することになります。結果、第7戦カナダでリカルドが初優勝。メルセデスAMGに対して一矢報いました。
ただこのレース、リカルドが優勝したとはいえ、パフォーマンスはメルセデスAMGの方が上。しかも、決勝レースで運動エネルギー回生システムにトラブルが発生していたにもかかわらず……だったのです。今季初めて勝利を失ったものの、“メルセデスAMG、負けてなお強し”の印象を強くしたレースでもありました。
初めて土が付いた第7戦以降、メルセデスAMGは開発をより一段階進めたのか、後続との差を再び広げ始めます。そんな中で唯一食らいついていったのが、ウイリアムズの2台、ボッタスとフェリペ・マッサでした。8戦以降ほとんどのレースで、ウイリアムズは全体で2番目の戦闘力を発揮。ポイントを荒稼ぎすることになります。夏前後に一度失速するものの、再び後半にかけて急激な伸びを記録。第16戦ロシアでは、メルセデスAMGにあと1歩のところまで迫り、最終戦アブダビではついに戦闘力トップの座を奪いました。
ウイリアムズは昨年大苦戦し、なんとランキング9位。今季は開発が成功して、ランキング3位に大躍進しました。しかし、本来ならば3位ではなく、2位にならなければならないチームだったのではないかと思われます。シーズン序盤はメルセデスAMGから大きな遅れをとっていましたが、これは雨に祟られたり(今季のウイリアムズFW36は、総じてウエット路面に弱かった)、戦略に失敗したため。実質的には、ウイリアムズは年間を通じて速かったのです。
レッドブルが勝利した3戦のうち、カナダGPとベルギーGPは、ウイリアムズにも十分勝機がありました。それでも勝てなかったのは、近年毎年のようにチャンピオン争いを経験してきたチームと、長年チャンピオン争いから遠ざかっていたチーム(2012年のスペインGPで優勝してはいるが……)との差が出たということでしょうか? いずれにしても、アクシデントに巻き込まれたり、戦略がうまくいかなかったりと、今季のウイリアムズは速さを見せるが、取りこぼしが多いという印象でした。
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