☆☆☆☆
ルイス・ハミルトン
いざこざは別にドライビングで評価すると、彼のFP2トップタイムは昨年のベッテルを破り、ロズベルグを0.6秒も引き離した。今年12戦中10回目の"金曜・最速王"。だが予選でブレーキ・トラブル、決勝は10km(1周と3分の一)で破壊され、6勝目ならず……。
キミ・ライコネン
流れる水のごとく綺麗に攻めるスパ・マイスター。CS中継で申し上げたように起伏に富んだ複合コーナーの多いここを、一定したリズムでクリアしていく。04年マクラーレン、09年フェラーリでの勝利はシーズン唯一の戦果、ここでベストを出しきる持ち味を今年もまた見せた。
フェルナンド・アロンソ
最後のオールージュ、ウイングを失いながら切り抜けたスーパープレーは名人芸の極致。戦慄が走る一瞬だった。あの状況でスピンせず、クラッシュせず、誰にも当たらず、すべて自分の力量で切り抜けたスーパープレー(詳細割愛、ご覧でない方は動画などチェックしてください)。2周目に起きたメルセデス勢の同士討ちより、後々まで語り継がれる14年ベルギーGP名場面になるかも。
バルテリ・ボッタス
クビアトの天才的なステアリング操作とは逆だ。クイックな切りこみはあまりしない。そうするときはマシンのバランスが悪い場合、昨年がそうだった。土曜FP3堂々のトップ、3つのセクターでベストはひとつもないのに長いスパを俯瞰的にまとめる走りとセットアップを構築。しかし、今年のウイリアムズはPインターミディエイトがなぜかマッチしない。雨がらみ予選6位、勝利を目指す野望は狂ったがへこたれないバルテリ。“フィンランド対決"40周目に先輩ゴメンとオーバーテイク、フェアな抜き方に実直な性格が。
☆☆☆☆☆
ダニエル・リカルド
データ優先の今、ドライバー力をあらためて評価すべきだろう。ラスト10周、ロズベルグがニューソフト追撃に出た時エンジニアは「タイヤは大丈夫?」と聞いた。2秒も速い相手に対し焦らずペースを保ち、最終ラップに自己ベスト。一気に0.5秒アップ、突き放したタイヤ・マネジメントは凄い。1勝目は無我夢中、2勝目は攻撃あるのみ、そして3勝目は完璧なゲーム展開。勝ち方すべてが違うところに近未来王者の資格を見出す。「今、F1が楽しくてしょうがない」と言う彼の笑顔はタイトルに血眼な連中へのスポーツ・メッセージでもある。さあ2位ハミルトンに35点差、“ミツアナ熊"は何も恐れてはいない――。
☆なし
他11人
(今宮純)